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朝鮮戦争は終わっていない。緊迫の朝鮮半島情勢。日本国民の犠牲も顧みない安倍自民が火に油を注いでいる。

朝鮮近海へ向かうアメリカ空母打撃群

一触即発の朝鮮半島。安倍の後先考えない強がり発言によって日本は戦争に巻き込まれる。安倍は戦争を欲しているのか。

つい先日、4月6日、一つのニュースをNHKが報じた。その後大きな話題になることもなかったが、きわめて重大なニュースである。

自分の発言の意味さえ理解できない安倍首相が重大発言。朝鮮半島と日本が戦場となってもいいのか。

安倍総理大臣はアメリカのトランプ大統領と電話で会談し、トランプ政権が北朝鮮に対し、武力行使も排除しない姿勢を示していることを評価する考えを伝えました。
日米電話首脳会談 首相“武力行使排除しない姿勢評価”

安倍という男、いつも思いつきで、後先考えず威勢のいい事を言って「やってる感」だけを演出するとんでもない奴である。安倍首相は電話会談後「トランプ大統領からはすべての選択肢がテーブルの上にあるとの強い、力強い発言がありました」と語った (「突っ込んだ意見交換ができた」安倍晋三首相ぶらさがり全文)。またしても「安倍式言い換え語」である。国連安保理の議決抜きの武力行使は国連憲章違反であり、軍事大国による他国主権の侵害であってこれを「力強い」と評価する感覚は完全に狂っている。しかも、それを武力の行使だけでなく「威嚇」すらも放棄したはずの国の首相が肯定的に評価するなどあってはならない。なぜこの点をマスメディアは追求しないのか。

安倍は自分の言っている事の意味を理解しているのだろうか。アメリカの北朝鮮に対する武力行使を支持する、と言ったのである。たんに米朝が戦争状態になってもいい、という事にとどまらず、日本や韓国が攻撃されてもいいというメッセージを北朝鮮とアメリカに送った事になる。仮に武力攻撃が行われたとして、第一撃で相手の反撃能力を全滅させるなど不可能である。そうなれば北朝鮮は、死にものぐるいで反撃にでるだろう(あるいは先制攻撃を行うかもしれない)。在日米軍基地は攻撃されるであろうし、自衛隊は集団的自衛権に基づいて参戦せざるを得ないだろう。

しかも、よりによって、過去最大規模の米韓合同軍事演習が行われている中での発言。安倍は戦争したいのか ? 挑発的発言以外の何ものでもない。
またしてもマスメディアは、トランプ大統領が「日本に対する安全保障上の関与を確認し、同盟国日本を100%支える」と発言した事をとらえて安心してしまうお花畑なのか。

その直後に、アメリカはシリア攻撃。事態は急展開。

その翌日、びっくりするニュースが世界を駆け巡った。アメリカはシリアに対して、ミサイル攻撃を行った。

米軍は米東部時間6日午後8時40分(日本時間7日午前9時40分)ごろ、シリアの空軍飛行場に対し、巡航ミサイル59発を発射した。
米、シリア政権に軍事攻撃=巡航ミサイル59発―トランプ氏「虐殺終わらせる」

アメリカ国防総省は、日本時間7日午前9時40分ごろ、アメリカ軍が59発の巡航ミサイル「トマホーク」を、シリア軍の関連施設に発射したと発表した。
巡航ミサイル「トマホーク」59発 アメリカ シリアを軍事攻撃

この攻撃は、アサド政権側が罪のない市民に恐るべき化学兵器攻撃を行った事に対する対抗措置だとアメリカは主張している。しかし、本当に化学兵器か使われたのか、化学兵器を使用したのは誰なのか、明白な事実の認定も無く、国連決議も無く、有志連合ですら無い。アメリカが攻撃を受けたわけでもなければ、同盟国への攻撃があったわけでもない。アメリカ単独の判断で主権国家を一方的に武力攻撃する事は許されない。

もう一点問題なのは、この武力攻撃が、中国に対するプレッシャーであり、北朝鮮に対する恫喝だという点だ。シリアは数少ない「北朝鮮を承認し、韓国を承認していない」国だ (余談だが北朝鮮と国交の歩くにはかなり多い)。

