まるで空襲警報 !? マスメディアは大本営発表、地元沖縄は冷静。北朝鮮「ミサイル」問題。

北朝鮮ミサイル弾道1

前回の「北朝鮮「ミサイル」問題」の記事の続きです。
今日、朝鮮民主主義人民共和国(以下、北朝鮮)が人工衛星をロケットで打ち上げた。
当の朝鮮中央テレビはもちろん、日本の防衛省も、韓国国防省、米国防総省も「宇宙空間に達したようだ」と発表した(注1)。
今回の件は、日本にとっては、「攻撃される」という性格の問題ではなく、打ち上げ失敗などの不測の事態にどう対処するかという問題であったはずだ。

マスメディアは戦時下の「空襲警報」なみの大本営発表

この件に関する報道はあまりにも異常だ。
まるで戦時下の「大本営発表」「空襲警報」に聞こえる。

首相官邸のツイート
「首相官邸(災害・危機管理情報) ✔ @Kantei_Saigai【北朝鮮発射情報】さきほど、北朝鮮の「人工衛星」と称するミサイルが沖縄県地方の方向に発射されました。」

「ミサイルが沖縄県地方の方向に発射されました」とは何とも微妙な言い回し。まるで沖縄が狙われたかのようだ。

NHKは、日曜討論の放送を中断して関連ニュースを垂れ流した。
NHKの解説(ニュース詳細)に付けられたイラストも、日本を狙って発射されるかのような印象操作。
北朝鮮のミサイル 日米連携し追尾・迎撃へ

北朝鮮ミサイル弾道2
・画像はこのページにつけられたイラスト
上の画像もNHKの別のページから

朝日新聞でさえ、このタイトルとこの内容。
飛行ルート下に走る緊張、響くアラーム音 ミサイル発射

大手マスメディアは、戦時中、戦意高揚に加担したことへの反省を完全に忘れさって政府官邸に広報に成り下がっている。
今日、安倍官邸と大手マスメデイアがやったことは、現実にある脅威から国民を守ることではなく、国内世論を誘導するための「煽り」にすぎない。

日本を狙って撃ち込むミサイルではない。人工衛星打ち上げロケットになぜここまで騒ぐ ?

政府官邸の発表やマスコミ報道は、明らかに世論をある方向に誘導しようとするものだ。
前回記事でも書いたが、大事なことは、北朝鮮のロケット本体が、あるいは一段目やカバーなどが制御不能になって日本に落ちてくるかどうかという問題。そんな確率、限りなくゼロに近い。
制御不能になる確率もかなり低いが、軌道も予測できない制御不能の、高速で飛来するミサイル(の部品)を迎撃できる確率もかなり低い。
さらに言えば、PAC3を配備したところから、PAC3の射程距離半径約20Kmの範囲内に落ちてくる確率など限りなくゼロに近い。
半径約20Kmの、そのエリア外にいる住民にとっては何の意味もない。
もともと大騒ぎするような話題ではない。

北朝鮮の脅威を煽るとともに、「軍事情報(らしきもの)」になれさせる魂胆。
「北朝鮮は怖い」「安保法案は、やっぱり必要だ」「憲法改正も核武装も必要」と思わせるためのデモンストレーションにすぎない。

早速、「極めて限定的な集団的自衛権くらい無いと、日米同盟がうまくいかず、北朝鮮の脅威からは国を守れない」」と高村自民党副総裁が言ったらしいが、大丈夫 ?? (わかりやすい反応だ)
もちろん集団的自衛権とはいっさい関係ないし、個別的自衛権すら関係ない。日本が狙われたわけではない。単に、ロケット打ち上げの技術的ミスがあるかどうか、の問題です。それを利用して煽っているだけ。

上空をロケットが通過した沖縄は冷静

ところが、上空をロケットが通過する沖縄のメディアはきわめて冷静だ。
前回記事では、沖縄タイムスの記事を紹介したが、あと2紙、「琉球新報」と「八重山毎日新聞」を、やや長くなるが紹介しておきたい。

