カテゴリー: 憲法

教育勅語のキモは「天皇のために死ね」、では、道徳を説いた部分は今でも通用するのか。いや、道徳こそが問題。

教育勅語現代語訳

教育勅語のキモは「天皇のために血を流せ」。では、道徳を説いた部分は今でも通用するのか。

教育勅語って何だ !? そのキモは「天皇のために死ね」

江戸時代の庶民は天皇なんか知りませんでした。そこで明治期に天皇(と明治政府)を権威づけるため、そして自由民権運動に対抗するため出されたのが教育勅語です。「万世一系」も明治になってから言われ出したことです。

余談ですが、「桓武天皇の生母が百済の武寧王の子孫と、続日本記に記されている事から、韓国にゆかりを感じる」と現天皇自身が発言しているし、天皇家の血筋が途絶えたのも事実。継体天皇の場合は、その名が示す通り「天皇家の血筋が絶えたので、遠く越前まで血縁者(応神天皇の五代目の孫)を探し出して天皇に即位した」と古事記にあります。

さて、本題。1880年(明治13年)に、自由民権運動の代表が集まり、国会期成同盟を結成。1881年には政府が北海道開拓使の施設を安く、民間に払い下げようとして問題になった(なんだかなあ)。自由民権運動・国会開設運動はさらに高まる。こうした中、1890年(明治23年)に「教育勅語(教育ニ関スル勅語)」が公表された。

形式的には、1890年10月30日、宮中において、明治天皇が山県有朋内閣総理大臣と芳川顕正文部大臣に対して与えた勅語、と言う体裁を取る。ただし実際は井上毅・元田永孚らが起草した[1]。
その趣旨は、家族国家観による忠君愛国主義と儒教的道徳であり、教育の根本は皇祖皇宗の遺訓とされた。忠君愛国を国民道徳として強調しており、学校教育で国民に強制され、天皇制の精神的・道徳的支柱となった。
教育ニ関スル勅語

勅語の形式で発布された近代日本の教学の最高規範書。井上毅,元田永孚らが起草。1890年10月30日発布。家族国家観に基づく忠君愛国主義と儒教的道徳を内容とする。
教育勅語とは コトバンク 百科事典マイペディアの解説

「家族国家観による忠君愛国主義と儒教的道徳」「家族国家観に基づく忠君愛国主義と儒教的道徳」←ここ、大事ですよ。その点はあとで書くとして、肝心の教育勅語の中身はどうなっているのか。わかりやすい「現代語訳」がネットで話題となっているので引用させていただく。あまりにも「現代語」すぎて笑いそうになるが、あとからジワジワとおぞましさが染みてくる。

たとえば、「朕惟フ」と言うと、ふつう「私は思う」と訳す。もちろん間違っていない。でも、なんか違う。「朕」を使えるのは、天皇ただひとり。同時代で、「朕惟フ」を読んだ人は、「私は思う」とは受けとらなかったんじゃないかな。正確だけれど「正しくない」訳、そんな気がする。
教育勅語①「はい、天皇です。よろしく。ぼくがふだん考えていることをいまから言うのでしっかり聞いてください。もともとこの国は、ぼくたち天皇家の祖先が作ったものなんです。知ってました? とにかく、ぼくたちの祖先は代々、みんな実に立派で素晴らしい徳の持ち主ばかりでしたね」
教育勅語②「きみたち国民は、いま、そのパーフェクトに素晴らしいぼくたち天皇家の臣下であるわけです。そこのところを忘れてはいけませんよ。その上で言いますけど、きみたち国民は、長い間、臣下としては主君に忠誠を尽くし、子どもとしては親に孝行をしてきたわけです」
教育勅語③「その点に関しては、一人の例外もなくね。その歴史こそ、この国の根本であり、素晴らしいところなんですよ。そういうわけですから、教育の原理もそこに置かなきゃなりません。きみたち天皇家の臣下である国民は、それを前提にした上で、父母を敬い、兄弟は仲良くし、夫婦は喧嘩しないこと」
(中略 もちろんキモはここ↓です。)
教育勅語⑥「というか、永遠に続くぼくたち天皇家を護るために戦争に行ってください。それが正義であり「人としての正しい道」なんです。そのことは、きみたちが、ただ単にぼくの忠実な臣下であることを証明するだけでなく、きみたちの祖先が同じように忠誠を誓っていたことを讃えることにもなるんです
高橋源一郎氏の「教育勅語」現代語訳

一番の問題、キモは、「一旦緩急アレバ義勇公ニ奉ジ、以テ天壤無窮ノ皇運ヲ扶翼スベシ(万一危急の大事が起つたならば、大義に基づいて勇気をふるひ一身を捧げて皇室国家の為につくせ)」というところにある。高橋氏の訳によれば「永遠に続くぼくたち天皇家を護るために戦争に行ってください」という部分である。

この教育勅語のおかげで、アジア太平洋で3,000万人が犠牲となった。

だから教育勅語は戦後民主主義の価値観と相容れず、戦後、「これらの詔勅の根本的理念が主権在君並びに神話的国体観に基いている事実は、明かに基本的人権を損い、且つ国際信義に対して疑点を残すもととなる。よつて憲法第九十八条の本旨に従い、ここに衆議院は院議を以て、これらの詔勅を排除し、その指導原理的性格を認めないことを宣言する」として、1948年6月、衆参両院でそれぞれ無効・廃止が決議されている。教育勅語の廃止は戦後の教育の原点と言ってもいい。自民党の二階俊博幹事長ですら、教育勅語の暗唱は時代錯誤と言わざるを得なかった。(教育勅語の暗唱は時代錯誤 自民幹事長)

参考 :・ 横路孝弘議員の稲田防衛大臣に対する質疑
   ・教育勅語はどこがダメか

では、道徳を説いた部分に問題はないのか。

道徳を説いた部分は今でも通用するのか。教育勅語擁護派は、「この徳目のどこが問題だ」と主張しているし、批判派の中にも、ここはさほど問題ないという意見がけっこうある。果たしてそうであろうか。

1. この徳目は何を言いたいのか。言葉面だけではわからない。「忠君愛国主義と儒教的道徳」は一体のもの。

たとえば、「父母ニ孝ニ兄弟ニ友ニ夫婦相和シ」という部分。教育勅語は、ただ単に「兄弟仲よく、夫婦も仲良く、親孝行せよ」と道徳を説いているのではありません。人が仲良くするには二通りある。互いに平等に、相手との価値観の違いを認め合うという方法。もう一つは、片方が他方に従う事によって、表面を取り繕い「仲良いように見せる」という方法。さて、教育勅語はどちらの立場か。

