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辺野古裁判で国側べったりのトンデモ判決。普天間問題の解決は辺野古が唯一の選択肢か。

NHKキャプチャー

9月16日、辺野古への移設・新基地建設計画に関して、埋め立ての前知事が行った承認を取り消した沖縄県の翁長雄志現知事を国が訴えた訴訟で、福岡高裁那覇支部は、国の主張を認め県側敗訴の判決を言い渡した。

 米軍普天間飛行場(沖縄県宜野湾市)の名護市辺野古への移設計画をめぐり、埋め立ての承認を取り消した沖縄県の翁長(おなが)雄志(たけし)知事を国が訴えた訴訟で、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)は16日、国の主張を認め、翁長知事が承認取り消しの撤回に応じないのは違法だとする判決を言い渡した。「普天間の危険を除去するには埋め立てを行うしかなく、これにより基地負担が軽減される」との判断を示した。
 ■判決の骨子

 ◆普天間飛行場の被害を除去するには(辺野古の)埋め立てを行うしかない。それにより県全体として基地負担が軽減される

 ◆埋め立て事業の必要性は極めて高く、それにともなう環境悪化などの不利益を考慮しても、前知事が埋め立てを承認したことは不合理とは言えない

 ◆埋め立て承認に裁量権の逸脱・乱用はなく、違法とは言えないので、現知事の取り消し処分は違法だ

 ◆知事は、国の是正指示が出て相当期間が経過しているのに従っておらず、これは不作為で違法に当たる

辺野古訴訟、国が勝訴 知事の承認取り消し、高裁認めず

 前知事の名護市辺野古海域の埋め立て承認を取り消した翁長雄志知事の処分を違法とする判決が、福岡高裁那覇支部(多見谷寿郎裁判長)で下された。辺野古新基地に反対する県民世論を踏みにじり、新基地建設で損なわれる県益を守る地方自治の知事権限を否定する判決であり、承服できない。

 米軍普天間飛行場の辺野古移設を巡る初の司法判断である。しかし国の主張をそのままなぞったような内容で、三権分立の原則を逸脱した判決と言わざるを得ない。翁長知事は上告審での反論とともに、知事権限を駆使して新基地建設への反対を貫いてもらいたい。

環境保全策を軽視

 判決には大きな疑問点が二つある。まず公有水面埋め立ての環境保全措置を極めて緩やかに判断している点だ。
 判決は「現在の環境技術水準に照らし不合理な点があるか」という観点で、「審査基準に適合するとした前知事の判断に不合理はない」と軽々しく片づけている。
 果たしてそうだろうか。専門家は公有水面埋立法について「環境保全が十分配慮されない事業には免許を与えてはならない」と指摘している。埋め立てを承認した前知事ですら、環境影響評価書について県内部の検討を踏まえ、「生活環境、自然環境の保全は不可能」と明言していた。
 大量の土砂投入は海域の自然を決定的に破壊する。保全不能な保全策は、保全の名に値しない。
 辺野古周辺海域はジュゴンやアオサンゴなど絶滅が危惧される多様な生物種が生息する。県の環境保全指針で「自然環境の厳正なる保護を図る区域」に指定され、世界自然遺産に値する海域として国際自然保護連合(IUCN)が、日本政府に対し4度にわたり環境保全を勧告している。
 判決は公有水面埋立法の理念に反し、海域の保全を求める国際世論にも背を向けるものと断じざるを得ない。
 判決はまた、「普天間飛行場の被害をなくすには同飛行場を閉鎖する必要がある」、だが「海兵隊を海外に移転することは困難とする国の判断を尊重する必要がある」「県内ほかの移転先が見当たらない以上、本件新施設を建設するしかない」という論法で辺野古新基地建設を合理的とする判断を示した。
 普天間飛行場の移設先を「沖縄の地理的優位性」を根拠に「辺野古が唯一」とする国の主張通りの判断であり、米国、米軍関係者の中にも「地理的優位性」を否定する見解があるとする翁長知事の主張は一顧だにされなかった。

県益より国益優先

 判決は国の主張をほぼ全面的に採用する内容だ。裁判で翁長知事は辺野古新基地により「将来にわたって米軍基地が固定化される」と指摘した。その上で「県知事としての公益性判断を尊重してほしい」と訴えたが、判決は県民の公益性よりも辺野古新基地建設による国益を優先する判断に偏った。
 「国と地方の関係は対等」と位置付けた1999年の地方自治法改正の流れにも逆行する判決と言わざるを得ない。
 上告審での訴訟継続とともに、翁長知事にはなお、「埋め立て承認撤回」や「埋め立て工事の変更申請の判断」「岩礁破砕許可の更新判断」などの法的権限が留保されている。
 IUCNの環境保全の勧告、米退役軍人が年次総会で辺野古新基地建設の中止を求める決議を行うなど、支援は海外にも広がっている。さらに国際世論を喚起することも今後の重要な方策だろう。
 翁長知事は今回の違法確認訴訟の陳述で「辺野古の問題は沖縄県だけでなく地方自治の根幹、民主主義の根幹にかかわる問題。全てが国の意思で決まるようになれば、地方自治は死に、日本の未来に禍根を残す」と訴えていた。
 上告審の最高裁が県益を代表する知事の主張に正当な判断を下すか、司法の責任が問われる。
琉球新報<社説>辺野古訴訟県敗訴 地方分権に逆行 知事は阻止策を尽くせ

辺野古違法確認訴訟 判決(要旨)

主な争点・「辺野古ありき」判決 違法確認訴訟 基地問題の本質無視

この国に三権分立はあるのか、司法の独立は ?

