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熊本・大分地震をダシに菅官房長官が改憲発言。丸川環境大臣は「川内原発は運転停止の必要なし」。国民の安全安心を守るはずではなかったのか ?

熊本・大分地震、野外で避難

熊本・大分地震で被災された方々に心よりお見舞い申し上げます。
亡くなられた方のご冥福をお祈りするとともに、心身に傷をおわれた方の一日も早い回復と被害がこれ以上大きくならないことを切望いたします。

不幸な災害にかこつけて改憲発言

不謹慎にも、菅官房長官が地震にかこつけて「改憲」発言(怒)。

緊急事態条項「極めて重い課題」 熊本地震で官房長官
 菅義偉官房長官は15日の記者会見で、熊本地震に関連し、大災害時などの対応を定める緊急事態条項を憲法改正で新設することについて「極めて重く大切な課題だ」と述べた。「憲法改正は国民の理解と議論の深まりが極めて重要だ」とも語り、慎重に検討すべきだとの立場を示した。
 自民党は野党時代にまとめた憲法草案で、緊急事態条項の新設を明記している。

しかし、以前の記事で、災害時にはむしろ現場にこそ権限を集中すべきこと、そして被災を経験した自治体首長はむしろ緊急事態条項は不要と言っている事を紹介した(注1)。今回もその事を裏付ける出来事があった。

熊本地震 知事「現場分かってない」…「屋内避難」に反発
 政府が熊本地震を受けて15日に「全避難者の屋内避難」の方針を打ち出したことに対し、熊本県の蒲島郁夫知事が「現場の気持ちが分かっていない」と反発した。熊本県庁であった松本文明副内閣相との会談で述べた。
 地震が発生した14日夜に益城町や熊本市の中心部で屋外避難をする人が目立ったことを受け、政府は屋内に避難させるよう自治体に求める方針を決めた。
 松本副内閣相によると、「河野(太郎)防災担当相に『今日中に青空避難所というのは解消してくれ』と強く言われて参った」と力説したところ、知事は「避難所が足りなくてみなさんがあそこに出たわけではない。余震が怖くて部屋の中にいられないから出たんだ。現場の気持ちが分かっていない」と不快感を示したという。【中里顕、原田悠自】

地震を経験した私の知人からも聞いたが、天井や照明器具が落ちてくるのではないか、窓ガラスが割れるのではないか、最悪の場合建物が崩壊するのではないかという心配でとても建物の中に入る気がしない、というのが被災者の心理だ。これは一例にすぎないが、こうした「現場でなければ分からない話」はいくらでもある。場所や時が違えば事情も異なる。事情のわからない者が善意でした事でさえ、結果的には迷惑になる事だってある。だからこそ、こうした場合には「現場にこそ権限を」集中すべきであって、内閣に権限を集中するなどとんでもない話である。
独裁体制を確立するための「緊急事態条項」を含む憲法改正のために災害をダシにすべきではない。

地震連鎖可能性否定出来ない、原発止めるべき

今回の地震の特徴は、大きな余震がかなり頻発していること。そればかりか、気象庁は、16日の地震を「本震」と位置づけ、14日の熊本地震をその「前震」に格下げした。気象庁の課長は拡大していく地震現象について観測史上例がない事象である可能性を示唆し、「これ以上の本震が今後あるかもしれない」「国内最大級の活断層『中央構造線断層帯』の延長で起きた今回の地震は大分、愛媛などでも起きる可能性がある」と専門家は指摘している (注2)。

だとするならば、川内原発は止めなくていいのか。現在停止中の伊方原発も何らかの対応を取らなくていいのか。どちらも今回の地震との関連を強く指摘されている「日本最大の活断層、中央構造線」の上に建っている(注3)。本来はその事自体が大問題だが、せめてこうした大地震がすぐ近くで起きた時、さらに地震活動が継続する可能性の高い時くらい慎重に対応すべきではないのか。だが日本政府、丸川環境大臣(原子力防災担当兼務)の判断は、この常識的判断とは異なるようだ。

原子力防災相 川内原発は運転停止の必要なし
丸川原子力防災担当大臣は、「これまでのところ原子力規制委員会においては川内原子力発電所を停止させる必要はないと判断している。したがって、川内原子力発電所1号機、2号機は、現在も運転を継続している」と述べました。

停止して、結果、何もなければそれでよし。何かが起きてからでは遅いのだ。何かが起きたら、誰も責任を取れない。結局福島でも税金で対応するしかないではないか。そして5年経っても事態は収拾されていない。同じ過ちをまた起こす気なのか。電気が足りないわけではないのだ、いや多少電気が足りていないとしても、最悪の事態を想定するなら、少なくとも一時停止すべきであろう。

こうした中、共産党が川内原発の停止を申し入れた(注4)。廃炉を要求しているのではない(いや、ホントは要求してもよいと思うが)、せめて余震の続く間停止すべきという主張である。
東京新聞も、「一時停止」を直接主張しているわけではないが、「今回の被害を教訓に、起こり得る地震の規模や影響をじっくりと検討し直すべきではないか」という主張を掲げた。

【社説】地震と原発 やっぱり原点に戻ろう

 日本はやはり地震国。九州を襲った「震度7」に再び思い知らされた。福島第一原発事故のそもそもの原因は、地震である。その原点に立ち戻り、原発の安全対策の在り方を再点検するべきだ。

 「今までに経験したことのない揺れだった」と、強い余震が繰り返される中、住民は不安に戦(おのの)く。

 「断層帯全体が動いたにしては規模が小さい」と専門家。さらに大きな地震の恐れがあった、ということなのか。

 あらためて思い知らされた。「いつでも、どこでも、強大な地震は起こりうる」

 今月六日、福岡高裁宮崎支部は、今回の震源地からもさほど遠くない九州電力川内原発の運転差し止めを求める住民の訴えを退けた。

 高裁は、対策上想定される基準地震動(最大の揺れの強さ)を「極めて合理的」と判断した。

 住民側は「国内の原発ではそれを超える揺れが、二〇〇五年以降だけで五回観測されている」と観測地の過去の平均値から基準を割り出す手法に異議を唱えていた。

 瓦や石垣が無残に崩れ落ちた熊本城の姿を見ても、同じ判断ができただろうか。

 国会の福島第一原発事故調査委員会は、原因は津波だけでなく「地震による損傷の可能性も否定できない」と指摘。「小手先の対策を集積しても、根本的な問題は解決しない」と結論づけた。