前半で、教育勅語の基本は「家族国家観による忠君愛国主義と儒教的道徳」であるところが重要と書いた。儒教思想は、人は平等ではなく、それぞれに役割、妻には妻の役割、臣民には臣民の役割がある、その役割を全うせよという思想である。「臣下としては主君に忠誠を尽くし、子どもとしては親に孝行をしてきた」ように、子は親に孝行せよ、と言っているわけです。自分の立場、役割をわきまえよ、それを前提として、仲良くしろと言ってるんですね。事実、戦前の社会において、夫婦は対等ではなかったし、女性には参政権すらなかった。民法は家父長制を基礎にしていた。戦前の社会では、家父長が絶対的な権力を持っていた。妻は夫に従い、子は親に従い、弟・妹は長男に従い、友達もまたその中の年長者に従う事が当たり前の社会であった。

そして、もう一点。「家族国家観」。国家・社会も家族と同じ構造であるとする儒教的考え方。つまり、この部分は単に道徳を説いているだけでなく、子が親に従うように、臣民は朕に従え、と。家制度のもとでは家父長が絶対的権力者であるのと同様、社会においては君主が絶対的権力者である、それは自明の理だと教育勅語は述べている。教育勅語の全体的構造が、そうなっている。「以テ天壤無窮ノ皇運ヲ扶翼スベシ」の「以テ」は、その直前の「一旦緩急アレバ義勇公ニ奉ジ」だけにかかっているのではなく、それより前全体にかかっていると解釈する事もできる。「朕惟フ」を「私は思う」と訳すのが間違い(間違いではないが正しくもない)であるように、「相和シ」を「仲良く」と訳したのでは間違いではないがその意味が正しく伝わらない。あえていうなら、戦前社会の実態からいうと「従え」と訳してもいいくらいだ。

【4/17追記】「夫婦相和し」の意味は「仲良く」ではなかった

【追記ここまで】

 政治思想史に詳しい放送大教授の原武史さんは「現憲法の国民主権、基本的人権の尊重と正反対の内容です。『良いことも書いてある』と評価する人は、一体どういう読み方をしているのか」とあきれるのだ。
 なぜなら「父母に孝に……」などの「徳目」が並ぶ一文は「以て天壌無窮の……」で結ばれる。「つまり『良いこと』のように並ぶ徳目は、すべて皇室を支えるために臣民に課す、という位置づけです。戦前の小学校でも、これが教育勅語の核と教えられた。一部を切り出し、全体を評価することはできません」と解説する。
毎日新聞 特集ワイド 最近話題の「教育勅語」肯定論は… 歴史修正主義と表裏一体

荻上 「臣民は、父母に孝行をつくし、兄弟姉妹仲よくし……」から始まる長い一文を見てみると、はじめの方は、家族を大事にしなさい、慈愛をもって人に接しなさいというような、個人に対する教えが書かれていますが、文の最後は「……万一危急の大事が起つたならば、大義に基づいて勇気をふるひ一身を捧げて皇室国家の為につくせ」となっていて、それぞれの教えはそこにつながっていく。国民個人の振る舞いを尊重するといった意味ではなくて、臣民としてのあるべき姿として天皇のために尽くせ、という図式に見えますね。

辻田 その通りで、一番強いメッセージは「天皇国家のために努力しろ」ということなんです。もともと自由民権運動を抑えるために作られたわけですから、独立、自治、民主主義などの考え方とは当然、逆の立場になるわけです。
《教育勅語》には何が書かれているのか? 辻田真佐憲×荻上チキ

「教育勅語に反対している人たちは、浮気しましょう、離婚しましょうという考えですか」などと浅はかなことを言う奴がいるが、世の中多様である。離婚せざるを得ない事情、離婚した方がお互いのため、というケースもある。その場合「離婚は権利である」。その権利を行使するかしないかは本人次第。それともそのような場合、どちらか片方(主に女性の側)が耐え忍ぶべきだというのか。また、離婚に至った場合、当事者は反道徳な人種として肩身の狭い生き方をしろ、という事なのか。もちろん離婚に至らなくても、夫婦といえども違う環境で育ち異なる価値観を持っている。その多様性を認め合わなければうまくいくわけがない。

三世代同居に対する税法上の優遇や、「家庭教育支援法」、「親子関係断絶防止法」など、安倍政権は、彼らが考える「伝統的家族」を復活させようとしている。個人の自由を押しとどめてきた「家制度」の復活は、安倍政権の軍国主義化やカルト的戦前回帰主義的指向、憲法改正と無関係ではない。彼らが「日本的伝統」などと言い出したらむしろ疑った方が良い。

参考 :・ 矛盾だらけの教育勅語は「徳目」こそが問題なのだ
   ・「家庭教育支援法」成立目指す自民 「伝統的家族」なる幻想 家族の絆弱まり、家庭の教育力低下--!?

2. 国家(君主)が国民(臣民)に道徳(特定の価値観)を強制するおぞましさ。

国家が特定の価値観を国民に強制する、いわば「公認の価値観」ほどおぞましい事はない。離婚しようがしまいがほっといてくれ、国家が口出しすべき事ではない。「公認の価値観」があるということは、他方で公認されない価値観があるという事だ。

自由民権運動対策が念頭にあったこともあり、独立自治などにつながる徳目が慎重に排除されていることは見逃せない。
「教育勅語」復活論者は、単に歴史の無知をさらしているだけ

教育勅語の350文字ほどの文言の中に、1つでも「あなたらしく」「個性的で」「多様な価値観を遵守し」「幸せに生きて」といった言葉があるでしょうか?
「教育勅語」を問題視しない人の超危険度

 道徳は、一人ひとりの「私」が、自分のありのままの心を見つめることが「はじめの一歩」で、その私の心の自由がなければ、何も始まりません。自由に想い、自由に考え、自由に行為し、その自由の結果に責任を負おうとするのが、道徳のはじまりです。個人が「それぞれ独自の内面世界をもつ人間」として精神的自立を成し遂げようとするのが、道徳なのです。
 したがって、大人が子どもに箇条書きの規範を覚えさせるというのは、その内容がいかなるものであれ、反道徳にしかなりません。一人ひとりの精神的自立を育てるための手間暇のかかる営み、その過程(プロセス)が道徳=人間的な精神を生みだすのです。
教育勅語は、「反道徳」の見本なのだ、ということが今も分からぬ日本人では哀れです。