この攻撃は、北朝鮮問題も議題の一つにした米中会談のさなかに行われた。トランプ氏は夕食会の間、「重大行動」に取り組む自らの姿を習氏に誇示するように振る舞った と言われている。また、トランプ大統領は焦点の北朝鮮問題について、習近平国家主席に取り組み強化を促す一方、中国が有効な手を打てない場合は米国が単独で行動する用意があると伝えた。

米国務長官は「シリア攻撃は北朝鮮への警告」と語った。

安倍はそのシリア攻撃も真っ先に支持した。米大統領との電話会談で、シリア問題に関連して「北朝鮮の核・ミサイル問題に対しても、日米韓3カ国の連携を強化することで一致した」と報じられた。

緊迫の朝鮮半島情勢。過去最大規模の米韓合同軍事演習。米空母・駆逐艦が朝鮮半島に集結。

3月から、過去最大規模の米韓合同軍事演習が行われている。

米韓、2カ月間の大規模合同軍事演習を開始 北朝鮮の脅威を警戒

軍事演習は史上最大規模、米空母出撃で正恩氏射程 中国と『黙認』事前協議、米軍特殊部隊「斬首作戦」決断も

北朝鮮、「強硬対応」か=米韓演習に対抗し挑発も

さらに、3月にこの軍事演習に参加し、その後朝鮮近海から離れていた空母カールビンソンが再び朝鮮近海に戻りつつある。

アメリカ海軍の空母打撃群、朝鮮半島に向けて航行 北朝鮮を牽制か

米空母・駆逐艦が朝鮮半島に集結 11日は最高人民会議

ミサイル駆逐艦など合流か 米空母、朝鮮半島近海へ派遣

朝鮮半島は一触即発の緊迫した事態だと言っていい。しかもこの米韓合同軍事演習に日本は深く関わっている。(米韓演習 米本土から在日米軍基地中継 F22など大量投入)

そればかりか、14日参院本会議で、自衛隊と米軍が物資や役務を融通し合う日米物品役務相互提供協定(ACSA)の改定案が承認された (自民、公明、日本維新の会などの賛成多数、民進、共産などは反対)。

我が日本では「敵地攻撃能力」が議論される。一昔前なら口にすることさえはばかれていた。

海上自衛隊は、北上するカールビンソンとの共同訓練を予定している。

 海上自衛隊が朝鮮半島近海に向けて北上している米海軍の原子力空母「カール・ビンソン」を中心とする第1空母打撃群と近く共同訓練を実施することが12日、分かった。海自の護衛艦が参加し、巡航訓練などをする見通し。日米が連携し、弾道ミサイル発射などの挑発行為を繰り返す北朝鮮をけん制する狙い。自衛隊幹部が明らかにした。
海自、米空母と共同訓練へ 日米連携し北朝鮮けん制

もはや訓練というより実戦配備と言ってもいいだろう。海上自衛隊の任務は、敵潜水艦の攻撃から米海軍を守り、米空母や米原潜に「安全な」活動海域を提供する事にある。海上自衛隊は他国軍隊と比べて対潜水艦作戦能力が極めて高い(韓国が16機しか保有していない対潜哨戒機P3Cを日本は80機保有しておりアメリカについで保有数が多い。さらにP-1を33機保有)。

互いに相手を脅威と見なす軍事的抑止論では、事態は悪循環。むしろ緊張を高めるだけ。朝鮮戦争はまだ「休戦」状態にすぎない。

朝鮮戦争は終わったわけではなく「休戦」状態にすぎない。休戦協定は1953年7月27日午前10時、朝鮮人民軍代表兼中国人民志願軍代表と国連軍代表により署名された (朝鮮戦争休戦協定)。朝鮮戦争における「国連軍」は、ソ連が中国代表権問題から欠席中の安全保障理事会の決議に基づいているが、国際連合憲章第7章に基づく、安保理が指揮する正規の国連軍ではない。正規の国連軍が組織された事はこれまで一度も無い(国連軍))。「北侵を前提とした大規模軍事演習を在韓国連軍が実施したこと」などにより、北朝鮮側は1994年、1996年、2003年、2006年、2009年、2013年の少なくとも6回にわたり、もはや休戦協定に束縛されないと表明している (朝鮮戦争休戦協定)。