 ところが、電力会社も原子力規制委員会も、地震の揺れを甘く見すぎてはいないだろうか。

 その象徴がくしくも九電だ。

 九電は、川内原発の再稼働がかなうやいなや、事故対策の指揮所になる免震施設の建設をあっさりと引っ込めた。それでも原子炉は止められない。

 原発は無数の機器と複雑な配管の固まりだ。見かけは正常に動いていても、強い震動がどの部位にどんなダメージをもたらすか。その積み重ねがどんな結果につながるか、未解明のままなのだ。

 断層のずれは、想定外の地震を起こす-。熊本地震の教訓だ。

 規制委の審査を終えて次回再稼働候補とされる四国電力伊方原発の近くには、日本最大の断層である中央構造線が走っている。

 今回の被害を教訓に、起こり得る地震の規模や影響をじっくりと検討し直すべきではないか。

 「いつでも、どこでも、強大な地震は起こる」。地震国日本では、これこそ社会通念であり、一般常識だからである。

日頃は、隣国の脅威から国民の安全安心を守るなどと力んでいる日本政府だが、本当に「国民の安全安心を守る」気があるのかどうか、今回の事態で明白である。

【ご協力を】川内原発を止めてくださいキャンペーンに署名を。署名サイトはこちら

・画像は毎日新聞のサイトより


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・注1
前回も津久井弁護士(日弁連災害復興支援委員会副委員長)のブログを紹介したが、今回も、長文だが津久井弁護士の別の記事を紹介しておく。

憲法改正による「緊急事態条項」創設は、災害の現場にとって有害・危険・邪魔でしかない
緊急事態条項(国家緊急権)を憲法に盛り込もうという動きが急速に強まっている。参議院選の一つの争点になる可能性も濃厚だ。

今のところ具体的な案としては、自民党の日本国憲法改正草案98条・99条しかないが、その内容自体、とても問題が多い。

この分野の第一人者の永井幸寿さん(弁護士)はナチス以上の強権だと指摘し、憲法学の木村草太さんは「内閣独裁条項」と喝破した。

私も全く同感で、自民党の緊急事態条項案は、一人ひとりの市民にとって、あるいは立憲主義社会にとって「劇薬のパッケージ」でしかない。

ただ、その点は別稿に譲ることにし、ここでは、「災害の現場に緊急事態条項が必要だ!」という誤った見解をきちんと正しておきたい。

たとえば、”震災関連死が1632名も出たのは憲法に緊急事態の条文がなかったからだ”などという言説が飛び交っているが(日本女性の会 公式ブログなど)、これなどは災害現場を知らないがゆえの大きな誤りと言わなければならない。

東日本大震災で起きたいくつかの出来事を例にとって、考えてみよう。

■トップ制御は、現場に深刻な思考停止をもたらす‥‥【有害】

「緊急事態条項」というのは、ひとことで言うと、国のトップに全ての判断を委ねる超法規的な措置である。

もし本当に緊急事態条項が適用されたらどうなるか。現場は、トップの指示待ちモードに陥って思考停止となるだろう。

(1) 宮城県石巻市での大川小学校では、児童・教職員84名が死亡・行方不明という悲惨な結果を生んだ。その原因について検証委員会が報告書をまとめている。

事実未解明な部分も多いが、ここで注目すべきは、そのときトップで指揮するはずの校長が不在で、現場の教職員たちは指示を仰ぐため校長や市教育委員会に電話をかけたがつながらず、裏山に登って逃げたいという児童の意見は無視され、その結果、無為に50分が過ぎて津波に巻き込まれてしまった点である。

その場にいる当事者の意見よりも、その場に不在のトップの指示を優先しようとした組織人的なスタンスが痛恨の極みである。

(2) これと対照的に、岩手県釜石市では、市内の小中学校の児童・生徒が即座に避難した。その生存率は99.8%にのぼり「釜石の奇跡」と言われている。

平素から指導に当たっていた片田敏孝(群馬大教授)は、「想定にとらわれず、自ら率先してベストを尽くせ」と子どもたちの各自の判断を尊重する防災教育を浸透させてきた。上意下達の組織判断ではなく、一人ひとりの自律性の尊重。そのスタンスが命を守ったのである。

大災害時の緊急事態で、一人ひとりが持っている権限を吸い上げ、トップにそれを集中するよう切り替えるなどという条項は、現場の思考力を停止させる有害な条項だ。

■中央主導の災害対策は命を危険にさらす‥‥【危険】

(1) 原発事故では、突然の強制避難を強いられたために患者50人が犠牲となった福島県大熊町の双葉病院事件が知られているが、これは原発事故避難計画を立てていなかったことに大きな原因がある。計画の作成を求めなかったのは、ほかならぬ国である。

(2) 国はSPEEDI(緊急時迅速放射能影響予測ネットワークシステム)によって、ほぼ正確に放射能飛散を予測していた。しかし、混乱等を心配してその公表を避けた。

福島県浪江町の馬場有・町長は、政府から連絡ひとつ無い中、テレビを見て自主的に全町避難を決断し、北西方向に避難した。その避難路は、放射性物質の飛散方向と一致しており、放射能汚染地域をなぞるように避難したのだ。政府事故調はSPEEDIの情報が提供されていれば「より適切な避難経路や避難方向を選ぶことができた」と指摘した。

国は、事前にも、事後にも、正しい判断をするとは限らない。国益優先、混乱防止、秩序維持のためであれば、一人ひとりの命は後回しになる可能性が高い。

現にそのようなスタンスで一人ひとりが犠牲にされている政策は、枚挙に暇がない。

(3) 私は、地域で700数十名が死亡・行方不明となった宮城県名取市の閖上地区の第三者検証委員会の一委員として惨事の原因究明に当たった。

その中で、分かったことだが、市は1999年に住民と共に津波8m予想の「津波防災マニュアル」を作成していた。ところが、2004年に宮城県が2.6mの統一的な津波被害想定を出したため、甘い想定で海に近い公民館を避難場所に指定したという事実があった。現場のことは現場が判断するのが正しく、現場から離れた上位者に従うのは危険。そう感じた。

緊急事態条項は、一人ひとりの小さな命よりも国益や統一性を重んじた災害対策となりがちであり、それを容認するシステムであるから、私たち一人ひとりの命にとって、むしろ危険というべきである。