道徳も愛国心も、人から、まして国家から強制されるものではない。国家が特定の価値観を国民に強要するなど、内面の自由の侵害に他ならないし、国民一人一人が自分の頭で考える事を放棄せよ、と言っているに等しい。親孝行がいい事であるかどうかが問題ではない。親孝行がいい事だと国家が強要してもいいのか、親孝行しない奴は不道徳な非国民だと国家が宣言する事がいい事なのかどうか、という問題なのだ。国家が道徳を説き始めたらろくな事はない。それは「自分の意見を持つな。国家が示す規範に従え」という全体主義に他ならない。

教科書検定が『我が国や郷土に愛着を』持たせるため、パン屋を和菓子屋に変えさせた件など、滑稽でもあり、バカバカしくもあるが、何よりグロテスクである。稲田防衛大臣が「日本が高い倫理観で世界中から尊敬される道義国家を目指すべき」と述べたが、これも一見正しいことを言っているように思えるかもしれないが、しかしこれって、裏を返せば「日本だけが特別」という他民族蔑視、レイシズムとコインの裏表。「ニッポンスゴイ」と同じでグロテスクで気持ち悪い。

参考 : ・国主導「世界が驚くニッポン」に「さすがに恥ずかしい」

3. 憲法改正と同じ。「道徳」云々は口実にすぎない。

しかも滑稽なのは、森友事件で明らかになったように、教育勅語擁護論者の方が、こうした道徳観と正反対な行動をとっているという事だ。嘘をつく、法を破る、昨日まで固い絆で結ばれていた友を裏切る、、、、。彼らにとって「道徳」は口実にすぎない。

それはあたかも、憲法改正に「教育無償化」や「環境権」を持ち出すようなものだ。口実は何でもいい。憲法改正という前例を作るためなら。そう主張する政治勢力が、教育無償化に最も熱心に取り組んでいるわけではない。同じように、教育勅語には道徳など今でも通用する真理が含まれていると主張する勢力にとっては、道徳は勅語を擁護する屁理屈にすぎない。道徳にしろ、教育無償化にしろ、環境権にしろ、多くの人が批判をためらうような口実であればあるほど都合がいい。

「隣人と仲良く」ということを言いたいなら、いまさら教育勅語など持ち出さなくても、隣国と、在日外国人とも仲良くやっていけるという事を、実際の行動で示せば良いではないか。子どもは親(世代)の行動から道徳を学ぶ。ヘイトやレイシズムがまかり通る今の日本は、子どもたちに「友とは仲良く」しなくてもよいという誤ったメッセージを送り続けている。正さなければならないのは、まずそちらが先だ。

参考 : ・籠池、稲田だけじゃなく小籔千豊も「教育勅語のどこが悪い」 ならば教えよう、教育勅語はここが悪い!
   ・籠池や稲田が持ち出した「教育勅語」の現代語訳は“偽物”だった! 作成したのは元生長の家シンパ
   ・「教育勅語」を愛する人々

【3/30 追記】《 森友学園問題の出発点は安倍内閣による2006年の教育基本法の改正だった 》
森友学園新理事長(娘・町浪)名による「理事長より皆様へ」と題する総括文書が3/30付けで出された。
http://www.tukamotoyouchien.ed.jp/wp-content/uploads/07216f9fab6acf7d288005900360f996.pdf
それなりに真摯な内容だと思う。
この中で、注目すべきは「(愛国教育は)教育基本法が平成18(2006)年に改正された際に新たに設定された「我が国と郷土を愛する態度を養う」との教育目標を活かそうとした結果(一部中略)」と述べている点だ。そして、今後は(第一次安倍内閣時に改正される以前の)教育基本法の精神に戻ると述べている。
この教育基本法改正では、第1条(教育の目的)から「真理と正義を愛し、個人の価値をたつとび、勤労と責任を重んじ」という文言を削除し、
第二条では、(教育の方針) を(教育の目標)と書き換え、「この目的を達成するためには、学問の自由を尊重し、実際生活に即し、自発的精神を養い、自他の敬愛と協力によつて、文化の創造と発展に貢献するように努めなければならない」という部分も削除された。
元の第二条は、抽象的、普遍的な内容だったが、新たな第二条では、かなり具体的な目標を5項目並べ、第1項目では道徳心に、第3項目では公共の精神に触れ、その5番目が「伝統と文化を尊重し、それらをはぐくんできた我が国と郷土を愛するとともに、他国を尊重し、国際社会の平和と発展に寄与する態度を養うこと」という内容となった。
この改正は、教育勅語の反省から生まれた教育基本法の精神を根本的に踏みにじるものだった。
http://www.mext.go.jp/b_menu/kihon/about/06121913/002.pdf
この改正案は第1次安倍内閣(自公連立政権)の下、11月16日、衆院本会議で自民、公明両党などの賛成多数で可決した。民主、共産、社民、国民新の野党4党は15日の衆院教育基本法特別委員会で与党が単独で採決したことに抗議して16日の本会議を欠席した。12月15日午後には参議院の本会議で成立した。

【3/31 追記】《 「正気ですか?「パン屋は愛国心が足りない」という道徳教育の愚」より 》

道徳教育はかならず政治に翻弄される。これは避けられない。そして道徳教育が中立的でも科学的でもありえない以上、そこにはつねに価値観の押しつけなどの問題が含まれてしまう。
正気ですか?「パン屋は愛国心が足りない」という道徳教育の愚

【4/4 追記】
政府が教育勅語を教材で用いること否定しない答弁書を決定した。
「「憲法や教育基本法等に反しないような形で」ならOKという言い分だが、教育勅語は戦後の国会で、排除・失効を決議されている。その存在自体が憲法違反であり、憲法に違反しない形で用いることなど不可能だ。なぜ、そこまでして教育勅語を否定することを拒むのか。「国権の最高機関」である立法府が決めた事を、行政府が覆す事はできない。


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機動隊が沖縄県民に侮蔑的発言。しかし、これは沖縄だけの問題ではない。