日本の横田基地には、この「国連軍」の「在日米陸軍・国連軍後方司令部」があり、キャンプ座間、横須賀海軍施設、佐世保海軍施設、横田飛行場、嘉手納飛行場、普天間飛行場、ホワイト・ビーチ地区の7カ所が国連軍施設に指定されている。

1975年11月、第30回国連総会は「国連軍司令部」を解体する2件の決議を採択した。2004年、北朝鮮は、アナン国連事務総長あてに書簡を送り、韓半島内の国連軍司令部を解体するよう要求し、北朝鮮を敵対視する米国の政策が不可避な戦争を招くことになると主張した。同スポークスマンは「在韓国連軍司令部は米軍が主導する兵力であって、国連平和維持軍ではない」とし「したがって、北朝鮮の要求は韓半島から米軍を撤退させるためのもの」と指摘した。 2016年10月には「第30回国連総会の決議通りに米国が不法な南朝鮮駐屯『国連軍司令部』を一日も早く解体し、すべての侵略武力を撤退すること」を求めた。

世界最大の核保有国が他国の核開発を批判。米韓合同軍事演習を問題視しない欺瞞。

北朝鮮の核開発は許されないし、北朝鮮の肩を持つ気は全くないが、こうした大規模な米韓合同軍事演習が非難されないのは、全く片手落ちというしかない。世界最大の核保有国アメリカが、北朝鮮の核開発を批判するのはダブルスタンダードだ。戦争は互いに「自衛」を口実に始まる。

(北朝鮮外務省)報道官は「トランプ米政権が『力による平和』を叫び、朝鮮半島に戦略攻撃手段を次々と投入しているが、われわれは眉一つ動かさない」と強調。「われわれに手出しする者には『超強硬』に立ち向かい、強力な力で自らを守る」と訴えた。
「超強硬」対応を警告=米空母の急派非難―北朝鮮

北朝鮮外務省の報道官はKCNA(朝鮮中央通信)を通じて、「自衛のために強力な武力を行使し、挑発する者に対して最も激しい反撃を行う」と述べ、現在の姿勢を貫く意向を示した。
「戦争の準備できている」 北朝鮮、米空母派遣を非難

北朝鮮がアメリカ本土に届く核ミサイルを開発している事をアメリカは脅威と見なしているに違いない。北朝鮮は強大な在韓米軍を脅威と見なしている。互いに相手を脅威と見なし、それに対抗するために軍備を増強するのは、出口の無い悪循環だ。米国家安全保障会議(NSC)が核とミサイルの開発を進める北朝鮮に対抗するため、核兵器を在韓米軍に再配備することをトランプ大統領に提案したと報じられている。軍事的圧力と恫喝によって自己の主張を通すのではなく、朝鮮半島非核化を含む平和的手段で事態を解決すべきだ。

核兵器の応酬ともなれば、北朝鮮や韓国はもちろん、日本にも重大な被害が及ぶだろう。いや、韓国の原発が狙われただけで、日本が受ける被害は重大だ (韓国の原発銀座で惨事なら 「西日本の大半避難」の推定)。

火に油を注ぐ安倍内閣。言葉だけは勇ましいが、どうやって日本国民を守るのか。

話を元に戻そう。朝鮮半島で戦争が起きるのか、それはどの程度の規模なのか、誰にもわからない。互いに相手を威圧し、相手の出方を確かめただけで終わるかもしれない。しかし、一触即発の事態である事には違いない。この時、日本は何をすべきか。

安倍首相は、6日の「武力行使も排除しない姿勢を評価する」発言に続き、10日には「いかなる事態になっても国民の生活と平和な暮らしを断固として守り抜く決意だ」と述べた。