■権限集中は180°逆方向‥‥【邪魔】

先に紹介した日本会議の女性組織は、震災関連死の原因は、緊急事態条項が憲法に欠けていたところにあるなどとコメントしていたが、ピントはずれも甚だしい。政府の見解も同様だ。

(1) 確かに、災害直後の避難所や仮設住宅での暮らしはひどいものだった。被災者の方々を思い浮かべると今も胸が詰まる。

では、そこに欠けていたものは何か?ひとことで言えば、「人権保障」の軽視である。もし、緊急事態条項が働いていたら、人権保障を停止してしまうのだから、被災地の状況はさらに悪化し、想像を絶する悲惨な状況に置かれていたに違いない。

法制度の技術面でいうと、①第1に災害救助法が戦後直後を想定した古すぎる運用水準であること、②第2に災害救助の実践があまりにも準備不足だったこと、③第3に災害救助の実施権限が都道府県(災害対策基本法は市町村)という権限の複雑なねじれがあったことが原因だ。

この点は、東日本大震災前からも、発災直後も指摘されていたが、未だに改善されず放置されている。平時における国の怠慢にほかならない。

その結果、必然的に生じたのが災害関連死。2016年2月末時点で岩手・宮城・福島3県の関連死者数は3405人にのぼり、今も増え続けている。

関連死を防ぐために必要なのは、中央の緊急事態条項ではない。一人ひとりの被災者に寄り添う現地の人々の手とつながりだ。

2016年3月末、陸前高田市での相談の場で、ある被災者が「震災直後より今の方が辛い」と語った。空想の世界における災害対応の前に、いま目の前で苦しんでいる被災者に対して為すべきことがあるだろう。

関連死の防止を最優先課題に挙げることさえしない政権に、関連死を引き合いに出して、改憲を語る資格はない。

(2) 東京新聞が被災自治体の首長にヒアリング調査したところ、緊急事態条項が必要だとする意見はほとんどなく、「むしろ現場に権限を下ろしてほしい」と語った。菅原茂・気仙沼市長は、「緊急事態条項があれば、人の命が救えたのか。災害対策基本法の中にある災害緊急事態条項で十分だ」と明快にコメントを寄せている。

私たちが独自に被災地自治体に調査をした結果もほぼ同じだった。首長たちは目の前の被災者を救うために、中央から具体的な権限の移譲を求めていた。災害対応のために改憲を望む声など、無きに等しかった。

もし、「いざというときは中央がなんとかしてくれる」と思ったら人はどうなるだろう。日頃の多忙を優先して、準備を怠る可能性が大である。現場における災害への日常の備えに対するブレーキとなることは必至だ。

結局、緊急事態条項は、現場や自治体から権限を奪って日頃の準備を鈍らせ、ピント外れの中央目線で被災地を仕切ることにより現場に混乱をもたらし、被災者を苦しめる邪魔物でしかない。

■緊急事態条項を憲法化しようとする真意とは

緊急事態条項が、災害の現場にとって「有害」であり、「危険」であり、「邪魔」であることは、ここで挙げた一例にとどまらず、たくさんの立法事実によって説明できる。

東日本大震災で「おかしい」と指摘されてきた事態は、立法事実に基づき、個別の災害法制を正すことによって、制度的にはすべて解決することができる。

むしろ、憲法をいじるよりも、個別の法制をメンテナンスしないと現実に役立たない。なぜなら、現場の行政は、憲法の条文をめくるより前に、個別の災害法制の規定に従って働くからだ。当たり前だ。

災害をダシにして、緊急事態条項を憲法化しようとする動きは、立法事実に真っ向から反するものであって、法的にはまともな議論とはいえない。

おそらく、①災害の現場や法制を知らない善意の意図か、②これを機会に改憲を実現しようとする目論見か、どちらかだろう。

私たちは、前者の方々には災害の現実を知っていただく努力を尽くしたい。そして、後者の方々には正面から意図を問い質したい。

もうお一人、災害分野に詳しい弁護士、小口幸人氏のインタビュー記事はこちら。緊急事態条項の導入は「災害」を名目にした「戦争への準備」

・注2
気象庁課長 観測史上、例がない事象を示唆

専門家「これ以上の本震が今後あるかもしれない」 地震連鎖可能性否定出来ない

震度7級「大分でも」 断層、中央構造線の延長

「熊本地震は南海トラフ地震の前兆かもしれない」専門家が警告

・注3
再稼働で揺れる川内原発の地震対策は、まったくなっていない!

伊方原発「適合」の問題「日本最大の活断層、中央構造線が動くようなことになれば、おそらく壊滅的な被害を受けるだろうと思います」〜第126回小出裕章ジャーナル

・注4

川内原発の即時停止申し入れ 共産党鹿児島県委
 熊本、阿蘇、大分と地震が相次いでいるため、日本共産党鹿児島県委員会は16日、九州電力に対して川内(せんだい)原発1、2号機(鹿児島県薩摩川内市)の即時運転停止を求める緊急申し入れをした。同党の小池晃書記局長も同日、世耕弘成官房副長官に川内原発の運転停止を求めた。一方、政府側は「原子力規制委員会は停止の必要性はないとの認識を示している」と説明した。
 県委員会は、原発を即時停止して地震による機器類の影響がないか点検し、余震が続く間は稼働させないことなどを九電に求めた。
 川内原発は基礎岩盤上の地震計が、水平方向の最大加速度160ガルを観測すると自動停止するが、今回の一連の地震では最大8.6ガルだった。このため九電は「自動停止の設定値を下回り、異常も確認されていない」として稼働を続けている。
 小池氏は記者団に「停止しても電力需要に支障はないはずだ」と語った。【遠山和宏】

・参考サイト、こちらも
安倍官邸が最初の地震の後、熊本県の支援要請を拒否! 菅官房長官は震災を「改憲」に政治利用する発言


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【続編】安倍自民とナチスはそっくり。改正99条が現憲法9条も議会制民主主義も地方自治、基本的人権も破壊する。その2。

前回記事『安倍自民とナチスはそっくり。報ステが渾身の「緊急事態条項」特集。改正99条が現憲法9条も議会制民主主義も地方自治、基本的人権も破壊する。』の続きです。

[ 3/22追記 ]動画が削除されたようです。著作権の問題もあり難しいところです(^ ^ ;
同内容の動画はネットにいくつかありますし、前回記事にもありますので、まだの方はぜひご覧ください。