沖縄高江に派遣されている機動隊員が、反対派住民を侮蔑する驚くべき事態が発生した。

沖縄県民を土人呼ばわりする大阪府警の機動隊員

高江警備暴言、「シナ人」も 別の大阪府警機動隊員

このような事が許されるわけがない。責任者の首が飛んでもいいくらいの出来事だ。「土人」「シナ人」て、そもそもいつの時代の話だよ。そう言う発言をする人間の人権感覚が戦前のままかよ。

沖縄に対する差別が根強くこの社会に蔓延している

今回の事件は積もり積もった沖縄への差別感情が爆発した形だ。沖縄県民を、同じ「日本国民」としてみていない、いや同じ人間としてみたいない、という事が暴露された。まさに、沖縄への構造的差別の問題である。「シナ人」に至っては中国人に対しても失礼。

差別する側は、差別される側の痛みを感じ取る事ができないのだろうか。

香山リカ@rkayama
沖縄の知人と電話した。「土人だなんて、機動隊員、疲れてたのかなー?」と明るめに言う彼女に、「残念だけど沖縄人への差別だと思う」と答えると、「やっぱそうなんだよね……」と急に涙声になった。ゴメン。差別されてるなんて認めたくないよね。認めたら心こわれるよね。絶対許さないし絶対なくす。

そして、もうひとつ。警察でどのような教育が行われているか。あからさまな敵視感情。警察はもはや「政治的中立」を放棄した(まあ、今に始まった事ではないが)。仮に相手が刑事事件の被疑者であったとしても、相手を侮蔑してよいという事にはならない。侮蔑的感情が根底にあれば、公平に職務の執行など期待できないであろう。

先の暴言は大阪府警の機動隊員だが、福岡県警も同罪である。

sunちゃん@gabigabu03
19日に名護署の抗議集会に参加したうるま市の男性によると警察官が「抗議に来る人は善良な市民ではない。出てください」と発言したという。名護署は事実関係を調査中としている。
この日 名護署前にいたのは福岡県警。

善良な市民であるかないかを決める権限など警察にはない。「反対派が善良な市民であるわけない」という予断と偏見を持ったまま、警察官が公務を行うなど許されない事だ。次々とこうした事例が発覚するという事は、これは発言した一個人、あるいは大阪府警、福岡県警だけの問題ではない。まさに警察の体質、警察での教育の問題だ。

この事態に沖縄県知事を始め、沖縄県側が反発し、批判しているのは当然であろう。

 「土人」発言は、反対運動の市民だけでなく、県民の心を深く傷つけた。警察への信頼も大きく失墜させた。機動隊員の監督責任者は県民に対し明確に謝罪し、発言した隊員を警察法や侮辱罪などの法令に基づき厳正に処罰すべきだ。
 現場の機動隊員は全国から招集されている。隊員の差別発言は、監督者の責任も問われる。隊員に対し、沖縄の基地問題や建設に反対する民情を理解させ、公正中立の立場で職務を行わせる指導、監督をおろそかにした責任は大きい。
 フェンスを挟んで向き合う市民への「土人」の暴言は、行動を抑制するのでなく挑発そのものだ。工事を邪魔する者は排除すればいいという、安倍政権、沖縄防衛局の意思を反映したものだろう。
 建設を至上命題とする政府の意を受け、あるいは指揮の下に、警察法が規定する「公平中正」を逸脱する警察活動が行われているのは明白だ。
 沖縄差別は歴史的な問題だ。琉球処分、大戦時には沖縄を本土防衛の防波堤にし、戦後は米軍占領を許し、米軍基地を集中させた。
 政府の沖縄に対する歴史に根差した「構造的差別」の延長線上に、辺野古新基地建設、ヘリパッド建設がある。
 県知事選、名護市長選、県議選ほか幾たびの国政選挙で県民は基地反対の民意を示してきた。民意を踏みにじり基地建設を強行する国家政策そのものが「構造的差別」と言わざるを得ない。
 沖縄は日本の植民地ではない。沖縄差別、今回の「土人発言」の責任は政府の差別政策にある。沖縄に対する構造的差別を改めぬ限り、不毛な対立は終わらない。
琉球新報<社説>警察「土人」発言 「構造的差別」責任は政府に

機動隊員「土人」発言 激しい罵倒 その精神構造から見えるものは

「土人」発言、沖縄県警が謝罪 「事実」「極めて遺憾」

翁長知事「言語道断」 「土人」発言、機動隊撤収にも言及

「言語道断で到底許されない」 翁長知事、「土人」発言を強く批判

他県からの機動隊の応援は、一応形式上は、沖縄県公安委員会の要請にもとづいて行われている(しかも経費は沖縄県側負担)。
沖縄県公安委員会と沖縄県知事は、応援部隊の撤収を検討すべきである。

これは沖縄への構造的差別である。しかし、沖縄だけの問題ではない。

驚くべき事に、この大阪府警機動隊員の行動を擁護したのが松井大阪府知事である。
「発言は不適切だが、個人を徹底的にたたくのは違うのではないか。相手もむちゃくちゃ言っているのに、すべて許されるのか」。
「混乱を引き起こしているのはどちらなんですか」「反対派の皆さんもね、その反対行動、あまりにも過激なんじゃないか」。
「表現が不適切だとしても、大阪府警の警官が一生懸命命令に従い職務を遂行していたのが分かりました。出張ご苦労様」。

「土人」発言報道「やり過ぎ」 松井大阪府知事が見解

<沖縄ヘリパッド>松井知事「暴言」擁護 「売り言葉に…」

沖縄ヘリパッド「土人」発言機動隊員に「出張ご苦労様」

松井一郎認証済みアカウント@gogoichiro
ネットでの映像を見ましたが、表現が不適切だとしても、大阪府警の警官が一生懸命命令に従い職務を遂行していたのがわかりました。出張ご苦労様。

知事が、公務員である警察官のヘイト発言、侮蔑的差別的態度を擁護するなど問題外である。辛坊治郎とか言うジャーナリストまがいが松井知事を擁護しているが問題外の二乗。

一方で、米山隆一新新潟県知事が立派な(というか、これがあたりまえ)ツイートをしている。

米山 隆一 ‏@RyuichiYoneyama
どのような立場でも、どのような状況でも、人は人に対して可能な限り敬意をもって接すべきです。まだ任期は始まっていませんが、私なら、自県の職員が、他県で他県の方に敬意のない対応をした時に、謝罪し、以後改めるよう強く指導することはあっても、「出張ご苦労様」ということはありません。