どのようにして「国民の生活と平和な暮らしを断固として守り抜く」のか。フリージャーナリストの志葉 玲氏が防衛省に問い合わせて得た回答は「いろいろ長々と言っていたけど、端的に意訳すると、「アメリカ様が何とかしてくれることを期待。自衛隊がミサイル攻撃を防ぐことができるかはお答えできない」という事だった。要するにジャイアンの陰に隠れていれば大丈夫、という程度の話なのか。

そりゃそうだろう。もし、北朝鮮が日本の在日米軍基地や原発を攻撃したら、それを100%防ぐ手段など無い (だから新型ミサイル防衛システムTHAADを買わせようとしている。軍需産業丸儲け)。ジャイアンの陰に隠れても無駄。むしろジャイアンもろとも標的となる。北朝鮮ははっきりと「在日米軍基地が標的」と言っている。首都東京には「国連軍後方司令部」を始め多数の米軍基地が集中している。沖縄を始め日本全土に在日米軍基地は存在する。もし戦闘になればそれらが攻撃目標となる可能性は高い。在日米軍基地だけがピンポイントで攻撃され、日本人には被害が及ばないという保証は無い。というか、米軍基地が攻撃されたら周辺の住民にも被害が及ぶと考えた方が自然だろう。核攻撃ならなおさらだ。北朝鮮が「日本が米軍を支援している」と見なせば、米軍基地だけでなく日本そのものが狙われるだろう。海上自衛隊が米海軍と行動をともにするなど、むしろその危険を高めるだけだ。

「武力行使も排除しない姿勢を評価する」と言うなら日本にも標的となる事を覚悟すべきだし、それを避けるためには、非軍事的手段による解決を目指すしか無い。安倍政権の対応は、米軍による武力攻撃を二度も思いとどまらせた韓国政府とは対照的だ。

アメリカは、1990年代のクリントン政権期の「第1次核危機」と、2000年代のブッシュ政権期の「第2次核危機」の時にも、北朝鮮への軍事攻撃を検討した。しかし、北朝鮮の報復攻撃による、アメリカとその同盟国の被害リスクが大きすぎることから断念した。北朝鮮への先制攻撃や斬首作戦(指導者の暗殺)ができるなら、とうの昔にやっていたはずだが、できなかったのだ。
1993〜1994年の第1次核危機の際には、アメリカが北朝鮮の核施設を対象にサージカルアタック(局部攻撃)をしたら、100万人以上の韓国人と10万人以上のアメリカ人が死亡するとの試算が米政権内で出された。当時の韓国の金泳三大統領が、クリントン米大統領の核施設攻撃に断固反対し、中止させた。 2003年の第2次核危機の際にも、当時の盧武鉉大統領はブッシュ政権に対し、「軍事オプションは絶対に呑めない」と強く反対した。北 の反撃による韓国などへの被害リスクが大きすぎて先制攻撃できないとアメリカは判断した。イラクやリビアは攻撃できても、北朝鮮は攻撃できなかったのだ。
盧武鉉政権時に大統領府外交安保首席秘書官を務めた韓国国防研究院のソ・ジュソク責任研究委員は3月5日、都内で行われた朝鮮半島の安全保障政策に関するシンポジウムで、アメリカによる先制攻撃のリスクについて、次のように述べ、強い懸念を表明した。
「1994年のクリントン政権時よりも北朝鮮の攻撃能力が上がっているので、被害はもっと大きくなる。韓国の指導者で先制攻撃に同意する人は1人もいない」
北朝鮮を攻撃したら何が起きる——もし永田町が核攻撃を受けたら

自国(民)の被害をリアルに想定できる韓国政府と違って、安倍内閣はそれもできない「平和ボケ」なのか。こちらが強気に出れば相手はひるむに違いないという「抑止力論」の幻想に取り憑かれているのか。相手がひるむかどうかはわからない。抑止力論は相手がひるむはずだという希望的観測の上に成り立っているにすぎない。