ナチスの「国家緊急権」なみに危険な自民党憲法改正案「緊急事態条項」

自民党は2012年に「憲法改正草案」を発表した (「憲法改正草案」の緊急事態条項の条文は前回記事参照)。既に、この緊急事態条項に対する批判はネット上にもたくさんある(注4 前回記事参照)。それらを参考にしながら問題点を見ていきたい。

ここが危険「緊急事態条項」はオールマイティの独裁 改正99条が現憲法9条も議会制民主主義も地方自治、基本的人権も破壊する。

緊急事態の宣言には事前又は事後の国会の承認を必要としているが、議院内閣制の下では、よほど複雑・不安定な連立政権や与野党伯仲状態でない限り内閣の提案を国会が否決する事などあり得ないであろう。その点で、これは「歯止め」にはならない。期間も、百日ごとに国会の承認があれば事実上無期限となる。
また、緊急事態では選挙を行わない事になっているが、議会構成が変わらなければ、いつまで経っても否決される事はないだろう。この点でも緊急事態は事実上無期限となる。
しかし、現憲法では、第54条で緊急時には「参議院の緊急集会」が対応すると定めている(注5)。大震災などの場合には選挙などできないではないかという主張はまやかしだ。少なくとも参議院議員は半数ずつ改選されるので、全国会議員が任期切れで国会が機能しないという事態は起こりえない。

緊急事態を宣言すれば、「法律と同一の効力を有する政令」を作る事ができ、予算審議なしに財政上必要な支出を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。まるで戦前の緊急勅令と同じだ。「緊急勅令」の反省から、戦後の憲法は「緊急事態」に対応する条項を持たず、緊急時にも「参議院の緊急集会」が対応する国会立法の原則を貫いている。(注5)。
現憲法は、「国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である」と定めている。行政府より立法府の優位性を認め「国権の最高機関」と位置づけている。これこそが議会制民主主義の要だ。緊急時に行政府に立法権を与える改正草案はこの原則に反している。あとで見るように他国の緊急事態条項も行政府に立法権を与えている例は少ない。
緊急時ではない現時点でさえ、憲法9条の精神は「安保法制」によって破壊された。緊急事態条項を認めてしまえば、9条をはじめとして憲法の精神は破壊されてしまうだろう。ナチスがワイマール憲法を停止したように。憲法を実質的に無効にする法律(政令)さえ作りかねない。

また、「地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる」とする規定は現憲法の精神に反する。明治憲法にはなかった「地方自治」が現憲法で規定され、さらに1999年の地方自治法改正によって国と地方公共団体が「それぞれ独立の行政主体として役割を分担し、対等・協力の関係となる」ことが期待された。緊急事態条項はこの関係を一気に戦前に引き戻すものだ。現憲法下でさえ、安倍政権はこの地方自治の原則を理解しておらず、沖縄・辺野古和解勧告は政府の姿勢を厳しく指摘したと言われている(注6)。

国民の権利は著しく制限されるだろう。「何人も、国その他公の機関の指示に従わなければならない」。基本的人権は「尊重」するだけでよい。自民党の憲法改正草案では、現憲法第97条が、ばっさりと全文削除されているのも象徴的だ。
どんだけ、国民も地方自治体も自分の意のままに操れる強権的、中央集権国家を作りたいのか(怒)。一方で権力者・行政府の暴走を防止する規定はない。このような国家を「独裁国家」と呼ばずになんと呼ぶのか。

日本国憲法第97条
この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである

「緊急事態条項」は多数の国が採用 ?

緊急事態条項は多くの国の憲法にも規定されていると自民党は主張しているが果たしてそうなのか。そして、その内容は、今回の自民党の憲法改正草案とどう違うのか。

緊急事態条項の実態は「内閣独裁権条項」である
警報・避難指示・物資運搬等の規則を細かく定めるのは、国家の基本原理を定める憲法ではなく、個別の法律の役割だ。したがって、外国でも、戦争や大災害などの緊急事態には、事前に準備された法令に基づき対応するのが普通だ。
アメリカでは、災害救助法(1950年)や国家緊急事態法(1976年)などが、緊急時に国家が取りうる措置を定めている。
フランスでは、1955年に緊急事態法が制定されており、政府が特定地域の立ち入り禁止措置や集会禁止の措置をとることができる。後述するように、フランスには憲法上の緊急事態条項も存在するが、昨年末のテロの際には、憲法上の緊急事態条項ではなく、こちらの法律を適用して対処した。
では、憲法上の緊急事態条項は、どのような場合に使われるのか。
まず前提として、多くの国の憲法は、適正な法律を作るために、国会の独立性を確保したり、十分な議論が国会でなされたりするなど、立法に慎重な議会手続を要求していることを理解せねばならない。
逆にいえば、通常の立法手続きは面倒くさいということだが、政府の意のままに国会が立法したのでは、権力分立の意義が失われ、国民の権利が侵害される危険が高まる。もしも柔軟な立法を可能にするために議会手続きを緩和しようとするなら、憲法の規定が必要になる。
例えば、アメリカ憲法では、大統領は、原則として議会招集権限を持たないが、緊急時には議会を招集できる(合衆国憲法2条3節)。また、ドイツでは、外国からの侵略があった場合に、州議会から連邦議会に権限を集中させたり、上下両院の議員からなる合同委員会が一時的に立法権を行使したりできる(ドイツ連邦共和国基本法10a章)。
これらの憲法は、政府に立法権を直接に与えているわけではない。大統領に議会召集権を与えることで国会の独立性を緩和させたり、立法に関わる議員の数を減らすことで迅速さを優先させたりしているに過ぎない。
また、フランスや韓国には、確かに、大統領が一時的に立法に当たる権限を含む措置をとれるとする規定がある。しかしその権限を行使できるのは、「国の独立が直接に脅かされる」(フランス第五共和制憲法16条)とか、「国会の招集が不可能になった場合」(大韓民国憲法76条)に限定される。あまりに権限が強いので、その権限を行使できる場面をかなり厳格に限定しているのだ。フランスは昨年末のテロの際に緊急事態宣言を出しているが、それが憲法上の緊急事態宣言ではなかったのは、こうした背景による。
つまり、アメリカ憲法は、大統領に議会招集権限を与えているだけだし、ドイツ憲法も、議会の権限・手続きの原則を修正するだけであって、政府に独立の立法権限を与えるものではない。また、フランスや韓国の憲法規定は、確かに一時的な立法権限を大統領に与えているものの、その発動要件はかなり厳格で、そう使えるものではない。
これに対し、先ほど述べたように、自民党草案の提案する緊急事態条項は、発動要件が曖昧な上に、政府の権限を不用意に拡大している。
他の先進国の憲法と比較して見えてくるのは、自民党草案の提案する緊急事態内条項は、緊急時に独裁権を与えるに等しい内容だということだ。こうした緊急時独裁条項を「多数の国が採用している」というのは、明らかに誇張だろう。
確かに、憲法上の緊急事態条項は多数の国が採用しているが、自民党草案のような内閣独裁条項は、比較法的に見ても異常だといわざるを得ない。