しかし、問題はそれだけにとどまらない。これは沖縄だけの問題ではない。
つい先日、「警察・海上保安庁・自衛隊に敬意を表す」として、首相と国会議員がスタンディングオベーションを行った。
国策のために「命を賭して任務を遂行する者」は、敬意に値する、というわけだ。国民の中に、「特別に敬意を表すべき者」と、そうでもない者が存在するという発想自体が、法の下の平等に反する。それは、裏返せば、「国策にたてつく者は非国民」という事に他ならない。
民意より、国策が大事、というわけだ。それはどこかで、非国民や敵国の人間を敵視、差別視し、ひいては虐待しようと殺害しようと、任務(国策)を遂行する者は尊いという発想につながる。憲法の精神から見たらまるで逆転の発想が、大手を降ってまかり通る。

本当に怖い時代に突入しつつある。これは沖縄だけの問題ではない。

【関連記事】
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沖縄「被害者を追悼し、沖縄から海兵隊の撤退を求める県民大会」に65,000人
頭を下げるアメリカ人に強い違和感。地獄への道は善意で舗装されている。
橋下徹のトンデモ発言。だが、風俗では性暴力は防げない。軍隊の「力による支配」こそが問題。基地の大幅縮小と地位協定の抜本改正を。
またしても元米兵によるレイプ殺人事件。何回繰り返されるのか、いつまで悲劇を沖縄に押し付けるのか。
和解からわずか3日で是正指示。普天間と辺野古はセットという発想こそが迷走の原因。新基地建設の理由がない。
辺野古新基地、国と県が和解。しかし国は「辺野古が唯一の解決策」という姿勢を崩さず。- 米軍は何度も撤退を検討。それを押しとどめてきたのは日本側。
【普天間・辺野古問題】安保村の官僚は時の総理(鳩山元首相)すら騙して、基地を押し付ける。
1997年5月15日、沖縄・伊江島の反戦地主は、基地ゲート前で餅をつきカチャーシーを踊った。
宜野湾市長選の最大の争点 辺野古移設が唯一の解決策か
安倍自民とナチスはそっくり。報ステが渾身の「緊急事態条項」特集。改正99条が現憲法9条も議会制民主主義も地方自治、基本的人権も破壊する。
おおさか維新は既得権打破の改革派 ? いえ、完全与党サイドの改憲派。自民より危険なハシズム。【2016参議院選】

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【10/21追記】蔓延する差別と蔑視、人権無視は構造的。
以前の記事で引用したリテラの記事をもう一度引用しておきたい。この文中の「軍隊」を「警察(あるいは松井知事、日本政府)」に、「女性」を「沖縄県民、あるいは反対派住民」と読み替えていただくと、今回の事件の背景がよくわかる。

 そして、軍事主義のジェンダー分析の第一人者であるシンシア・エンローが指摘する「軍事化された男性性」が、米軍内部でいかに形成されているかを、こう綴る。
〈軍にとって最も難しいのは、人に人を殺せと教え込むことであり、それを教え込むには、他人が自分より「劣る」生き物だという考え方を吹き込んで、周囲の人間は人間ではないと思わせることだという研究結果がある。(中略)軍の訓練と軍の日常生活の文化によって助長される、周囲の人間など人間ではないという観念の中心となるのが女性蔑視──女性は男性より劣るという考え方だ。軍の組織ぐるみの売買春は、女性など人間ではないと思わせる重要な装置であり、その考え方を不滅のものにするのが、軍事化された男性性だ〉
リテラ 沖縄米軍属の事件にも冷淡な態度の安倍首相…一方で米大学准教授がレイプ事件は基地があれば必然的に起きると指摘

国策遂行を任務とする警察官・自衛隊員は尊い存在だ。それに較べて沖縄県民や基地に反対する住民(ひいては現政権に批判的な人々)は、自分より「劣る」生き物だ。そうした感覚が警察内で助長され、一般社会でもネトウヨなどによってまき散らされる。そうした感覚抜きに警察官・自衛隊員は任務を遂行する事ができない。そうした感覚が警察や自衛隊の「中立性」を蝕む(そんなもの最初からないというご指摘もあろうが)。
自分の住む場所から地理的に遠い沖縄、そこにも人々の歴史があり文化があり、暮らしや人生がある事には思い及ばない。同様に、自分から見て思想的に遠い場所にいる「反対派住民」などの権利など考慮する必要などない。そうした「不寛容」な空気が蔓延する。それはファシズムの温床だ。


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2016参議院選挙結果。野党は勝ったのか負けたのか。リベラル派の声はどこまで届いたのか。

参議院選の投票日から1週間が経った。それについていろいろな評価や分析はほぼ出尽くした感がある。今さらという気もするが、私なりの感想をまとめておこうと思う。
各党比例得票の推移
・画像は【図解・政治】参院選/比例選の政党別得票率(2016年7月)から

2016参議院選、野党は負けた? それとも勝った ?

選挙の結果、自民、公明、おおさか維新など憲法改正を目指す「改憲勢力」が衆参両院で2/3以上の議席を占める事になった。これを阻止する事が今回の選挙の最大の争点(のひとつ)と訴えてきた野党にとっては重大な敗北というしかない。

特に、大阪、兵庫など近畿の6選挙区では、自民6、公明2、おおさか維新3候補全員が当選し、改憲勢力が12議席のうち11議席を独占した(野党側は京都の民進1議席のみ。民進は大阪、兵庫、滋賀、奈良で現職4議席を失い、共産党も大阪で当落線上にいた候補が落選した)。おおさか維新は関西限定ではあるが、まだ大きな影響力を持っている(注1)。

しかし、沖縄では野党統一候補が圧勝し自民候補である現職閣僚を落選させた。その結果、沖縄の衆参全議席6議席がが反自民となった。福島でも野党統一候補が勝利し現職閣僚を落選させるなど、東北北海道でも、野党が優勢だった。1人区では秋田を除いて、青森、岩手、宮城、山形、福島で野党統一候補が5勝1敗で自民候補に勝った。北海道(3人区)では、民進が3議席のうち2議席を確保した。32あるすべての一人区で野党統一が成立し、統一なしには壊滅状態と予想されていた野党が11議席 = ぎりぎり1/3をを確保した(今回、自公の当選者は21。2013年の一人区での当選者は自公29対野党2/31選挙区)。