判決内容は、「はじめに結論ありき」。国側の主張をただコピペしただけの内容だ。判決内容を知った翁長知事は「あぜんとする内容だ」ともらしたというが、知事だけでなく、万人が「あぜんとする内容」だった。わずか2回の弁論しか行われず、議論の対象にすらならなかった沖縄の地理的優位性や海兵隊の運用についても踏み込んだ(というか、国の主張の全面受け売り)。

 (翁長雄志知事は)判決を一読した印象として「大変あぜんとしている。三権分立の意味でも相当禍根を残すと思っている上、こういった一方的な内容の場合には県民のより大きい反発と結束がこれから出てくるのではないか」と語った。
「政府追認機関だ」 翁長知事、三権分立に禍根と批判

 判決はお粗末な内容だった。沖縄の弁護団や記者たちが「これでは国の訴状のコピペだ」と苦笑するしかない文章が並ぶ。特に沖縄の地理的優位性や海兵隊の運用といった軍事的なファクトで専門家の意見もわかれる内容について、今回の法廷では証人も採らず踏み込んだ議論もなかったはずが、なぜここまで断言できるのか首を傾げるしかない。
 「アメリカ海兵隊を沖縄以外に移せないとする国の判断は、戦後70年の経過や現在の情勢から見て合理性がある」「ほかに県内の移転先は見当たらない」
 国側の主張を100パーセントなぞった内容でしかなく、裁判官らの判断はどこから来たのか、根拠はどこにあるのか全く不明だ。国がほかの移転先を真剣に検証したのかどうか。代替施設が必ず必要なのかどうか。様々な意見や資料に当たることなく導き出した判決は、裁判官個人の持論でしかなく客観性に欠ける。プロの書く判決ではない。
 以下の部分も、なぜここまで踏み込んで、あえて国にお墨付きを与えたのか解せない。
 「普天間飛行場の辺野古移設は、県全体としては負担軽減になる」
 「辺野古の基地建設に反対する民意には沿わないとしても、その他の基地負担軽減を求める民意に反するとはいえない」
自衛隊と機動隊とヒラメ裁判長~沖縄県、高裁で国に敗訴~

 違法確認訴訟の県側代理人をつとめている加藤弁護士は、県側敗訴を言い渡した福岡高裁那覇支部の判決は地方自治の制度を軽視しているほか、辺野古移設が出来なければ普天間基地が固定化すると断定するなど、国の主張を一方的に取り入れた政治的なものだと強く批判しました。
 「辺野古に移設すべきかどうか、必要性があるかないかということについて、最終的には民意が決めることです。裁判官がこんな判決をしたこと自体は権限を逸脱していると言わざるを得ない」
辺野古判決に県側弁護士“裁判所の権限逸脱”

RBC THE NEWS「辺野古判決に県側弁護士“裁判所の権限逸脱”」

なぜこのような国側べったりのトンデモ判決が出たのか。国側の言いなりになる人物を裁判長に据えるという露骨な人事政策がその背景にある。辺野古トンデモ判決の裏に裁判所の露骨人事! リベラルな裁判官を異動させ行政べったりの裁判官を抜擢

普天間問題の原点はどこにあるのか (沖縄問題のおさらい) 辺野古移設が唯一の解決策か

9月4日にNHKが『ニッポン人のギモン「在日米軍基地」』を放送した。部分的には、比較的良心的な内容で普天間問題などを解説した(ただし全体としては安保条約肯定で「日本を守るために米軍がいる」という主張なども混じっている。米軍は日本を守るためではなくアメリカの世界戦略のために日本にいるのだが)。
(リンク先サイトはやや画質・音声が悪いのが残念だ)

この番組の一部書き起こし(要旨)はこちらのサイト↓にもある。かなりブログ主の主観が混じっているが(^_^;)。

在日米軍基地のギモンを解消!基礎講座・コレは知っておいてね!

NHKの「ニッポン人のギモン ”在日米軍基地”」に疑問!

NHK「ニッポン人のギモン 米軍基地がなぜ日本に」

・沖縄は、先の大戦で県民4人に1人が亡くなるという大きな被害を出した。
・戦後は、日本から切り離され米軍の占領下に置かれた。米軍占領下の沖縄に、本土を追い出された米軍が移駐してきた。
・本土復帰の際に「本土並み」を望んだが、むしろ在沖米軍基地は増えた。

にもかかわらず、いまだに沖縄に大きな基地負担を押し付けている事が問題の背景。

・もともと、普天間基地は、住民が収容所に入っている間に、家や道路や墓があったところに米軍が勝手に作った。
 だから普天間基地内には墓があり、自分の墓に行くにも米軍の許可が必要。

・1995年の少女暴行事件や2004年の米軍ヘリの沖縄国際大学(普天間基地の隣にある)への墜落事件を受けて、普天間基地撤去の運動が高まった。
 
・解説委員 『そんな危険な基地はもう出ていってくれ』ということで、日米両政府が協議をして合意をした。
 ”閉鎖撤去” が先ずあったはずだった。アメリカ軍のせいでこうなったんだから出ていってね、というはずだったのに、いつの間にか “移設が前提” になったから、沖縄の人は納得できない」
 「もともと、お願いして来てもらった基地じゃないのに、同じようなものを別のところにたらい回しにつくられるってことは耐え難いことですよね」

・ゲスト(千秋) 沖縄からしたら、自分のところの政府もやってくれない、しかも大きなアメリカもいる、味方がいないみたいな

・ゲスト(オリラジ) 日本政府が沖縄と一緒になってアメリカに抗議(交渉)しようという事にはなっていない。そこがなんか気持ち悪くはあるね。

米軍が勝手に作った普天間基地、その基地が危険きわまりないのであるから、無条件で撤退閉鎖が筋である。少なくとも県外・国外移設が県民の民意である。百歩譲ったとしても、SACO合意時点ですら代替条件付きではあったが、代替施設として検討されたのは「嘉手納統合案」や「東海岸の海上に(撤去可能な)ヘリポートを浮かべる」という案であった。SACOで合意されたのは、耐用年数200年、大型艦船の接岸可能な港湾施設や「弾薬搭載エリア」があり、核弾頭持ち込み可能な辺野古弾薬庫との一体運用が可能な、現在のような「新基地建設」基地機能強化案ではない。普天間基地には弾薬搭載エリアは無く(弾薬を搭載するためには一度嘉手納基地に移動する)、もちろん海に接していないので港湾施設も無い。辺野古は、老朽化した普天間基地を大幅に機能強化して最新化する新基地である。