この国の「国権の最高機関」は国会であり、行政府より立法府の優位を規定しています。行政府の責任者を「国の最高責任者」とする考え、法による支配ではなく人による支配を認めるのはは「独裁」だ。諸外国の「緊急事態条項」も行政府に立法権を与えている例は少ないが、自民党の憲法改正要項は政府に立法権を与えている、この一点だけでも問題外である。

災害時に「緊急事態条項」が必要 ?

大災害時には、「緊急事態条項」が必要だと、自民党は主張している。例のトンデモ「改憲パンフ」(改憲マンガ『ほのぼの一家の憲法改正ってなあに?』)も、
「緊急事態の時に多くの国では大統領などの行政のトップに強い権限が与えられるんじゃ」
「海外では行政のトップが『緊急事態宣言』を出して国会での予算措置を待たずに被災地にお金を使ったり国会議員の選挙を延期したりできるんだよ」
「どうして?」
「スピードだな」
「それだったら地震の時にもすぐに住民の避難や復旧活動ができるってわけだ‼︎」
などと説明している。
あっ、そうかも、と思う人も多いだろう。
しかし、この点についても多くの批判があり(注7)、被災を経験した自治体首長は、むしろ緊急事態条項は不要と言っている(注8)。

災害対策の現場からみた憲法改正「国家緊急権」創設の危うさ
災害対策の現場からすると「国家緊急権」はいらない。理由は3つある。

■それ自体とても危ない
ひとつ目は、国家緊急権は、それ自体とても危ないからである。
要するに国家緊急権は、危機に瀕したときは政府に全てをお任せしてしまうということだ。しかし、たとえ緊急時といえども憲法秩序を取っ払ってしまうことには強い懸念がある。憲法は、一人ひとりの生命や財産や権利を守るために、政府に義務を負わせ、暴走に歯止めをかける法システムである。つまり、災害などで市民の人権が危機に瀕しているときにこそ、まさに憲法の出番なのだ。ところが、逆にこうした憲法秩序を停止してしまい、「何人も‥国その他公の機関の指示に従わなければならない」(自民党憲法改正草案99条3項)というのだから、国民の目から見ればまったく本末転倒である。歴史を振り返ってみれば、緊急事態に政府が誤りを犯した愚例は枚挙に暇が無い。

■日本の制度は十分整っている
ふたつ目は、国家緊急権などなくても日本の制度は十分整っているからである。
諸外国には国家緊急権の規定があるのに、日本にはそれがない、とよくいわれる。それは日本の法制が劣っているからではなく、むしろ優れているからである。自然災害についていえば、我が国の災害対策基本法のように、精緻に整備された制度は類を見ない。それは、災害が圧倒的に多い日本だからこそ蓄積された教訓があるからこその重みであり、戦争と災害をごちゃまぜにしている大陸法系の法制度よりずっと練られている。この災害対策基本法の中には、きちんと「災害緊急事態」の章が設けられており、災害緊急事態の布告の規定もある。いざという時の法の備えは既に存在している。しかるに、あたかも不備があるかのように強調するのはペテンだし、国家緊急権を設けようとする動きは、法の無知に乗じたアンフェアな姿勢だと思う。

■国家緊急権があっても使えない
みっつ目は、国家緊急権があっても使えないからだ。
思い出して欲しい、東日本大震災の直後の政府の対応を。被災者を助けるための「災害救助法」があるのに、それを正しく活用しない。惨憺たる被災地を応援する「災害対策基本法」の規定があるのに、それを適用しない。地球規模の緊急事態である原発事故に際し、情報を隠蔽し、予定された法システムを無視し、「子ども被災者支援法」を制定したのに実行しない。要するに、たとえ良い制度があっても使い方を知らない、想定をしていない、訓練をしていないから、こうした愚かな結果を招いたのである。あまつさえ、特別増税で集めた復興財源を、「復興基本法」を悪用して被災地と無関係に流用する。国土強靱化の名目で公共投資を繰り返す。「政府は間違うことは無い」と心底信じている人がどれだけいるのだろうか。既存の法制度さえ正しく使えない政府に、あぶない道具を持たせるわけにいかないのである。

大災害時に選挙などやってる場合ではないという意見は一理あるが、それを憲法に書き込む必要などない。阪神淡路大震災時も東日本大震災時も、緊急事態条項などなくても選挙を延期したではないか(地方公共団体の議会の議員及び長の選挙期日等の臨時特例に関する法律)。その時々の実情にあわせて対策を考えればいい話だ。
また、偶然、衆参同日選挙の時に大災害が起こったとしても、既に述べたように、参議院議員の半数は非改選である。そのような緊急時には「参議院の緊急集会」が対応すればよい。

次の選挙で改憲派に多数を与えてはいけない。

自民党は次の選挙で憲法改正を争点にすると公言している(まだ反応を見てるだけかもしれないが本音は変わらず)。公明党はいつも口先だけで慎重姿勢を見せるが、最後は自民に押し切られる。おおさか維新は自民に負けず劣らずファシスト改憲勢力だ。日本会議に乗っ取られた安倍自民は、もはや従来の自民党保守政治の延長ではなく、ネオナチ・ファシズム政党だ。彼らに多数を与えたらこの国はとんでもない事になってしまう。

もし、彼らが2/3以上の勢力になった場合、最悪のシナリオは、憲法改正発議 ▶︎ (一応国民投票はあるが)改正成立 ▶︎ 緊急事態の宣言、これでもう次の選挙は行われないし、もし選挙が行われるとしても選挙制度の改悪も自由自在だ。最悪の場合、今回の選挙が民主主義制度の下で行われる最後の選挙になるかもしれない。それだけはなんとしても止めなければならない。