無党派層の比例投票先は民進と自民は互角となった東京選挙区で無党派層がどの候補に投票したかを見ると半数近くが非改憲勢力の民進・共産を支持した。

 4党の比例代表の合計得票と統一候補の得票を比較すると、28選挙区で候補者の得票が上回った。与党支持層の一部を取り込んだとみられ、選挙協力は単純な「足し算」以上の効果を生んだといえる。
 野党4党の比例代表の合計得票を統一候補の「基礎票」とみなし、選挙区の結果を分析した。32選挙区の平均では候補者票は比例票より21%多く、最多は山形の71%増。愛媛が66%増、長崎と沖縄がそれぞれ40%増で続いた。このうち山形と沖縄では野党統一候補が勝利した。
 公明支持層は「自民候補」71%、「野党統一候補」23%という結果になり、民進候補が当選した宮城と大分では、公明支持層の3割が民進候補に投票したと答えた。

選挙結果の分析(その1) 共闘「足し算」以上 野党、与党票取り込み

沖縄では基地の過重負担や米軍の犯罪、福島をはじめとする東北北海道では、原発、復興、TPP問題など、有権者にとって身近な問題が争点となり対決軸が明確である地域では野党側が勝利している。参議院選と同時に投票となった鹿児島県知事選挙では、川内原発の停止・点検を訴えた反自民の無所属新人三反園訓氏が4回目の当選を目指した現職候補を破って当選した。

自主規制で争点隠し、選挙隠しに加担したマスメディア

事前・事後の各種世論調査では、憲法改正反対が多数派で、改憲勢力が2/3以上となる事に反対も多数派だが(注2)、選挙結果は異なった。投票日以降「改憲 2/3」「憲法って何?」「自民党改憲草案」などのキーワードでの検索が増えたという。EC離脱の国民投票で思わぬ結果となったイギリス国民を笑ってはいられない。

安倍総理は、選挙前には憲法改正に意欲を示していたが、選挙になったとたんに争点ではないと言い出した。マスメディアは政権与党の意向を忖度して自主規制を行った。争点隠しをしただけではなく、ニュースなどで「参議院選挙」自体を取り上げない選挙隠しを行った。

参院選 放送時間3割減 争点隠し影響か

参院選“改憲隠し”はテレビも同罪! 結果が出たとたん「改憲勢力3分の2確保」「バックに日本会議」と後出しジャンケン

「選挙前にやってくれ」~テレビ各局の2016参議院選挙特番に

「野党がだらしないんじゃなくて、メディアがだらしないんだよ。」「ほんとよね。マスコミは電波止めるぞ!の脅しで、いいなりなんだろうな。安倍政権に都合が悪くなるから、選挙前は都知事選ばっかり」というRetweetは全く同感である。

NHKニュース7とニュースウォッチ9が参院選についてやらなすぎておそろしすぎる件

改憲派が今回の参議院選で、非改選とあわせて「3分の2」以上の議席を占めれば憲法改正を発議できるという意味を知らない有権者が多数を占め、その事について議論が深まったとは言えない。

【参院選 土佐から】改憲への「3分の2」 高知で83%意味知らず

「3分の2」の意味、浸透せず 「考える余裕ない」

改憲議論「深まっていない」62% 連続世論調査

京都新聞の調査によれば、「改憲勢力が改憲発議に必要な3分の2以上の議席を占めたことについて、評価する声は(100人中)22人にとどまった。憲法改正の国会発議についても「急ぐべきではない」が半数近くを占め(た)」「自民の改憲草案に「目を通したことがない」が(全有権者の)75%で、改憲勢力3分の2を「よかった」と評価する人では、さらに目を通していない割合が高かった(82%)。」(国会発議「急ぐべきでない」半数 憲法改正テーマに緊急調査)

改憲内容知らなくても改憲支持
・画像は【どあほう】自民党憲法改正草案「目を通したことがない」≪全体では≫75%、≪改憲勢力3分の2「よかった」では≫82% 京都新聞調査

マスメディアにとっては政府やスポンサーの意向に左右される面もあるだろうが、視聴者の支持(視聴率)も大きな判断材利用になるはずだ。抗議と激励の声を届けよう。

【重要】参院選のニュースを流さないニュース番組には、抗議の電話をバンバン入れましょう。視聴者からの電話が大量にかかってくれば、テレビ局は無視できませんし、本当は参院選を報道したい現場のバックアップにもなります。ニュース番組を監視し、圧力をかけましょう!

7月16日の報道特集「参議院選挙」で金平キャスターは次のような発言をしている(facebookで紹介していた方がいらっしゃったので引用させていただきます)。こうした報道にはぜひ応援メッセージを送ろう。

 「沖縄で取材していた実感からいうと、現職閣僚が落選した翌朝、高江の米軍ヘリパッド基地への着工をやる。その後に辺野古の工事の再開を示した。民意というのがどのように示されようが、聞く耳を持たないということに、非常に怒っている沖縄の県民の声を耳にしたものだから、こういうことをやっていると国と沖縄の溝はますます深まっていくような気がする」
 「有権者の関心が高まらなかったという現実があるようだけれども、その責任の一端として、私たちメディアが事前に争点を提示するという機能が十分だったかということは、私たちも反省してみる必要があるのではないか」

石動 芳治さんのFacebook投稿

マスメディアの自主規制、あれもダメこれもダメの公職選挙法など、国民は判断材料を奪われ、目も耳も塞がれている。単なるイメージだけで判断せざるを得ない状況だ。

若者は意外と保守的 ??