琉球新報<社説>PAC3先島配備 優先すべきは外交努力だ 2016年2月5日
ミサイル発射に乗じた自衛隊配備の地ならしなら許されない。必要なのは冷静な外交努力だ。脅威をあおることではない。
北朝鮮による事実上の長距離弾道ミサイル発射通告に対し、中谷元・防衛相が破壊措置命令を出した。防衛省は地対空誘導弾パトリオット(PAC3)を宮古島、石垣島に展開する。与那国島にも陸上自衛隊の連絡員を派遣する。
ミサイル発射通告に対し、安倍晋三首相は「国民の安全確保に万全を期すようにしてほしい」と指示した。しかし、PAC3配備が本当に住民の安全確保を目的としたものか疑問である。なぜなら今回のミサイル発射にPAC3は役立たないからだ。
北朝鮮の計画通りならば、先島上空を通過する時点ではミサイルは大気圏外を飛行しており、PAC3は届かない。
仮に打ち上げに失敗し、空中で爆発し破片が落下したとしても対処はできない。PAC3はミサイルの発射地点や高度、方向から落下位置を予測して迎撃するシステムだ。破片の落下位置は予測できず、迎撃は不可能である。
軍事評論家の前田哲男氏は「打ち上げに成功する場合も失敗する場合もPAC3は機能しない」と指摘し、部隊展開の意図は北朝鮮の脅威の誇張と県民のために心を砕いている姿勢を示すパフォーマンスだと述べる。
そのことは2012年に北朝鮮が「人工衛星」と称して弾道ミサイルを発射した時の対応でもはっきりしている。その時はPAC3と共に石垣島に450人、宮古島に200人の自衛隊員を配備した。ところが、ミサイルが上空を通過する多良間島には数人の連絡員を配置しただけだった。
このことからも、ミサイル迎撃が目的ではなく、住民向けに「頼りになる自衛隊」の演出を狙ったPAC3配備だったと言えよう。
宮古島市、石垣市は現在、自衛隊配備の是非をめぐって市民の間でさまざまな議論が起きている。自衛隊に対する厳しい住民感情の払拭(ふっしょく)を意図したPAC3配備ならばやめるべきだ。
北朝鮮のミサイル発射通告は重大な国際社会への挑発であり、厳しく批判されている。しかし、挑発に乗って脅威をあおり、PAC3を配備しても問題の解決にはならない。外交努力を最優先し、国際社会の連携で北朝鮮に自制を促すべきだ。

八重山毎日新聞 北朝鮮の“長距離弾道ミサイル発射騒動” 2016年02月06日 不連続線
北朝鮮の“長距離弾道ミサイル発射騒動”がまた勃発した。週明け8日から25日の間に発射されるミサイルが上空付近を通過するとして、防衛省が石垣市と宮古島市に地対空誘導弾パトリオット(PAC3)配備を決めたのだ▼4年前の2012年4月にも同じルートで発射が通告され、防衛省は近海にイージス艦、那覇、宮古、石垣にPAC3を配備。大規模な迎撃態勢を展開した▼石垣では約450人(与那国にも約50人)の自衛隊員と多数の軍事車両やヘリなどが約3週間も滞在。初のPAC3配備は物々しい厳戒で市民にさまざまな波紋を広げた。結局北朝鮮のミサイルは発射直後に空中爆発して失敗。「大山鳴動して鼠一匹」の騒ぎに終わった▼当時識者は、北朝鮮ミサイルの予想軌道がPAC3の射程から大きく外れていることで住民の危険除去の意味を否定▼その上で「防衛省は北朝鮮のおかげで部隊の訓練と宮古、八重山に自衛隊配備の地ならしができたと感謝状を贈りたいほど喜んでいるはずだ」と揶揄(やゆ)していた。そういう姑息(こそく)な思惑の配備が今回も一方的に許されていいものか▼前回市民から「そういうものに巨額の税金が使われるのはおかしい」と疑問があったが、加えてその受け入れが事実上市長の一存で決められているのも疑問だ。(上地義男)

意外な人物も、冷静な分析をしている(^_^)

国際社会は北朝鮮のミサイル発射だけが容認できない。中国でもロシアでもその他の国でも北朝鮮よりも頻繁にミサイル発射をしているが騒ぎになることはない。これは北朝鮮だけが悪い国という理由なのか。違うと思う。それぞれの国の思惑で大騒ぎしているだけだ。どうせ何事も起こらない。

北朝鮮がミサイルを発射したとか。どこかを狙って発射したわけではない。通常の発射訓練である。どうせ何事も起きないから安心していい。それぞれの国の思惑があって大騒ぎしているだけだ。

「(人工衛星打ち上げロケットではなく)ミサイルの発射訓練」という認識以外は、今回だけは、田母神氏の見解に賛成である。
まあ、軍事専門家としては、当然の判断だろう。

落ちてこないロケットの部品より、落ちてくる米軍機の部品の方が危険。

まさしく落ちくる確率の極めて低いロケットの部品より、落ちてくる米軍機の部品の方が危険という事態が、沖縄で起こっている。今日の「琉球新報」の報道だ。
米給油機から部品落下 先月29日 宜野湾市が防止策要求
こちらの方が、住民にとってはよほど現実的な「脅威」だ。
たまたま、確率の低いことが偶然起こったのではなく、こうしたことは頻繁に起こっている。
部品の落下だけでなく、時にヘリコプターや飛行機本体が墜落することもある。
アメリカ本土では「野生動物の生態系に与える影響が、、、云々」で飛行ルートから外すのに、沖縄では(日本では)、平気で民間住宅地の上を飛ぶ。
安全性に対する、許されないダブルスタンダードだ。

