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丸山議員の「武力で取り戻す」発言は問題視されても、なぜ、現実の「武力で取り戻す」戦争計画は問題視されないのか。

水陸機動団

丸山穂高議員の戦争肯定発言は憲法擁護義務違反

日本維新の会の丸山穂高衆院議員が、戦争扇動発言をして炎上した。
丸山議員は、北方四島ビザなし交流の訪問団に、衆院沖縄北方問題特別委員会の委員として参加した際、報道によれば、訪問団の団長が記者から取材を受けていたところへ、割り込んで次のように発言した(注1)。
「団長は戦争でこの島(北方四島)を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」「戦争しないとどうしようもなくないですか」

この発言が大問題となったのは当然のことである。
「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」
この憲法の規定が理解できない者は議員である資格はない。国際紛争を解決するために戦争に訴えるのは、現憲法の理念とは正反対である。公務員・議員には憲法擁護義務がある。

本人も、一時は維新の松井代表も「言論の自由だ」と開き直ったが、ヘイトが言論の自由ではなく犯罪なのと同様、戦争扇動発言は、少なくとも公務員にとっては言論の自由の範疇ではない。ヘイトの自由はないのと同じ、戦争肯定の自由は(少なくとも公務員には)ない。

偶然にも、ほぼ同時期、「空母いぶき」で総理役を演じた佐藤浩市の発言が、ウヨの標的となったが、劇中佐藤演じる総理が、開戦の決断を迫る副総理に、「この国は戦争しないと決めた」という趣旨の発言をする。
「戦後の政治家が一丸となって守りつづけてきたことが、たったひとつだけあります。それは、この国は、日本は、絶対に戦争はしないという国民との約束です。軽々しく「いくさ」などという言葉を使わないでいただきたい」
それほど、この国にとって、武力で国際紛争を解決することは許されないことなのだ。いや、国際社会一般においても武力行使は原則禁止されている。

国連憲章第2条

3すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決しなければならない。

4すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。

奪われたものを武力で取り返す、などという発想自体が、時代遅れなのだ。戦争を非合法とみなす考えは、(自衛戦争を例外的に認めているため、結局自衛を口実に戦争が行われるという弱点があるが)、今や国際的なスタンダードだ。戦争肯定発言は、長い時間をかけて戦争を非合法化し平和を求めてきた人類の英知に対する愚かな挑戦だ。

丸山議員だけではない。政界にはびこる戦争肯定思想、幼児的愛国ごっこ。

その直後に不思議なことが起きた。
同じく維新所属議員である森夏枝氏が、国会で
「サイバー攻撃の分野では、専守防衛の原則から除外すべきだ」
「精密誘導兵器保有を」と発言(質問)した。
安倍総理も、専守防衛原則は堅持するとしたが、「サイバー攻撃だけでも武力反撃はありうる」と武力行使を容認した。

丸山議員の発言は問題視されたが、こちらはほぼスルーされた。問題発言だと大きく取り上げたメデイアもない。丸山議員は、酔っ払って無礼だから問題だが、国会で「冷静」に議論するのは問題なしということなのだろうか。発言の仕方や場所や態度が問題なのであって、発言内容そのものは問題ないということなのだろうか。そうではないはずだ。

「武力行使」を当然のように容認する思想は、維新所属議員だけではない。安倍総理自身が、武力行使肯定発言を何度もしている。
「わが国の領土と領海は私たち自身が血を流してでも護り抜くという決意を示さなければなりません」(「ジャパニズム」2012年5月号/青林堂)
「(尖閣問題では)外交交渉の余地などありません。尖閣海域で求められているのは、交渉ではなく、誤解を恐れずにいえば物理的な力です」(『美しい国へ』文藝春秋)

自民党議員による9条否定、戦争肯定発言は、この他にいくらでもある。

稲田朋美「国を護る為に『血を流す覚悟』をしなければならない」「国のために命をかけられる者だけが選挙権をもつ資格がある」「”戦争は人間の霊魂進化にとって最高の宗教的行事”これがずっと自分の生き方の根本」

長勢甚遠(第一次安倍内閣法務大臣)「国民主権、基本的人権、平和主義…この3つをなくさなければ本当の自主憲法ではないんですよ」

そして、言葉だけではなく、安倍政権下で、イラクなどで実際に自衛隊は戦争行為を行った。復興支援のための人員・物資を輸送するという名目で米軍の人員・物資を輸送した。「兵站」も戦争行為の一部である。さらに安保法制成立後は、日本が攻撃されていなくても、集団的自衛権(自衛という名の戦争行為)を行使できるようになった。