共同通信社の出口調査によると、18、19歳の比例代表投票先は、自民党が40.0%でトップである。全年齢平均で35%より多い。一方民進党への投票は19.2%(全年齢21%)。この調査によると、18、19歳で男性の55.4%.女性の37.1%が改憲に賛成しています。反対は男性の40.8%、女性の54.5%です。比例の投票先は、男性の43.7%女性の35.8%が自民党。男性の方がずっと多い。民進党に入れた人は、男性の16.5%女性の22.4%でした。

沖縄のある高校で行われた模擬投票では、実際の選挙では落選した自民候補が「当選」となった(「同校の生徒会と那覇青年会議所のメンバーが合同で実施した」という点にやや疑問は残るが)。

 沖縄尚学高校の生徒が参院選に先立って実施した模擬投票の開票作業が12日までに行われ、実際の選挙では涙をのんだ島尻安伊子氏(51)が443票で“当選”した。伊波洋一氏(64)は392票で次点、金城竜郎氏(52)は196票だった。
同校は「先入観の少ない高校生の感覚が反映されているのでは。必ずしも争点や政策をぶつけ合う内容ではなかったため、華やかさや親近感という点で島尻さんが一枚上手だったのかもしれない」と話している。

高校生は島尻氏が“当選” 沖縄尚学高で1107人模擬投票

若者は意外と保守的という調査は数年前からある。だから自民党は18歳選挙戦に賛成したとも言われている。今回の選挙でなぜ野党は勝てなかったのかという事とも絡めていくつもの分析がネットにあふれている(注3)。

それらの分析を私の私見を交えて、めちゃくちゃアバウトに言うと
もともと貧困なので今さら貧困と言われても安倍のせいという発想にならない、
むしろ就職率が(就職氷河期にくらべたら)多少なりとも改善している等ささやかな成果ですらアベノミクスの成果と考える、
安倍以外の政治家を知らないし野党にどんな政治家がいて何を主張しているのかを知らない、
(もちろん野党にも対案はあったのだが「アベノミクス対ナントカ」というほどまとまった体系的な政策ではないし名前もないし知名度もない。安倍みたいに嘘でもはったりでも力強く言い切った方が勝ち)
異なる意見を集めてきて、どちらが正しいと思えるか判断する、そうした訓練もされていない、、、、といったところでしようか。

facebookに投稿されたある意見がリアリティがあってなるほどと思わせる。

 この年齢層にほぼ相当する大学1〜2年生と日々接している者としての率直な印象では、彼らの多くは今の政治に決して満足しているわけではないし、貧困・格差の問題、自分たちの奨学金や近い将来の雇用、そして遠い将来の年金のこと等にもそれなりに不安を抱いている。
 問題はこの先。彼らは不安を抱いているからこそ、頼りなさげで安倍さんの悪口を言うだけ(と少なからぬ若者がイメージを持っている)の民進党やコワモテで近寄り難い(と少なからぬ若者がイメージを持っている)共産党ではなく、よくその名前を耳にし、顔も目にする安倍首相率いる自民党に頑張ってほしい! 俺ら若者が直面する今の困難を具体的になんとかしてくれるのは自民党しかない!…と考えるのである。これは、彼らにしてみれば何の矛盾でもない。むしろ自然な選択である。…もっとも、身も蓋もないことを言うと、正直なところ安部首相以外にどんな政治家がいるのかよくわからないということもある。

石川裕一郎さんのFacebook投稿

考えてみれば、これは若者だけではない。大人もまた程度の差こそあれ同じではないのか。こちら↓の分析もなるほどと思わせる。

日本のほとんどの高校では、学校や先生が具体的な政党や政治家の名前を挙げて政治情勢についてケーススタディすることが、タブーとされているようです。
そんな学校が教えることができるのは、議員の任期が何年かとか、衆議院と参議院の違いなど議会の制度や仕組み、つまり「システム」のことだけなのです。そこには、政治のリアリティはかけらも存在していません。
政治には、学校の教科のお勉強とは違って、客観的な1つの正解というものがありません。システムを完璧に学んだからといって、投票所で誰に投票すべきなのかが公式から導きだされるわけではないのです。
実は18歳選挙権がすでにあたりまえになっている先進国の多くでは、高校などの先生が自分の支持する政党や政治家の名前を平然と口にして、政治について日常的に討論しているようです。日本では信じられないことです。
若者にとって身近な存在である学校の先生たちが、担当教科の専門性とは別に、政治についての個人的なポリシーや「好き嫌い」をはっきり表明するというのはとても大切なことだと思います。大人たちの中に、1つの答えにはまとまらない「違い」や「偏り」が存在しているということは、若者が興味をもつ重要なポイントになるはずです。

18歳選挙権と「政治の生々しさ」を扱えない学校教育の限界

この問題も若者だけ、学校教育だけの問題ではないと思う。

例えばマスメディア。今では「選挙報道」そのものすら減らしているが、かつては政府批判が結構あった。権力を監視するのがマスメディアの仕事だから当然である。しかし、その当時ですら、「中立であるべき」という意識からか、野党への批判もセットであった。どっちもどっち、ということになれば、無党派層や無関心層が増え、投票率が下がるのは当たり前。低投票率はマスメディアが作ってきた、と言ったら言い過ぎであろうか。

その局や新聞社なり番組なりの見解を堂々と打ち出せばいいではないか。それが無理ならせめて、候補者や党首の討論会をやるべきだ(自民党は逃げ回っているようだが、出ると言った政党だけでもやるべきだ。なぜ特定の政党が出席しないのかは有権者が判断する)。選挙公報や政見放送や「第一声」などは、それぞれ自分に都合のいいきれいごとしか言わない(いや、時に明白な嘘さえつく)から、ないよりはましだがあまり判断材料にはならない。議論がエキサイトしてこそ有権者の関心も引く事ができる。

現状はそれにはほど遠い。政権与党によるマスメディアへの介入とメディア側の自粛によって、有権者は目も耳も塞がれ、もの言わぬ有権者が出来上がる。一方学校教育が、目も耳も塞がれたもの言わぬ将来の有権者を作り出す。

その象徴的事件が、政府による「偏向教育密告の勧め」である(姑息! 自民党が「子供たちを戦場に送るな」教師の取締密告フォームをこっそり差し替え…ごまかしても“魚拓”とってるぞ!)。さらに、選挙が終わったとたんに、教職員の政治活動に罰則 自民、特例法改正案、秋の臨時国会にも提出という話が出てきた。これは教員の人権を制限するだけでなく、教育内容を萎縮させる効果も持つ。もの言わぬマスコミを作りもの言わぬ教員を作る。結果もの言わぬ国民・有権者ができあがる。こんな事を許してはならない。

リベラル派の声はどこまで届いたのか「これからは絶対だまされない。だまされない人たちをふやしていく」

この言葉が時代を超えて突き刺さる。NHKドラマ「とと姉ちゃん」に登場する編集者・花山伊佐次。モデルとなった『暮しの手帖』編集者・花森安治の言葉(週刊朝日 1971年11月19日号)である(注4)。それはあの戦争への痛切な反省にもとづいている。さて、私たちは「だまされない人たちをふやしていく」という事に成功しているのか。今の若者が、自らの政治哲学にもとづいて保守的な政策を支持しているのならまだいい。様々な情報を取捨選択して自分の意見を形成するという機会と訓練を奪われているとしたら、そのような環境を作れなかった我々世代の責任でもある。そして今回の選挙でも私たちの声はそうした人たちには届かなかった。