韓国のロケット発射と比べても桁違いのダブルスタンダード

ダブルスタンダードと言えば、韓国のロケット打ち上げの際の対応との違いがあまりにひどすぎる。
韓国は2009年、2010年、続けてロケットの打ち上げに失敗している。
1号の破片はオーストラリアに落下、2度目のロケットの残骸は東経128度、北緯30度付近、済州島南端の公海に落下したと推定されている。
2013年1月、3回目の打ち上げを行っているが、当時日本はこれほど大騒ぎしなかった。
韓国が打ち上げた人工衛星「羅老3号」は北朝鮮の弾道ミサイルに近い軌道を通り、沖縄の南西諸島上空を通過したが、打ち上げ失敗に備えた破壊措置命令を出さなかった。(注2)。


にほんブログ村 政治ブログへ にほんブログ村 ← 応援クリック、よろしくお願いいたしますm(_ _)m。
このサイトはリンクフリーです。リンク・シェア、大歓迎 !!


・注1
北朝鮮、「人工衛星の軌道進入に成功」と発表
http://www.nikkei.com/article/DGXLASGM07H1M_X00C16A2000000/

防衛相「地球の周回軌道にのった可能性」
http://www3.nhk.or.jp/news/html/20160207/k10010401281000.html

「飛翔体、五つに分離」 日本政府、北朝鮮ミサイル分析
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20160207-00000018-asahi-int

・注2
https://ja.wikipedia.org/wiki/羅老_(ロケット)

[ 補足 ]
弾道ミサイルと人工衛星打ち上げロケットはどちらも技術的には同じもの。
先端に載せているものが地球の周りを周回すれば人工衛星。
大気圏外から再び地表の目標(付近)に爆弾を運ぶことができたら大陸間弾道弾。
日本が果たして軍事利用を目的に人工衛星打ち上げロケットを開発しているかどうかし不明ですが、やろうと思えば日本もすぐできます。
冷戦時に米ソが宇宙開発で競ったのは、同時に弾道弾ミサイル開発競争でもあったわけです。ソ連に先を越され焦ったアメリカはアポロ計画で逆転しました。
「ミサイル」「人工衛星」「ロケット」の違いはこちらのサイトが詳しい。(今回の報道の問題点も)

「北朝鮮ミサイル発射」という”大本営発表”

(解説)弾道ミサイルと人工衛星打上げロケットについて

今回、北朝鮮が打ち上げたものは正確に言うなら、「弾道ミサイル開発の技術的蓄積をかねた(または、弾道ミサイル技術を利用した)人工衛星打ち上げロケット」。

ところで、ダブルスタンダードと言えばもう一点。
アメリカ、ロシア、中国、その他各国、弾道ミサイルの試射や人工衛星打ち上げ、何度もやっているはず。人工衛星なら日本だって何度も。
なぜ、北朝鮮だけが非難されるのか。
「『弾道ミサイル技術を利用した発射』を禁止した国連安保理決議の違反」といえば、その通りだろう。
背景には、先日の核実験があり、今回の行為はそれとリンクした軍事的挑発行為だろう。
どこの国であろうと軍事的徴発行為など認められないし、北朝鮮を擁護する気など全くない。
しかし、軍事的挑発に乗ってこちらも軍事的に対応するのは愚かなこと、しかもそれが国内世論を誘導するためだとしたらなおさらだ。

核開発にしろ、弾道弾ミサイルの開発にしろ、現核保有国(弾道ミサイル保有国)が、非保有国の開発を非難するのは、それもまた特権独占のためのダブルスタンダードだ。
もちろん開発は非難されるべきだが、それなら保有国は、自国の核や弾道ミサイルを放棄するのか ?