(a)平成8年12月2日に開催された日米安全保障協議委員会(SCC)において、池田外務大臣、久間防衛庁長官、ペリー国防長官及びモンデール大使は、平成8年4月15日の沖縄に関する特別行動委員会(SACO)中間報告及び同年9月19日のSACO現状報告に対するコミットメントを再確認した。両政府は、SACO中間報告を踏まえ、普天間飛行場の重要な軍事的機能及び能力を維持しつつ、同飛行場の返還及び同飛行場に所在する部隊・装備等の沖縄県における他の米軍施設及び区域への移転について適切な方策を決定するための作業を行ってきた。SACO現状報告は、普天間に関する特別作業班に対し、3つの具体的代替案、すなわち(1)ヘリポートの嘉手納飛行場への集約、(2)キャンプ・シュワブにおけるヘリポートの建設、並びに(3)海上施設の開発及び建設について検討するよう求めた。
(b)平成8年12月2日、SCCは、海上施設案を追求するとのSACOの勧告を承認した。海上施設は、他の2案に比べて、米軍の運用能力を維持するとともに、沖縄県民の安全及び生活の質にも配意するとの観点から、最善の選択であると判断される。さらに、海上施設は、軍事施設として使用する間は固定施設として機能し得る一方、その必要性が失われたときには撤去可能なものである。
SACO最終報告(仮訳)

このブログでも何度も書いてきたが、そもそも日米両政府は、在沖米海兵隊の削減で合意しているし、現時点でさえ、在沖米海兵隊は実戦部隊がほとんどいない幽霊師団となっている(沖縄に駐留する米海兵隊の語られない真実 抑止力ない”幽霊師団”)。新基地が必要という合理的理由、必要性がない。

これまでも、アメリカは何度も兵力削減や沖縄からの部分撤退を検討してきた。その都度それを押しとどめてきたのは、日本政府の側である。鳩山内閣時代には、防衛・外務官僚は時の首相をニセ文書で騙してまで、辺野古に固執してきた。辺野古に固執しているのは、アメリカ側ではなく、米軍側の意向を忖度(そんたく)して、事を強引に押し進めている日本側の安保村の政治家、官僚であり、工事を請け負う大手ゼネコンである。普天間と辺野古はセットという発想こそが迷走の原因だ(その点で、 NHKの番組内で「日本はアメリカの顔色をうかがわざるを得ない」という解説があったのは不適切、残念である)。にもかかわらず、判決では、辺野古移設が唯一の解決策であり、これを中止すれば国際関係にひびが入るという議論を展開している。さらに「普天間飛行場の被害を除去するには本件新施設などを建設する以外にない。建設をやめるには普天間飛行場による被害を継続するしかない」とまで言っている。完全に事実関係に背を向け、政府見解を擁護するための判決でしかない。

地方自治体は国の下請け機関ではない。和解勧告の精神に反する今回の判決。

もうひとつ、判決ではきわめて乱暴な議論が展開されている。全知事が基地建設に反対したら「国の判断が覆されてしまう」から「尊重すべきだ」という議論だ。まるで、地方自治体は国策に従え、と言わんばかりだ。

だがこれはダブルスタンダードだ。海兵隊の岩国移転やオスプレイの佐賀空港移転は、地元の反対で断念したではないか。よりによって、これまでも戦前戦後を通じ国策の犠牲となってきた沖縄に、さらに国策を押し付けるのか。まさに沖縄に対する差別というしか無い。

もし、これがダブルスタンダードでないとしたら、日本は戦前のようなファシズム・中央集権国家となってしまうであろう。軍事基地にしろ、原発にしろ、核廃棄物処理施設にしろ、国策に地方自治体は文句を言うな。国は、地方自治体や地主の意向を無視して軍事基地建設を好き勝手できる事になるし、万が一、日本に徴兵制が敷かれた場合には「良心的兵役拒否」など認められないであろう。

こうした理屈は、先の和解勧告の精神にも反する。1999年の地方自治法改正で、国と地方公共団体は「対等・協力」の関係になった。だから、和解勧告は「オールジャパンで最善の解決策を合意して、米国にも協力を求めるべきである」という、本来の解決策を示した(とても同じ裁判官が書いたとは思えない)。

NHKの番組で、ゲストが「沖縄からしたら、自分のところの政府もやってくれない、しかも大きなアメリカもいる、味方がいないみたいな(現状はおかしい)」「日本政府が沖縄と一緒になってアメリカに抗議(交渉)しようという事にはなっていない。そこがなんか気持ち悪くはあるね。」と発言したのは当然であろう。何度でも書くが、アメリカ側が辺野古に固執しているわけではない。

翁長知事が判決を不服として最高裁に上告したのは当然であろう。


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沖縄「被害者を追悼し、沖縄から海兵隊の撤退を求める県民大会」に65,000人

県民集会 琉球新報号外
県民集会 琉球新報号外 ◀︎ クリックすると号外のpdfファイルが開きます

「元海兵隊員による残虐な蛮行を糾弾! 被害者を追悼し、沖縄から海兵隊の撤退を求める県民大会」が19日開かれ、65,000人が参加した。

被害者の父親のメッセージ「娘を最後の犠牲者にしてほしい。県民がひとつになれば、米軍基地はなくせると信じています。次の被害者を出さないためにも『全基地撤去』『辺野古新基地建設に反対』、県民が一つになれば可能だと思っている。県民として強く願う」

翁長沖縄県知事「卑劣な犯罪は断じて許せない。強い憤りを感じている。被害者に『あなたを守ってあげられなくてごめんなさい』とおわびした。政治の仕組みを変えられず、政治家として、知事として痛恨の極みだ」