武力行使容認だけではなく、核兵器容認発言もキリがない。安倍総理、松井維新代表、一時維新と行動を共にした石原慎太郎、小池百合子東京都知事らは、核武装論者である。

その石原慎太郎氏をめぐってこんなサイトが現れた。
石原慎太郎「僕が総理大臣なら拉致された日本人をとり戻すために北朝鮮と戦争をおっぱじめるよ!」(注2)

なんという議論の劣化だろうか。領土にしろ、拉致被害者にしろ、戦争をすれば取り戻せると思っているのだろうか。むしろ事態を悪化させるという「想像力」が働かないのだろうか。冒頭の丸山穂高議員の発言も、平和的交渉を積む重ねてきた元島民に対する侮辱である。

このサイトについたコメントが、またまたひどすぎる。「戦争する=取り戻せる」 VS 「戦争しない=取り戻す気ない」という単純化された二択の前提自体が漫画的というか戯画的すぎる。むしろ戦争せずに取り戻す道を政治家は考えるべき。それが政治家・外交の本来の仕事のはずだ。たとえば、「戦争は嫌ですけど、戦争という選択肢を検討する、という発言すら許されない社会は、もっと嫌です」というコメントがあるが「国際紛争を解決するために武力行使を行うという選択肢」は、もともとない。

一国の総理・議員から国民に至るまで、この国には、口先だけ勇ましい、真面目で地道な努力をあざ笑う「幼児的、お山の大将的、マッチョ的愛国ごっこ」が蔓延している。鯛は頭から腐る。この国の総理が、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に対して、「対話よりも異次元の圧力を」と言ったかと思うと、今度は「無条件で会う(会いたい)」と言い、幾らかは進展しているのかと思えば、全く進展していないという情けない展開。口先だけの勇ましい言葉の裏では何もしていなかったことが明らかになった。

「武力で取り戻す」発言は問題視されても、なぜ、現実の「武力で取り戻す」戦争計画は問題視されないのか。

自衛隊の「島嶼奪還作戦」とは、要するに「奪われた島を武力で取り返す」軍事行動のこと。島嶼奪還作戦を担う自衛隊の水陸機動団の公式サイトは、その任務について「四方を海に囲まれた国土、また数多くの島嶼部を有する我が国の領土を、他国に侵略された際に海上から迅速に機動展開し奪回することを任務とします」と書いている。「奪われた島を武力で取り返す」発言が問題視されて、なぜ現実の「奪われた島を武力で取り返す」戦争準備は問題視されないのか。問題視されるどころか、産経などではむしろ当然の事として報道されている。

島嶼奪還で日米共同訓練 陸自と海兵隊、連携強化

しかも、「奪われた島を武力で取り返す」というのは、カモフラージュ的建前かもしれない。「奪われた島を武力で取り返す」能力は、他国領土に強襲上陸する能力と同じだ。自衛隊の水陸機動団は、日本版海兵隊と言われているが、本家アメリカの海兵隊の本来任務は、敵前強襲上陸だ。

その水陸機動団を空母いずもに載せ、領海をはるか離れた南シナ海やインド洋へ派遣するなど、もはや「専守防衛」の看板すら投げ捨てた、中国に対する威圧挑発行動に他ならない。産経がまたしても半ば自慢げに報道している。

日米印比が対中包囲網 海自からは「いずも」参加

陸自水陸機動団が「いずも」に乗艦し南シナ海へ

日仏豪米がインド洋で共同訓練 中国牽制 22日まで

対中国威圧を米軍の下請け・代理として自衛隊がかって出るという構図だ。自衛隊が、国際条約上の根拠も不確かな多国籍間の対中国包囲軍事演習に参加するなどもってのほか。現憲法下ですら、これだけの戦争準備が進んでいることにメディアはもっと注目して批判的報道をすべきではないか。現憲法下ですらこれだけ事態は進んでいるのだから、9条改悪など許すべきではない。この道はいつか来た道だ。

・画像は、wikiの水陸機動団のページよりお借りしました。

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・注1 一部のウヨが、「勝手に録音して勝手に公開するメディアが問題」などと丸山議員を擁護しているが、公式の場での公務員の発言なので録音され公開されて当然。まして取材中に割り込んできたのだからなおさら。そもそも、こういう人たちは、公式の建前上の見解と本音は別物で、本音は暴かれては困るとお考えなのか。

・注2 この石原慎太郎氏のオリジナルの発言はこれのことだろう。
普通の国なら戦争して相手を懲らしめて取り戻す


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