[ 2/8追記 ]
周回軌道に乗ったという報道もありましたので、今回のは明らかに「人工衛星」でしよう。
ただ、その衛星の機能(気象観測とか)がどの程度のものかはわかりません。
前回も「おもちゃ」という評論もありました。
弾道ミサイルと人工衛星打ち上げロケットはどちらも技術的にはほぼ同じものですが、弾道ミサイルには「大気圏再突入の際の耐熱技術」や「正確に目標に向けて落下させる制御技術」など独自の技術も必要です。
だから今回のロケットを「事実上の弾道ミサイル」と表現するのは無理があるでしょう(注3)。搭載されていたのは「再突入体(弾頭)」ではなく「人工衛星」でした。
しかし、北朝鮮の本音は、「地球観測衛星」を持ちたいわけではなく、弾道弾ミサイルの技術を蓄積したい、アメリカまで届くミサイル技術を持っていることをアピールしたいということでしょう。
その点では北朝鮮側に大義があるわけではなく、擁護する気も全くありません。
ただ、必要なのは今後の日朝関係、東アジアの平和、六カ国協議、拉致問題、などなどどうするのかという冷静な議論であって、軍事的に狙われたわけでもないのに自国世論を誘導するために利用するのは許されないと思います。
あたかも日本を狙って打ち込んでくるかのような報道もありましたがとんでもない。
現実にあった脅威は、コントロールを失ったロケットやその部品が日本に落ちてくるかどうかだけですが、その可能性の限りなくゼロです。
もしそうなったらPAC3迎撃ミサイルでは役に立ちません。脅威を煽るためのデモンストレーションです。
米軍が、米軍基地(嘉手納弾薬庫とか辺野古弾薬庫とか)に迎撃ミサイルを配備したというニュースを少なくとも私は見ていません。原発周辺に配備したというニュースも。落ちてくる可能性は限りなくゼロと判断していたということだと思います。

やっかいな隣人が相手だとしても、常に事実に基づく冷静な議論が必要だ。パフォーマンスでなく、地道で実質的な努力を。

沖縄タイムス[大弦小弦]こんな時だからこそ立ち止まって…
 こんな時だからこそ立ち止まって考えたい。政府が「ミサイル」と呼ぶ物の正体は何だろう。北朝鮮は「人工衛星用ロケット」と主張している
▼2009年の発射直後は政府も「飛翔(ひしょう)体」という、分かりにくいが中立的な言葉を使っていた。その後なぜかミサイルに変わり、前回12年12月、そして今回の発射で人工衛星の地球周回が確認されても呼び方を変えない
▼先端に載せるのが弾頭か人工衛星かの違いで、技術的に共通点が多い。制止も聞かず、核実験を強行する国が打ち上げ技術を誇示するのは危険極まりない。その通りだが、衛星は衛星だ
▼宮古島市と石垣市への迎撃ミサイルPAC3配備はなぜか。軌道を計算できない破片には無効だと、専門家が繰り返し指摘している。万が一ミサイル本体が向かってきたら、射程わずか数十キロのPAC3は10セット以上なければ全県をカバーできない
▼危機の演出、自衛隊のPRという以外に説明できない。北朝鮮の暴走を利用している。今後、両国間で対立が深まった場合、北朝鮮だけでなく政府も事態をあおる可能性がある
▼やっかいな隣人が相手だとしても、常に事実に基づく冷静な議論が必要だ。パフォーマンスでなく、地道で実質的な努力を。携帯電話メールで「上空をミサイルが通過した」と告げられた者として、望みたい。(阿部岳)

・注3
「事実上の弾道ミサイル」という表現の陥し穴
http://gohoo.org/16020802/

北朝鮮による「事実上の長距離弾道ミサイル」発射をどう見るか
http://blogos.com/article/159439/

[ 2/9追記 ]
早速、北朝鮮「ミサイル」問題を利用して、日本政府は高高度防衛ミサイル迎撃システム(THAAD)の導入を検討。
軍備増強、アメリカ軍需産業を喜ばせるだけの無駄遣い。緊張を激化させるだけ。

アングル:北朝鮮ミサイル発射、米国のアジア防衛網構築の弾みに
http://jp.reuters.com/article/northkorea-satellite-missiledefense-idJPKCN0VH0CM

菅氏、高高度防衛ミサイルの配備「検討」 費用膨大で防衛予算増も
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201602/CK2016020902000132.html

高高度防衛ミサイル検討を加速 官房長官が言及
http://www.tokyo-np.co.jp/article/politics/list/201602/CK2016020802000198.html

THAAD配備協議 韓米のミサイル防衛協力に弾みか
http://japanese.yonhapnews.co.kr/headline/2016/02/08/0200000000AJP20160208000900882.HTML

政府、開発能力の進展を警戒 高高度防衛ミサイル導入を検討
http://www.sankei.com/politics/news/160208/plt1602080042-n1.html

ミサイル防衛システム協議発表、韓国に中国抗議
http://www.yomiuri.co.jp/world/20160208-OYT1T50124.html?from=ycont_latest


にほんブログ村 政治ブログへ にほんブログ村 ← 応援クリック、よろしくお願いいたしますm(_ _)m。
このサイトはリンクフリーです。リンク・シェア、大歓迎 !!


広告

コメントを残す

以下に詳細を記入するか、アイコンをクリックしてログインしてください。

WordPress.com ロゴ

WordPress.com アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Twitter 画像

Twitter アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Facebook の写真

Facebook アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

Google+ フォト

Google+ アカウントを使ってコメントしています。 ログアウト / 変更 )

%s と連携中