「怒りと悲しみの沖縄県民大会に呼応するいのちと平和のための6.19大行動」が国会前で行われた他、各地で連帯行動が取り組まれた。国会前の行動には1万人が集まった(注1)。

 米軍属女性暴行殺人事件に抗議する「元海兵隊員による残虐な蛮行を糾弾! 被害者を追悼し、沖縄から海兵隊の撤退を求める県民大会」(主催・辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議)が19日午後2時から那覇市の奥武山陸上競技場を主会場に開かれた。戦後71年、施政権返還から44年が経過してなお、過重な基地負担に伴う米軍関係犯罪によって県民の人権が虐げられ、命が奪われる沖縄の実態を訴え、この状況を放置する日米両政府への異議を示そうと県内外から数万人が会場へ詰め掛けた。

 多くの参加者は主催者の呼び掛けに応じて黒色の服や小物を身に着けて参加し、事件への抗議だけでなく、被害者を悼み、遺族に寄り添う姿勢を表した。
 大会決議は、繰り返される米軍関係の犯罪や事故に対する県民の怒りと悲しみは限界を超えていると指摘。日米両政府が事件のたびに繰り返す「綱紀粛正」「再発防止」には実効性がないと反発し、県民の人権と命を守るためには、米軍基地の大幅な整理縮小、中でも海兵隊の撤退は急務だと訴えた。
 さらに両政府に(1)遺族、県民への謝罪と完全な補償(2)県内移設によらない普天間飛行場の閉鎖・撤去(3)日米地位協定の抜本的な改定-を求めた。
琉球新報【号外】「海兵隊撤退を」 追悼・抗議県民大会に数万人

 米軍属女性暴行殺人事件に抗議する「元海兵隊員による残虐な蛮行を糾弾! 被害者を追悼し、沖縄から海兵隊の撤退を求める県民大会」(主催・辺野古新基地を造らせないオール沖縄会議)が19日午後2時から那覇市の奥武山陸上競技場を主会場に開かれた。主催者発表で6万5千人が参加した。

 被害者の父親がメッセージを寄せ、参加者に感謝するとともに「次の被害者を出さないためにも『全基地撤去』『辺野古新基地建設に反対』、県民が一つになれば可能だと思っている。県民として強く願う」と訴えた。
 翁長雄志知事は1995年の少女乱暴事件に触れ、「事件を受けての県民大会でこのような事件を繰り返さないと誓いながら政治の仕組みを変えることができなかったことは、政治家として県知事として痛恨の極みであり、大変申し訳なく思っている」と謝罪。
 地位協定の抜本改定や辺野古新基地建設阻止には「大きな壁が立ちはだかっている」としたが「心を一つにし、強い遺志と誇りを持ってこの壁を突き崩していかなければならない。きょうを決意の日とし、全力で頑張っていこう」と求めた。
 採択された大会決議は、繰り返される米軍関係の犯罪や事故に対する県民の怒りと悲しみは限界を超えていると指摘。日米両政府が事件のたびに繰り返す「綱紀粛正」「再発防止」には実効性がないと反発し、県民の人権と命を守るためには、米軍基地の大幅な整理縮小、中でも海兵隊の撤退は急務だと訴えた。
 さらに両政府に(1)遺族、県民への謝罪と完全な補償(2)県内移設によらない普天間飛行場の閉鎖・撤去(3)日米地位協定の抜本的な改定―を求めた。【琉球新報電子版】
琉球新報 沖縄県民大会、6万5千人が追悼 海兵隊の撤退求める 被害者の父がメッセージ

沖縄タイムス 沖縄県民大会に6万5千人 被害者悼み海兵隊撤退要求

朝日新聞デジタル(yahooニュース) 元米兵事件に抗議、沖縄で県民大会始まる 自公は不参加

1995年には少女暴行事件に抗議する「米軍人による少女乱暴事件を糾弾し日米地位協定の見直しを要求する沖縄県民総決起大会」が超党派の主催で開かれ85,000人が集まった(注2)。今回はより明確な「海兵隊撤退」という要求を掲げ、自民公明が参加しなかったにもかかわらずこれだけの人数が集まった事は大成功と言っていいだろう。65,000人と言えば沖縄県人口143万4千人の4.5%にあたる。東京で言えば60万人の集会に匹敵する(首都圏とさらに範囲を広げれば、、、158万人)。

数だけではない。前回記事で紹介したインタビューの中で、元自民党沖縄県連幹事長である翁長現知事が「(もし同じ事件が明日起きれば、反基地感情が向けられるのは)普天間どころではなく、米軍基地全体になる。日米安保体制が吹き飛ぶ」と述べているほど、沖縄県民の怒りは沸騰している。同じ事が何回繰り返されるのか。このリンク先の資料にもあるように、数万人〜10万人規模の集会が何度も開かれていても。琉球新報号外の写真には「怒りは限界を超えた」のプラカード。

主催団体の共同代表で、大学4年の玉城愛さんは「安倍晋三さん、日本本土にお住まいの皆さん、今回の事件の第二の加害者は誰ですか。あなたたちです。しっかり沖縄に向き合っていただけませんか。いつまで沖縄県民はばかにされるのか」と訴えかけた。(沖縄女性殺害事件に抗議する県民大会に6万5000人が集まる「加害者はあなたたちです」沖縄県民大会の参加者6万5千人 翁長知事「守ってあげられずごめんなさい」)