【前回記事】
安倍自民とナチスはそっくり。報ステが渾身の「緊急事態条項」特集。改正99条が現憲法9条も議会制民主主義も地方自治、基本的人権も破壊する。
【関連記事】
福島原発事故からまる5年。日本のマスメデイアは、原発事故の何をどう伝えたか。報ステ、NEWS23、NHK、そして女性誌は。
報ステが「9条押しつけ論」に反論。憲法制定過程に関する動画・資料を集めてみた。9条だけじゃない、25条生存権も日本側のオリジナル。
共産党参院選1人区、原則取り下げ決定。「民主主義制度」の下で行われる最後の選挙にしてはならない。
軽減税率、その裏の狙いは憲法改正。しかも軽減税率は低所得者救済にあらず。
「押しつけ憲法論」のでたらめ – 自民党改憲漫画パンフがひどすぎる
2015大阪W選挙 嘘つきはファシズムの始まり

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・注5

日本国憲法第54条
2 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。
3 前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。

「非常事態と憲法」に関する基礎的資料 衆憲資第 14 号
現行憲法においては、国会中心立法の原則(41 条)を採用していることから、緊急の必要がある場合においても、立法措置等を講ずるためには、できるだけ臨時会を召集しなければならないとされている。ただし、衆議院の解散から新しい衆議院が召集されるまでの間において、国に緊急の必要がある場合には、国会の権能に関する事項につき、内閣は、参議院の緊急集会を求めることができるとされている(54 条 2 項)。なお、緊急集会において講ぜられた措置については、次の国会開会の後 10 日以内に、衆議院の同意を得なければならない(同条 3 項)。
この規定は、一定条件の下に、ある種の緊急立法権を認めるものであるが、憲法秩序の一時停止を伴うものではないため、固有の意味での国家緊急権を定めるものではなく(Ⅰで整理した①のパターンに該当する。)、したがって、通常時における範囲を超えて国民の権利の制限又は停止に関する措置等を講ずることは認められないと一般に考えられている。

・注6 辺野古和解勧告について

強気が一変、安倍政権が「辺野古和解」に急転したウラ事情
1999年の地方自治法改正で「国と地方公共団体が対等・協力の関係となることが期待された」のに、現状は「改正の精神に反する状況」だと批判。今後も訴訟合戦が続けば「国が敗訴するリスクが高い」とまで忠告した。
99年の地方分権一括法の成立とそれに伴う地方自治法の大幅改正では、国が直接に指揮監督する「機関委任事務」が廃止され、国が関与するのは「法定受託事務」だけとされたが、その背景には、明治国家ではもちろんのこと、戦後になってもまだ中央政府と都道府県、都道府県と市町村は垂直的な上下の関係とされてきたのに対し、これからは国と地方公共団体とは水平的な対等・平等の関係であるとする原理的な大転換があった。
1947年制定の地方自治法には「職務執行命令訴訟制度」が組み込まれていて、総理大臣は都道府県知事が命令に服さない場合にその知事を罷免する権限さえ持っていたが、さすがに1991年の改正でこの知事罷免の制度は廃止された。さらに99年の大改正では、その職務執行命令訴訟制度そのものを廃止し、代わりに現行の「代執行制度」が新設された。実は、代執行制度の内容は職務執行命令制度とほぼ同様の要件・手続きのものではあるけれども、国が都道府県を頭ごなしに指揮監督する権限を取り除くという地方自治原理の大転換の上に位置づけ直された以上、その運用は慎重でなければならない。

・注7
緊急事態条項の導入は「災害」を名目にした「戦争への準備」マガジン9
知っておこう 「お試し改憲」の突破口 憲法緊急事態条項はなぜ危ないか

・注8
安倍首相が「改憲は緊急事態条項から」。阪神、東日本大震災などの災害弁護士たちは不要だと言っています。
被災地「自治体に権限を」 改憲で緊急事態条項に違和感 中日新聞
「命救うのに改憲必要ない」 緊急事態条項に被災地首長 東京新聞 (こちらも)
社説 緊急事態条項「むしろ被災地に権限を」 7首長を本紙調査 否定的な声複数 東京新聞
緊急事態条項に異論 自民改憲案に被災地は慎重 高知新聞


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安倍自民とナチスはそっくり。報ステが渾身の「緊急事態条項」特集。改正99条が現憲法9条も議会制民主主義も地方自治、基本的人権も破壊する。

この道しかない。ヒトラーと安倍はそっくり。

「強いドイツを取り戻す」「この国を強靭な国にしたいのだ」どこかできいたような台詞だ(注1)。
「ヴェルサイユ条約で不当に奪い取られたドイツ人の権利と誇りを取り戻そう」つまり「ドイツを、取り戻す」が、ナチスが国民に訴えたスローガンだった。

報道ステーションが「ワイマール憲法と緊急事態条項」を特集、安倍とヒトラーの手法は同じ

報道ステーションが、憲法9条押しつけ論福島原発と甲状腺がんなどの特集に続いて、今回はワイマール憲法と緊急事態条項についての特集『独 ワイマール憲法の”教訓” なぜ独裁が生まれたのか』を組んだ(注2)。[報道ステーション]ワイマール憲法から学ぶ自民党憲法草案緊急事態条項の危うさ (文字起こし)はこちらにあります。

ヒトラーは「独裁」を「決断のできる政治」、「戦争の準備」を「国民の平和と安全の確保」と聞こえのいい言葉に変えていた。
まるで今の安倍自民党とそっくりの台詞である。

・ネット上にはいくつか、同内容の動画が投稿されている。検索して下さい。上記ふたつの動画 ⇧ はほぼ同内容です。
・おそらく報道ステーションにはいろいろな圧力がかかっていると思われます。「いい特集でした」「がんばって下さい」の一言でもいいので、応援メッセージを送ろう。報ステへの感想送信はこちら

世界一民主的と言われたワイマール憲法の下で、なぜナチス独裁が合法的に誕生したのか。放送を見逃した方は、ぜひ、上記動画サイトで見て下さい。

クーデターなどではなく合法的な手段で独裁を可能にしたのは「国家緊急権」だが、それを国民の側も許したという点も見逃してはいけないと思う (そうした「空気」を作ったのは政権側だが)。番組の中の「あなたたちは知っていた」という言葉が強く胸に刺さる。
命がけでなければ自分の意見を言う事ができない、という時代ではまだない。今、声を上げなくていつ声を上げるのか。個人もマスメディアも。