かつては、憲法改正を口にするものはごく少数派であった。国防軍の創設を主張すれば危険思想と見なされた。だがいつの間にか時代は逆転した。今や「自衛隊は憲法違反」という主張は、憲法学者の間では多数派であっても国民の中ではごく少数派となった。気がついたら私たちは追いやられてきた。ネットにはウルトラ右翼的見解が充満している。これはなんとかしなくては、という思いがこのブログを始めたきっかけでもある。

相手は長期的な戦略にもとづいて着々と悪巧みを実行しているように思える。繰り返しになるが、まずはマスメデイアを沈黙させる事。これで現在の有権者が政治に関心を持たなくなり、ないしは現政権支持になる。ついで教育。将来の有権者が政治に関心を持たなくなり、ないしは保守的な考えに染まる。教科書問題もそのひとつでしょう。ネットサポーターズを使って政府への批判をチェックし、戦前回帰的、排外主義的見解を広めてきた。日本会議は、時間をかけて「市民運動的」手法で元号法制化や憲法改正促進を進めてきた。広告宣伝的手法や世論調査の技術を駆使して、「イメージ戦争」を仕掛けてきた。声の大きい方が勝ち、嘘でも100回言った方が勝ち、改革派のイメージを演出できた方が勝ち。いまや世論は、支配者の思い通りに操作される。

ネットで、集会やデモや学習会で、口コミで、地道に私たちの声を届けるしかない。もうあとがないと焦る気もありますが。

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・注1
今年1月の調査だが、内閣府支持層の投票先は、1位:民主党21% 2位:おおさか維新8% 3位:共産党7%。おおさか維新は、「野党」「改革派」だと思っている有権者も多いようだ。

内閣不支持層のうち、参院選で民主党に投票するとしたのは21%、おおさか維新が8%、共産党が7%などとなった。

政権批判層、行き場なく 本社世論調査

実際には、おおさか維新は安倍内閣不信任案に反対し、改憲に賛成である。「参院選マニフェスト」のトップに「憲法改正」をかかげていた。「9条改憲」について、松井氏は「時期尚早」というだけで反対はせず、核武装も否定せず。候補者の中には核武装を堂々と主張するものもいた。松井代表自身が自民党からの移籍組で、たくさんの「元自民党」を抱え込んでいる。選挙の手法も旧来の自民党顔負けのやり方で、選挙違反が相次いだ。大阪W選挙での「過去に戻すか、前に進めるか」というスローガンは安倍自民の今回のスローガンと同じ手法・発想だ。

・注2
安倍政権下の改憲「反対」40.5%「賛成」28.9% 本紙世論調査

世論調査 憲法9条、改正反対52% 「憲法改正」は拮抗

改憲不要55%、必要37% 朝日新聞世論調査

安倍政権で改憲、反対48%賛成31% 朝日・世論調査

9条維持、過半数 改憲2/3議席「望まぬ」が上回る 憲法世論調査

「改憲勢力3分の2」反対49%=アベノミクス半数評価-時事世論調査【16参院選】

・注3
60代より保守的な日本の若者… 右傾化教科書の「洗脳効果」か
・そう言えば維新が強い大阪は、日本会議派教科書を橋下市長時代に大量採択している。

「アベ政治に反対」と野党が叫ぶほど、安倍首相が指導力を発揮しているイメージは強化されるという“逆説”

広原盛明のつれづれ日記「改憲隠し」を最大争点にしたことが却って「改憲勢力3分の2超」を導いた

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「ていうか18歳選挙権いらない そもそも民主主義いらない」に向き合う

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こちら↓は自民党ブレーンの方の分析
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・注4
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商品テストで家燃やす「とと姉ちゃん」モデル、暮しの手帖の驚き企画

民主主義の「民」は、庶民の「民」だ
ぼくらの暮しをなによりも第一にする、ということだ
ぼくらの暮しと企業の利益とがぶつかったら 企業を倒す、ということだ
ぼくらの暮しと政府の考え方がぶつかったら 政府を倒す、ということだ
花森安治が45年前に鳴らした警鐘(2016年7月8日)

・補足というか余談というか
世論調査などで「改憲」「護憲」という区分けはあまり意味を持たないのではないか。過去記事でも書いたが、例えば9条改正賛成という人の中にも、「現状の専守防衛・個別的自衛権の自衛隊が合憲である事を明記する」という意見もあれば(さらに言うならそれ以外の解釈ができないよう歯止めをかけるという意見も)、自民党改正案のように「フルスペックの国防軍と集団的自衛権を認める」という意見ではかなり方向性が違う。これをまとめて「改憲派」と呼ぶには無理があるし、「憲法改正に賛成か反対か」と質問されても、その改正の内容まで質問されないと答えようがない。

・もうひとつ補足。アメリカはこの選挙結果をどう見ているか。
アメリカべったりの安倍政権の根本的矛盾。慰安婦問題での日韓合意に見られたように、アメリカは、ともに同盟国である日本と韓国が対立する事を望んでいない。しかし、憲法改正は日韓の対立を激化させる。一方で自衛隊を米軍の二軍として使いたいアメリカは、日本のタカ派が勢力を拡大する事を期待している。アメリカ自身の矛盾でもあるわけだ。
『「平和憲法の改正及び戦後レジームからの脱却を果たすことで、安倍首相が自らの名を歴史に残したいと考えていることは誰にも明白だ」と、前述の高官は言う。
仮に同政権が戦後の歴史的秩序を変えることに力を入れ始めれば、中国や韓国からの激しい反発を引き起こす可能性があり、ここ数カ月地域的安定に向けて行われてきた取り組みが一気に台なしになってしまう。』

もうひとつ、アメリカにとっての頭痛の種。
「もし安倍首相が強制的な手法を用いて、辺野古移設を前に進めようとすれば、沖縄での反感はさらに強まり、嘉手納基地のような、沖縄で戦略上より不可欠な軍事資産を米国が使用できなくなるおそれが生じかねない」
http://toyokeizai.net/articles/-/127293

こちらも http://www.sankei.com/politics/news/160713/plt1607130009-n1.html


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