・画像は琉球新報サイトから。

【関連記事】
県民集会を前にして翁長沖縄県知事インタビュー。
頭を下げるアメリカ人に強い違和感。地獄への道は善意で舗装されている。
橋下徹のトンデモ発言。だが、風俗では性暴力は防げない。軍隊の「力による支配」こそが問題。基地の大幅縮小と地位協定の抜本改正を。
またしても元米兵によるレイプ殺人事件。何回繰り返されるのか、いつまで悲劇を沖縄に押し付けるのか。
沖縄での米兵によるレイプ事件。二重三重の差別構造。
和解からわずか3日で是正指示。普天間と辺野古はセットという発想こそが迷走の原因。新基地建設の理由がない。
辺野古新基地、国と県が和解。しかし国は「辺野古が唯一の解決策」という姿勢を崩さず。- 米軍は何度も撤退を検討。それを押しとどめてきたのは日本側。
【普天間・辺野古問題】安保村の官僚は時の総理(鳩山元首相)すら騙して、基地を押し付ける。

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・注1
国会前でも抗議集会=沖縄県民大会に合わせ
沖縄県民大会 国会前でも集会 1万人が抗議
沖縄の女性殺害事件 国会前でも女性を追悼

・注2
1995年(平成7年)沖縄県内十大ニュース
沖縄が本気で怒った日 米兵暴行契機、95年の県民大会
1995年10月21日 沖縄県民総決起大会が開催された日
米兵暴行事件糾弾県民総決起大会(1995)
超党派による大規模な沖縄県民大会
平和な沖縄を返して −沖縄10・21県民総決起大会−

沖縄10.21県民総決起大会(1995.10.21)

この大会の名称は「米軍人による暴行事件を糾弾し、地位協定の見直しを要求する沖縄県民総決起大会」。要求としては「米軍人の綱紀粛正と軍人軍属の犯罪根絶」「被害者への謝罪と完全補償」「日米地位協定の早期見直し」「基地の整理縮小促進」を表明した。

・《2016.06.19 県民大会 資料》

<元海兵隊員による残虐な蛮行を糾弾! 被害者を追悼し、沖縄から海兵隊の撤退を求める県民大会>大会決議(全文)
 元海兵隊員の凶悪な犯罪により、20歳の未来ある女性のいのちが奪われた。これは米軍基地あるが故の事件であり、断じて許されるものではない。
 繰り返される米軍人・軍属による事件や事故に対し、県民の怒りと悲しみは限界を超えた。
 私たちは遺族とともに、被害者を追悼し、二度と繰り返させないために、この県民大会に結集した。
 日米両政府は、事件・事故が起きるたびに、「綱紀粛正」、「再発防止」を徹底すると釈明してきたが実行されたためしはない。このような犯罪などを防止するには、もはや「基地をなくすべきだ」との県民の怒りの声はおさまらない。
 戦後71年にわたって米軍が存在している結果、復帰後だけでも、米軍の犯罪事件が5910件発生し、そのうち凶悪事件は575件にのぼる異常事態である。
 県民の人権といのちを守るためには、米軍基地の大幅な整理、縮小、なかでも海兵隊の撤退は急務である。
 私たちは、今県民大会において、以下決議し、日米両政府に対し、強く要求する。
    記
 1 日米両政府は、遺族及び県民に対して改めて謝罪し完全な補償を行うこと。
 2 在沖米海兵隊の撤退及び米軍基地の大幅な整理・縮小、県内移設によらない普天間飛行場の閉鎖・撤去を行うこと。
 3 日米地位協定の抜本的改定を行うこと。

 宛先
 内閣総理大臣
 外務大臣
 防衛大臣
 沖縄及び北方対策担当大臣
 米国大統領
 駐日米国大使

 2016年6月19日
 元海兵隊員による残虐な蛮行を糾弾!被害者を追悼し、海兵隊の撤退を求める県民大会
琉球新報 <軍属事件県民大会>大会決議(全文)

<被害者の父親メッセージ>
 ご来場の皆さまへ。
 米軍人・軍属による事件、事故が多い中、私の娘も被害者の一人となりました。
 なぜ娘なのか、なぜ殺されなければならなかったのか。今まで被害に遭った遺族の思いも同じだと思います。
 被害者の無念は、計り知れない悲しみ、苦しみ、怒りとなっていくのです。
 それでも、遺族は、安らかに成仏してくれることだけを願っているのです。
 次の被害者を出さないためにも「全基地撤去」「辺野古新基地建設に反対」。県民が一つになれば、可能だと思っています。
 県民、名護市民として強く願っています。
 ご来場の皆さまには、心より感謝申し上げます。
平成28年6月19日
娘の父より
「全基地撤去を」 被害者の父親が沖縄県民大会にメッセージ

<元海兵隊員による残虐な蛮行を糾弾! 被害者を追悼し、沖縄から海兵隊の撤退を求める県民大会>知事あいさつ(全文)

 はいさい、ぐすーよー、ちゅううながびら。炎天下の中、県民の皆さんが結集いただいたことを心から感謝申し上げる。今回の事件によって、お亡くなりになった被害者のご冥福をお祈りするとともに、ご遺族に対し心から哀悼の意を表する。そして、このような非人間的で女性の人権をじゅうりんする極めて卑劣な犯罪は断じて許せるものではなく、強い憤りを感じている。

 先日、被害者が遺棄された場所に花を手向け、手を合わせてきた。心の底から「あなたを守ってあげることができなくてごめんなさい」という言葉が出てきた。21年前のあの痛ましい事件を受けての県民大会で二度とこのような事故を繰り返さないと誓いながら、政治の仕組みを変えることができなかったことは政治家として、知事として痛恨の極みであり、大変申し訳なく思っている。

 先月、安倍(晋三)首相にこの事件について抗議した際、県知事として県民の生命と財産、尊厳と人権、そして将来の子孫の安心と安全を守るために日米地位協定の見直しを強く要望し、運用改善による対応では限界であることを県民は等しく認識していることを伝えた。このような凶悪事件が継続して発生したことは広大な米軍基地がある故であることもあらためて強く申し上げた。