「戦争を望まない国民を政治指導者が望むようにするのは簡単です。国民に向かって、われわれは攻撃されかかっているのだと煽り、平和主義者に対しては愛国心が欠けていると非難すればよいのです」ヘルマン・ゲーリング

「ナチスが最初共産主義者を攻撃したとき、私は声をあげなかった。私は共産主義者ではなかったから。
社会民主主義者が牢獄に入れられたとき、私は声をあげなかった。私は社会民主主義ではなかったから。
彼らが労働組合員たちを攻撃したとき、私は声をあげなかった。私は労働組合員ではなかったから。
そして、彼らが私を攻撃したとき、私のために声をあげる者は、誰一人残っていなかった。」マルティン・ニーメラー

ふりかえって、現代日本の「自民党憲法改正草案」。番組の中で、ワイマール憲法の権威であるドイツ・イエナ大学のミハエル・ドライアー教授は、緊急事態条項についてこう述べた。
「なぜ一人の人間、首相に権限を集中しなければならないのか。首相が(立法や首長への指示など)直接介入することができ、さらに首相自身が一定の財政支出まで出来る。民主主義の基本は「法の支配」で「人の支配」ではありません。」

ナチスの「国家緊急権」なみに危険な自民党憲法改正案「緊急事態条項」

自民党は2012年に「憲法改正草案」を発表した。その内容は、天皇の元首化、9条の平和主義の破棄と国防軍の創設、基本的人権の制限(注3)など、とんでもない内容だ。また、現憲法では「天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ」と定めているが改正草案では「全て国民は、この憲法を尊重しなければならない」という、まったく立憲主義を無視した規定も問題だ。しかし、中でも特に危険と言われているのが「緊急事態条項」の新設だ。その内容を見ておこう。

自民党 憲法改正草案

第九十八条
内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。

2緊急事態の宣言は、法律の定めるところにより、事前又は事後に国会の承認を得なければならない。

3内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があったとき、国会が緊急事態の宣言を解除すべき旨を議決したとき、又は事態の推移により当該宣言を継続する必要がないと認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、当該宣言を速やかに解除しなければならない。
また、百日を超えて緊急事態の宣言を継続しようとするときは、百日を超えるごとに、事前に国会の承認を得なければならない。

4第二項及び前項後段の国会の承認については、第六十条第二項の規定を準用する。
この場合において、同項中「三十日以内」とあるのは、「五日以内」と読み替えるものとする。

第九十九条
緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。

2前項の政令の制定及び処分については、法律の定めるところにより、事後に国会の承認を得なければならない。

3緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。この場合においても、第十四条、第十八条、第十九条、第二十一条その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない。

4緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる。

既に、この緊急事態条項に対する批判はネット上にもたくさんある(注4)。それらを参考にしながら問題点を見ていきたい。

  その2に続く
 続きはこちら「【続編】安倍自民とナチスはそっくり。改正99条が現憲法9条も議会制民主主義も地方自治、基本的人権も破壊する。その2。」


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・注1
【書評 ドイツを取り戻すー「日本を、取り戻す。」『ヴァイマル憲法とヒトラー』】
橋下徹もトランプも同類だ。

・注2
リテラ 『報ステ』古舘伊知郎が最後の反撃! ドイツ取材で緊急事態条項の危険性、安倍首相とヒトラーの類似点を示唆

・注3
自民党の西田昌司と片山さつきが、国民主権と基本的人権を否定してしまいました

・注4
緊急事態条項の実態は「内閣独裁権条項」である
アベ首相のほしいままに戒厳令 緊急事態条項はこんなに怖い
安倍首相が「改憲は緊急事態条項から」と明言! 自民党が目論むのはナチスと同じ手口、その危険すぎる中身とは…
なぜ、いま緊急事態条項なのか――自民党改憲案の危うさ

IWJには「緊急事態条項」に関する記事が大量にある、例えば、、、
IWJ 9条改正よりヤバい!? 安倍政権が目論む緊急事態条項!
IWJ  自民党が憲法改正で盛り込む「国家緊急権」はナチス以上!? 大震災の被災地で動いた弁護士らが全権委任法も含まれた国家緊急権の「正体」に迫る!
IWJ  「災害時に、国家緊急権は役に立たない」緊急事態条項・反対派の永井幸寿弁護士との議論で、賛成派の小林節氏に「地殻変動」 ~国家緊急権を徹底討論!
IWJ 安倍政権が改憲で狙う緊急事態条項の途方もない危険性などなど。

特集ワイド 本当に必要? 「緊急事態条項」毎日新聞
 安倍晋三首相は最近、「挑戦」との言葉を多用する。その胸中をそんたくすれば、最も挑戦したいのは憲法改正だろう。そして今、永田町では「緊急事態条項」を新設する改憲論が浮上している。戦争や大災害などが起きた場合、首相に権限を集中させるこの条項は、基本的人権を過度に侵害する危険性もある。本当に必要なのか。【江畑佳明】