詳細や情報源も明かせないのに、北朝鮮がサリンを弾頭に付け発射する能力を保有などと、危機感を煽る事だけは一生懸命だ。単に「化学兵器」では無く「サリン」と言う単語を使ったのは、その言葉に日本人がどう反応するかを計算した上での事だろう (一方で、日本政府は昨年、毒ガスを含む化学兵器や生物兵器の一切の使用を憲法9条が禁止するものではないとする答弁書を決定している。さらに付け加えるなら、日本政府は「核兵器禁止条約」交渉に不参加だし「核先制不使用」に反対している)。

集団的自衛権を認めた安保法制によって、日本を取り巻く環境はより平和に近づいたはずではなかったのか。2年前、アメリカの戦争に巻き込まれることは「絶対にあり得ない」と言ったばかりではないか。もし日本がアメリカの同盟国でなければ、北朝鮮には日本を攻撃する理由が無い。

「原発の全電源喪失は考えられない」「最後のお一人にいたるまできちんと年金をお支払いしていく」「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。自民党」から始まって、「汚染水はアンダーコントロール」「健康問題については今までも現在も将来も全く問題はないと約束します」、そして、「総理も議員も辞める」発言まで、言葉面は勇ましいが何の重みも無い。断定的な言い方をすればするほど真実味が無い。カラ元気で強がりで、空疎で、しかもその言葉の結果には責任を負わない戯言・大言壮語につき合わされる国民はたまったものではない。しかもメディア受けを狙ったこれらのフレーズは、「強いリーダー」をイメージさせ、「やってる感」を演出しているにすぎない。

非軍事的手段、話し合いによる解決を。

もう一度いうが、アメリカに尻尾を振って道連れにならないよう、平和的手段による解決を目指すべきだ。

 トランプ氏の「日本を100%守る」という言葉を引き出し、安倍官邸は、「大成果」だと喧伝した。
 こうした報道を繰り返し聞かされた国民は、次のように考えた。

――北朝鮮はいつ日本にミサイル攻撃を仕掛けるかわからない。もし、米国が日本を見放したらと思うと背筋が寒くなる。幸い、安倍さんがうまくやってくれた。何かあったら、トランプさんが守ってくれる。安倍さんは、トランプさんの親友になったのだから――

 日本の国内には、このような奇妙な安心感が生まれたのだ。
 さらに、この思考回路は、暗黙のうちに、次のような論理を肯定する。

――安倍さんとトランプさんが仲良くすることが何より大事。そのためには、多少譲歩しても仕方がない。トランプさんが望むことを、日本自ら進んでやることによって、向こうに恩を売り、さらに両国の絆を強いものにして欲しい――

(中略)

 いずれにしても、日本人が、本当に安倍政権の対米追随路線の怖さに気づくのは、やはり、前述した北朝鮮とのミサイル戦争に巻き込まれて、日本の国土が戦場と化し、数千人の死傷者を出すときまで待たなければならないのかもしれない。
 そういう事態になって、初めて日本の国民は気づく。

――あの時、日本は米国を止めるべきだった。中ロと協力してでも、北朝鮮との戦争を止めて欲しかった――と。

 そして、私たちは、次のような疑問に突き当たるだろう。
 日米安保条約と在日米軍基地があるから日本の安全が守られるというのは間違いだったのではないか。日米安保条約と在日米軍基地があったからこそ、日本が無用な戦争に巻き込まれることになったのではないか。

――政治の役割は二つある。一つは、国民を飢えさせないこと。もう一つは、これが最も大事です。絶対に戦争しないこと――

 これは、菅原文太さんが亡くなる約4週間前に沖縄で行った最後のスピーチの有名な一節だ。
 今、日本人は、この言葉をかみしめて、日本が進むべき道について、根本から考え直すべきではないだろうか。(文/古賀茂明)
古賀茂明「北朝鮮、シリア 日本の危機が安倍総理のチャンスになる不可思議」

こちら↓は今回の朝鮮での軍事衝突の可能性に関連した記事ではないが、結論部分は大いに参考になる。

ここで北朝鮮の言い分にも耳を傾けてみよう。

「イラク、リビア事態は、米国の核先制攻撃の脅威を恒常的に受けている国が強力な戦争抑止力を持たなければ、米国の国家テロの犠牲、被害者になるという深刻な教訓を与えている」(2013年12月2日『労働新聞』)