 しかしながら、非人間的で凶悪な事件が明るみに出た直後の日米首脳会談であったにもかかわらず、安倍首相は日米地位協定の見直しに言及せず、辺野古移設が唯一の解決策であると言っている。この問題を解決しようとする先にいかに大きな壁が立ちはだかっているか、私たちは思いをいたさないといけない。私たちは心を一つにして、強い意思と誇りを持ってこの壁を突き崩していかなければならない。今日の日をあらためての決意の日にして、全力で頑張っていこうではないか。

 さらに安倍首相には沖縄は戦後、米軍施政権下で当時の高等弁務官から「沖縄の自治は神話である」と言われたこと。総理は常々日本を取り戻すと言っているが、この中に沖縄は入っているのか。現在の日米地位協定の下では米国から「日本の独立は神話である」と言われているような強い思いを感じていることを伝えた。

 昨年に引き続き、ワシントンDCに行き、辺野古新基地建設が環境問題を含め大変厳しいことを連邦議会や有識者会議、米国の副大統領や駐日大使を務めたモンデール氏に訴え、しっかり説明した。米国で会った方々もこの1年間工事がストップしていること、裁判の和解勧告でも国に対して厳しい判断が下されていること、安倍首相がオバマ大統領に急がば回れと説明したことにも注目していて懸念していた。

 数日前には有識者会議のメンバーが辺野古唯一では問題が解決しないこと、それでなくても抑止力や地政学上の問題はクリアできることを提言している。少しずつではあるが、着実に前に進んでいることを感じている。

 安倍首相や菅(義偉)官房長官は「普天間飛行場は世界一危険だ」と何度も言及しているが、私が「本当に新辺野古基地ができなければ、世界一危険な普天間飛行場を固定できるのか」と何回も問いかけたが、一言も発することはなかった。政府が普天間飛行場周辺住民の生命、財産を守ることを優先にするならば、辺野古移設の進捗(しんちょく)にかかわりなく、残り3年を切った普天間飛行場の「5年以内運用停止」を実現すべきであり、政府には普天間飛行場の固定化を絶対に避け、積極的に県外移設に取り組むよう強く要望する。

 政府は県民の怒りが限界に達しつつあること、これ以上の基地負担に県民の犠牲は許されないことを理解すべきだ。私は県民の生命と財産、尊厳と人権、そして将来の子や孫の安心や安全を守るべき知事としてこのような事件が二度と起きないよう県民の先頭に立って、日米地位協定の抜本的な見直し、海兵隊の撤退・削減を含む基地の整理縮小、新辺野古基地建設阻止に取り組んでいく不退転の決意をここに表明し、私のあいさつとする。

 ぐすーよー、まきてぇーないびらんどー(皆さん、負けてはいけませんよ)。わったーうちなーんちゅぬ、くゎんまが、まむてぃいちゃびら(私たち県民の子や孫たちを守っていきましょう)。ちばらなやーさい(頑張っていきましょう)。
<軍属事件県民大会>知事あいさつ(全文)

<元海兵隊員による残虐な蛮行を糾弾! 被害者を追悼し、沖縄から海兵隊の撤退を求める県民大会>玉城愛さんあいさつ(全文)

 オール沖縄会議共同代表の玉城愛さん(21)のスピーチ全文は次の通り。

 被害に遭われた女性へ。絶対に忘れないでください。あなたのことを思い、多くの県民が涙し、怒り、悲しみ、言葉にならない重くのしかかるものを抱いていることを絶対に忘れないでください。

 あなたと面識のない私が発言することによって、あなたやあなたがこれまで大切にされてきた人々を傷つけていないかと日々葛藤しながら、しかし黙りたくない。そういう思いを持っています。どうぞお許しください。あなたとあなたのご家族、あなたの大切な人々に平安と慰めが永遠にありますように、私も祈り続けます。

 安倍晋三さん。日本本土にお住まいのみなさん。今回の事件の「第二の加害者」は、あなたたちです。しっかり、沖縄に向き合っていただけませんか。いつまで私たち沖縄県民は、ばかにされるのでしょうか。パトカーを増やして護身術を学べば、私たちの命は安全になるのか。ばかにしないでください。

 軍隊の本質は人間の命を奪うことだと、大学で学びました。再発防止や綱紀粛正などという使い古された幼稚で安易な提案は意味を持たず、軍隊の本質から目をそらす貧相なもので、何の意味もありません。

 バラク・オバマさん。アメリカから日本を解放してください。そうでなければ、沖縄に自由とか民主主義が存在しないのです。私たちは奴隷ではない。あなたや米国市民と同じ人間です。オバマさん、米国に住む市民のみなさん、被害者とウチナーンチュ(沖縄の人)に真剣に向き合い、謝ってください。

 自分の国が一番と誇るということは結構なのですが、人間の命の価値が分からない国、人殺しの国と言われていることを、ご存じですか。軍隊や戦争に対する本質的な部分を、アメリカが自らアメリカに住む市民の一人として問い直すべきだと、私は思います。

 会場にお集まりのみなさん。幸せに生きるって何なのでしょうか。一人一人が大切にされる社会とは、どんな形をしているのでしょうか。大切な人が隣にいる幸せ、人間の命こそ宝なのだという沖縄の精神、私はウチナーンチュであることに誇りを持っています。

 私自身は、どんな沖縄で生きていきたいのか、私が守るべき、私が生きる意味を考えるということは何なのか、日々重くのしかかるものを抱えながら現在生きています。

 私の幸せな生活は、県民一人一人の幸せにつながる、県民みんなの幸せが私の幸せである沖縄の社会。私は、家族や私のことを大切にしてくれる方たちと一緒に今生きてはいるのですが、全く幸せではありません。

 同じ世代の女性の命が奪われる。もしかしたら、私だったかもしれない。私の友人だったかもしれない。信頼している社会に裏切られる。何かわからないものが私をつぶそうとしている感覚は、絶対に忘れません。