災害も攻撃も「既存法で対応可能」
 安倍首相の発言をたどってみると、昨年より改憲に前向きな姿勢を感じ取れる。例えば先月19日の参院予算委員会での答弁では緊急事態条項の必要性に踏み込んだ。「大規模な災害が発生したような緊急時において国民の安全を守るため、国家そして国民自らがどのような役割を果たしていくべきかを憲法にどのように位置付けるかは極めて重く、大切な課題と考えている」
 確かに、沿岸部に壊滅的な被害をもたらした東日本大震災の記憶は今もなお鮮明だし、首都直下や南海トラフなどの大地震も高い確率で発生すると指摘されている。世界に目を向ければ、収束しないテロや北朝鮮のミサイル問題などがあり、緊急事態条項は必要−−と納得しそうだ。
 この条項を盛り込んだ自民党の憲法改正草案を確認しよう。条項の概略は、武力攻撃や大災害などが起きた場合、首相が閣議で「緊急事態」を宣言すると▽法律と同じ効力を持つ政令の制定が可能になる▽国民には国や公共機関の指示に従う義務が生じる−−というものだ。
 だが「憲法に緊急事態条項を入れる必要性は全くありません」と断言するのは、災害の法律に詳しい弁護士の小口幸人(おぐちゆきひと)さんだ。小口さんは2010年春、岩手県宮古市へ赴任。震災後、市職員らに法律の助言をするなかで、災害対策基本法などの法律が効果的に運用されていないと痛感した。その例が、津波で破壊された家屋の所有者が、行方不明者の捜索を拒んだ時の対応だった。悩む市職員への助言は「災害対策基本法では、市長の判断で建物の一時使用や収用、除去までできると定めてあります。必要なら、当然立ち入りもできます。立ち入り検査に関する条文もあります」。
 また同法は政府が強い権限で災害対応に臨めるよう、首相による「災害緊急事態の布告」を定めている。国会閉会中でも緊急の必要がある場合、政令を出し物価を抑えたり、債務支払い延期を決めたりすることが可能。表を見てほしい。一例だが、緊急事態に対応する法律に致命的な不備があるとはいえないだろう。
 小口さんは切実な表情でこう訴える。「憲法に緊急事態条項があったら大震災で起きた数々の悲劇を食い止められたのかといえば、そうではない。今の法律を十分に使いこなせなかったのが問題。被害を最小限に抑えるのは、法整備やその周知、訓練などを含めた事前の準備。大震災を改憲のダシにしないでほしい」
 1人の弁護士の意見にとどまらない。岩手、宮城、福島、新潟、兵庫といった大震災を経験した自治体を含む計17の弁護士会は、緊急事態条項の新設に反対する声明を出している。被災地は緊急事態条項を求めてはいない。
 テロや武力攻撃を理由に条項の設置を求める意見には、有事法制に詳しい早稲田大の水島朝穂教授(憲法学)が反論する。「既に警察法や自衛隊法などに過剰ともいえる仕組みが存在し、対応は可能。例外的権限を憲法に導入すれば、誤用、乱用、悪用の危険が増してくる」

戦前に経験「行政フリーハンド化」
 緊急事態条項がないのは憲法の欠陥だ、という意見も改憲派からはよく聞かれる。だが、憲法に詳しい弁護士の伊藤真さんは「先人の知恵の産物であり欠陥ではありません」と切り出し、憲法の制定過程を交えて解説する。
 連合国軍総司令部(GHQ)と日本側が緊急事態条項を巡って議論した際、GHQは「憲法に明文を置かなくても、内閣が超憲法的に対応すればよい」という趣旨の主張をしたが、日本側は「緊急事態条項のあった明治憲法以上の弊害が起きうる」と反論。激論の末、緊急時に衆院議員が不在でも参議院で緊急集会の開催が可能と憲法54条2項に明記された。参院の改選は定数の半分なので、国会議員がゼロになる事態は起きない。「緊急時は参院が立法府として対応できる」と伊藤さん。改憲派は「議員の任期を特例で延長できるよう定めておくべきだ」とも主張するが、その必要はない。
 「明治憲法での弊害」というのは、議会にかけずに発する緊急勅令などが発令された後に起きた不幸な事件を指す。関東大震災(1923年)では政府が戒厳を布告。軍や警察などによる無政府主義者などへの弾圧につながった。日本には緊急事態条項がもたらした苦い経験がある。
 これが念頭にあったのだろうか。現憲法の制定に尽力した金森徳次郎憲法担当相は46年7月、帝国議会衆院憲法改正案委員会で次のように語った。「緊急勅令及び財政上の緊急処分は行政当局者にとりましては実に調法なものであります。しかしながら(略)国民の意思をある期間有力に無視しうる制度である(略)。だから便利を尊ぶかあるいは民主政治の根本の原則を尊重するか、こういう分かれ目になるのであります」
 伊藤さんは力説する。「当時の政治家は緊急事態条項が乱用される危険性を認識し、明治憲法下での人権侵害を反省していました。たとえ一時でも、為政者をフリーハンドにしてはいけません」。先人の反省は極めて重い。

先進国に例ない「長期の人権制限」案
 安倍首相は「多数の国が緊急事態条項を採用している」とも言う。だが、前出の水島さんは「『他国にあるから日本も』というのは稚拙な議論。しかも各国の緊急事態条項は、権力者が暴走しないよう工夫されている」と指摘する。
 例えばドイツ。68年に緊急事態条項が憲法に入れられたが、政府の判断だけでは発動できず、国会(危急の際は48人の非常議会)の決定が必要。憲法裁判所の活動は妨げられない。水島さんは「それに比べて」と、自民党の憲法改正草案に話を移した。「緊急事態宣言の国会承認は事後でも構わないなど政府の暴走にブレーキをかける仕組みが弱い。宣言が100日を超える場合は国会の承認が必要とあるが、一度にそんな長期間、特別の人権制限を続ける規定は、民主国家では聞いたことがありません」
 緊急事態条項に「NO」を突き付けた上で、語気を強める。「こんな現実味のない論議よりも、国民生活を安定させる施策に尽力すべきだ」。国会議員は本業を怠っているという批判だ。
 自民幹部からは「緊急事態条項なら国民に受け入れられやすい」という「お試し改憲論」が聞こえてくる。繰り返すが、緊急事態条項は一時的にせよ、憲法で定める三権分立を停止して人権を制限しうるのだ。こんな「お試し改憲」が許されるのだろうか。

 ◆緊急事態に対応する法律の例
災害対策基本法 
<首相の権限>
・災害緊急事態を布告できる
・内閣は物価の抑制や債務支払い延期などを政令で制定できる
・政令を制定したときは、直ちに国会の臨時会を召集するか、参院の緊急集会を求める

<市町村長の権限>
・居住者へ避難のための立ち退きを指示することが可能
・他人の土地の一時使用が可能

災害救助法
<都道府県知事の権限>
・医療、土木建築工事、輸送関係者を救助の業務に従事させることが可能
・病院やホテルなどの施設を救助のために管理できる
・現場にいる者を救助業務に協力させることが可能

大規模地震対策特別措置法
<首相の権限>
・地方公共団体の長や指定公共機関(日本赤十字、NHKなど)へ必要な指示が可能

原子力災害対策特別措置法
<首相の権限>
・原子力緊急事態宣言の発令をする
・都道府県知事、市町村長に対し、避難のための立ち退きなどの指示・勧告をする

自衛隊法
・首相は緊急事態に際し、自衛隊の出動を命じることが可能

警察法
・首相は緊急事態に際し、一時的に警察を統制し、警察庁長官を直接に指揮監督する

こちらも
http://blog.goo.ne.jp/raymiyatake/e/7e59b8607062734017cc2884bbc266a5

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