 生きる尊厳と生きる時間が、軍隊によって否定される。命を奪うことが正当化される。こんなばかばかしい社会を、誰が作ったの。このような問いをもって日々を過ごし、深く考えれば考えるほど、私に責任がある、私が当事者だという思いが、日に日に増していきます。

 彼女が奪われた生きる時間の分、私たちはウチナーンチュとして、一人の市民として、誇り高く責任を持って生きていきませんか。もう絶対に繰り返さない。沖縄から人間の生きる時間、人間の生きる時間の価値、命には深くて誇るべき価値があるのだという沖縄の精神を、声高々と上げていきましょう。
<軍属事件県民大会>玉城愛さんあいさつ(全文)

琉球新報<社説>軍属事件抗議県民大会 海兵隊と新基地ノーだ 限界超えた怒り受け止めよ


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あす6/19「被害者を追悼し、沖縄から海兵隊の撤退を求める県民集会」。それに参加する翁長県知事インタビュー。

沖縄県民集会ポスター

あす「被害者を追悼し、沖縄から海兵隊の撤退を求める県民集会」が開かれる。

それにあわせて、沖縄県以外でも各地で連帯集会が行われる。

6・19沖縄県民大会連帯行動

デモ・抗議開催情報まとめ(戦争法・アベ政治等

日本全国デモ情報 (マガジン9)

32都道府県で抗議集会計画 19日の県民大会と連動 米軍属事件

東京では国会前で集会が行われる。
怒りと悲しみの沖縄県民大会に呼応する『命と平和のための6・19大行動』

集会に参加を表明している翁長沖縄県知事が共同通信のインタビューに応じた(16日)。

「二十歳の娘さんが殺されるという悲惨なことになった。沖縄の置かれている状況で、なかなか本土の方々が肌で感じることができない一番大きなものが日米地位協定だ。二十年近く前から時の知事を先頭に改定を訴えてきた」
「日本の安全保障というのは日本全体で考えてほしい。沖縄だけに基地を押しつけて『中国は怖くないのか』というのは、大変エゴイスト的に感じられる。日本国民全体で考えないことには本気度が伝わらない」
「二十一年前は小学生が被害に遭って、怒りは保革を乗り越えた。怒りを表現することに主眼があり、それを本土の方々も受け継いでくれるのではないかとの期待があった」
「今回の事件を受けて安倍晋三首相と話をしたが、日本政府から気概を感じない。沖縄は米施政権下にあったが、今は国が丸ごと米国の施政権下にあるのではないかという寂しさや悲しさを感じる」
「自分の意思を持っていないような国が、アジアのリーダーだとか、世界のリーダーだとか、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)を開催するというのは、私にはお笑いの世界にしか見えない」

 沖縄県の翁長雄志(おながたけし)知事は共同通信の単独インタビューに対し、米軍属が逮捕された女性暴行殺害事件に抗議する十九日の「県民大会」で、在日米軍の法的地位を定める日米地位協定の抜本改定を訴える意向を表明した。十六日に行われたインタビューの詳報は次の通り。
 -「県民大会」で「本土」に向けどういうメッセージを訴えたいか。
 「二十歳の娘さんが殺されるという悲惨なことになった。沖縄の置かれている状況で、なかなか本土の方々が肌で感じることができない一番大きなものが日米地位協定だ。二十年近く前から時の知事を先頭に改定を訴えてきた」
 「(日本の)0・6%の面積に在日米軍専用施設の74・46%がある沖縄では地位協定のはざまで苦しんでいる。本土の人は日常的に自分たちの目の前に基地が現れないので、地位協定がいかに不平等条約かについて理解が全くない。真実を伝えたい」
 「日本の安全保障というのは日本全体で考えてほしい。沖縄だけに基地を押しつけて『中国は怖くないのか』というのは、大変エゴイスト的に感じられる。日本国民全体で考えないことには本気度が伝わらない」
 -一九九五年の少女暴行事件を受けた県民総決起大会では基地の整理縮小が決議されたが、今回は海兵隊の撤退を求めている。この間で何が変わったか。
 「二十一年前は小学生が被害に遭って、怒りは保革を乗り越えた。怒りを表現することに主眼があり、それを本土の方々も受け継いでくれるのではないかとの期待があった」
 「それから約二十年、いろいろな事件が起き、やはり基地の整理縮小という言葉だけで県民の心を収めるのが難しくなってきた。政府は『県民に寄り添う』と言うが、基地の負担軽減は進まず、地位協定の改定はほとんど手つかずの中、また事件が起きた。政治がそこまで言わなければ、県民の心の整理がつかない。今回、表現が『整理縮小』から『海兵隊の撤退』に変わったのは、県民全体がトーンを上げてきた部分がある」
 -海兵隊撤退を求めることで日米安全保障体制への影響は。
 「日米安保体制は、沖縄を含めて日本全国で平等であることが重要だ。基地を押しつけておいて、もし明日、同じ事件が起きたらどうなるか。(反基地感情が向けられるのは)普天間どころではなく、米軍基地全体になる。日米安保体制が吹き飛ぶという、誰もが予見もできない中に置かれている。砂上の楼閣だ」
 -安倍政権との相互理解が深まらない。
 「今回の事件を受けて安倍晋三首相と話をしたが、日本政府から気概を感じない。沖縄は米施政権下にあったが、今は国が丸ごと米国の施政権下にあるのではないかという寂しさや悲しさを感じる」
 -知事は先の日米首脳会談で地位協定改定を求めるよう首相に要請した。会談内容の説明はあったか。
 「全くない。(抗議しなければ)政局を乗り切れないという意味合いで(大統領に)抗議したのではないかと思うぐらいだ」
 -今回の県民大会は自民、公明両党の県組織が参加しない形となった。出席を決めた思いは。
 「十万人単位の集会を数年に一回開催しても、政府が耳を貸すような状況が全くない。県民大会は当然、日本政府に訴えるのだが、むしろ沖縄県民の思いをどのように表すかが大切だ」
 「主催者の『オール沖縄会議』は(最初は)海兵隊の『全面撤退』だったと思うが、『撤退』に変わった。(大会名に含まれる)『海兵隊撤退』は、基地の整理縮小や米軍普天間飛行場の県外移設、辺野古新基地を造らせないことなど、沖縄の基地問題に関するいろんな政党の考えが集約されている。知事としての公約と就任後一年半の政治行動からすると、これに参加するのは、ある意味で当然だ。参加しないという間違ったシグナルを送ると大変なことになる」
 -知事は「イデオロギーよりアイデンティティー」と言ってきた。それは変わらないか。
 「イデオロギーでは沖縄県民だけではなく日本全体の問題になる。冷戦構造の名残を背景にして沖縄問題を捉えると、日本全体で覆われているものに入ってしまい、沖縄という視点がなくなる」
 「イデオロギーよりアイデンティティーというのは、もう保守とか革新とかやめてほしいと(いうことだ)。沖縄県民はある政党が一議席減ろうが、喜びも悲しみもしない。沖縄県から基地がなくなり、平和を子や孫に残せるかどうかを望んでいるのであり、『今回の選挙はこっちが勝ったぞ』というのは聞き飽きたというものがある」
 「まずは県民が結束することが大切だ。本土の方々がどこまで理解していただけるかということよりも、県民が結束し、心を一つにして今の状況を乗り越え、打破していくのがとても大切ではないか」
 「私たちが主体的に自分たちの自己決定権を持っていることが、日本を変えるのではないか。沖縄の問題を解決すれば、日本が民主主義国家として変わる。地方自治を尊重する国として変わっていく。地方分権という意味でも変わる」
 「自分の国でそれができないような、自分の意思を持っていないような国が、アジアのリーダーだとか、世界のリーダーだとか、主要国首脳会議(伊勢志摩サミット)を開催するというのは、私にはお笑いの世界にしか見えない」
 「それでも今の政権を握っているのは自民党なので、沖縄側から厳しくチェックせざるを得ない」
 -民主主義を徹底させていくということか。
 「民主主義をどう共有できるかという難しさを感じるが、沖縄問題の解決こそが日本という国を本当の意味での民主主義国家、自分の意思を持つ国に変えていくことだろうと思っている」
 -県民大会後、改めて訪米する考えはあるか。
 「訪米する予算は確保している。(先に訪米した際に面会した)モンデール元駐日米大使は『本土の米軍基地は全部日本軍の基地を米軍が使っている。沖縄の基地は全部米軍が強制接収をして無理やり基地にした。この問題は米軍、米国が責任を持って考える必要がある』と話されたのが一番象徴的だった」
 「去年の訪米では『辺野古が唯一』と言っていた人が、今年の訪米では『唯一』と全く言わないで、私の話に耳を傾けてくれた。少しずつ糸がほぐれるとの思いがした。そこに訪米の意味がある」
 「時期は言えないが、これからも日本政府や国民に加え、米国に対して(沖縄の民意を)伝えていきたい」
 -日米両政府は、日米地位協定が定めた軍属の範囲を明確化する方向で議論している。
 「当然不十分だ。それだけで三、四年かかり、一歩進めるためにはさらに五、六年がかかる。その間にまた暴行事件が起きるかもしれない」
 -基地外での事件・事故については、米軍関係者も日本の司法制度で裁けるようにするべきか。
 「基本的にそうあるべきだ。県民の尊厳がかかっている。そうならなければ、将来の日本はアジアや世界のリーダーにはなれない」
地位協定 本土の人は肌で感じられない 沖縄知事インタビュー詳報

このブログでは何度か書いてきたが、基地問題はイデオロギーの問題ではなく、アイデンティティーの問題だ。身内の人間が被害にあった時、その怒りと悲しみにはイデオロギーは関係ない。だから沖縄での基地に絡む事件事故の抗議行動や抗議決議は、時として超党派、全会一致で行われる。今回も、沖縄県内の全自治体が、抗議決議を可決した(全41市町村議会が抗議決議 米軍属事件 39議会は協定改定要求 全議会が抗議決議へ 米軍属事件で沖縄県内の自治体)。

今回の県民集会には、自民党、公明党は参加しない事になった。自分たちが参加しない事を持って、「一部の勢力による政治的活動」だと印象づけようとするならとんでもない事だ。以前の記事でも書いたが、基地被害をなくして欲しいという沖縄県民共通の願いに分裂を持ち込み、政争の具にしたのは政権与党の側だ。自民党本部が県選出の自民党国会議員を恫喝して公約破棄、辺野古移設を容認させたのはその象徴だ(公約を撤回する議員も問題だが)。
「やはり基地の整理縮小という言葉だけで県民の心を収めるのが難しくなってきた。政府は『県民に寄り添う』と言うが、基地の負担軽減は進まず、地位協定の改定はほとんど手つかずの中、また事件が起きた。政治がそこまで言わなければ、県民の心の整理がつかない。今回、表現が『整理縮小』から『海兵隊の撤退』に変わったのは、県民全体がトーンを上げてきた部分がある」「基地を押しつけておいて、もし明日、同じ事件が起きたらどうなるか。(反基地感情が向けられるのは)普天間どころではなく、米軍基地全体になる。日米安保体制が吹き飛ぶという、誰もが予見もできない中に置かれている。砂上の楼閣だ」
政権側がこの問題を曖昧にして、いずれ沈静化するだろうと思っていたら大きなまちがいだ。むしろますます亀裂は深刻になり、問題は先鋭化し、「日米安保体制が吹き飛ぶ」ところまで進むかもしれない。

「モンデール元駐日米大使は『本土の米軍基地は全部日本軍の基地を米軍が使っている。沖縄の基地は全部米軍が強制接収をして無理やり基地にした。この問題は米軍、米国が責任を持って考える必要がある』と話されたのが一番象徴的だった」

ならば、奪った土地を返せ。それが最も確実な解決方法だ。

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