北朝鮮の核・ミサイル開発はイラクやリビアの二の舞にならないための「強力な抑止力」というのだ。そして求めるのは米朝間の平和協定締結であることは以下の演説からわかる。

「米国の敵視政策の清算は、わが共和国に対する自主権尊重に基づいて米朝間の平和協定を締結し、各種の反共和国制裁と軍事的挑発を終えるところからまず始めるべきである」(2013年7月2日第20回東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)閣僚会合、北朝鮮の朴宜春(パク・ウィチュン)外相の演説)

日本がとるべき道は、北朝鮮への先制攻撃も視野にいれるトランプ政権に対し、外交的アプローチの強化を求めることではないだろうか。

トランプ政権は、北朝鮮が非核化措置をとらない限り、対話に応じないとするオバマ前政権の「戦略的忍耐」は失敗に終わった、と判断した。であるならば、安倍政権に求められるのは、以下のように米国を説得することだろう。

「北朝鮮との対話に乗り出し、交渉の過程で核放棄とミサイル開発の中止を求め、見返りに平和協定を結んで北朝鮮に『米国は攻撃しない』という保障を与えるべきだ」と。

米国、北朝鮮どちらの国が軍事オプションを選択したとしても、全面戦争に発展しかねない。そうなれば北朝鮮の弾道ミサイルが飛来し、日本が壊滅してしまうおそれがあることはみてきた通りであるからだ。
対北朝鮮「ミサイル防衛」も「敵基地攻撃」も驚くほど非現実的である


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9条改憲賛成という人にこそ知ってほしい、もはや憲法とは言えない自民改憲案の中身。たった一人の判断ですべてをチャラにできる緊急事態条項。【2016参議院選】

創価学会パンフ

前回記事で、「安倍自民が狙う『身の毛もよだつ怖い怖いこの国の未来像』について書く」と予告しましたので、その話を書きます。忙しい人は太字のところだけでも読んでね。

『9条改憲賛成という人にこそ知ってほしい、明治憲法より酷い正気の人が書いたとは思えない自民改憲案の中身。内閣総理大臣たった一人の判断ですべてをチャラにできる緊急事態条項』

憲法9条は改正すべきだ、という意見の中身について考える。フルスペックの「普通の軍隊」を認めてもいい ?

あなたは、憲法9条改正に賛成ですか、反対ですか。もし賛成ならなぜですか。あなたが9条を変えてもいいと思っているその理由と、自民党が憲法を改正して目指そうとしていることとは、実は180度違うかもしれません。今度の選挙の投票日までのあと数日、少し考えてもらいたい、憲法9条改正に賛成という人に伝えてもらいたいことがあります。

[ 1. 今の自衛隊を認めるだけ ? いえ、フルスペックの軍隊と無制限の海外派兵を認める改憲案です。]

世論調査で「憲法9条は変えない方がいいか、変えた方がいいか」という二択の質問がよくあります。その結果、変えた方がいいという意見が3割程度はあるようです(注1)。その理由として「今の自衛隊の存在を明記すべきだから」という意見が賛成の人の1/3程度あるようです。つまり現実に自衛隊は存在する、それは認めるしかない。憲法上自衛隊は合憲なのか違憲なのか曖昧なまま来たが、もうはっきりさせた方がいいのではないか。憲法に「自衛のための軍隊を持つ」と書いた方がいい。そう考える方がイメージしているのは「現状の自衛隊(個別的自衛権と専守防衛の自衛隊)」ではないでしょうか。しかし、自民党が憲法改正で狙っているのはそうではありません。

自民党の憲法改正草案はこちら日本国憲法改正草案Q&Aはこちら。改正案の9条の条文は注3。

・戦力の不保持、交戦権の否認は完全に削除されている。第2項「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」はまるまる削除。

・新たな第2項は「前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない」。「自衛」という言葉がついていても何の歯止めにもなりません。現行憲法下でも「自衛のためなら、攻撃されていなくても(攻撃されるとこちらが判断したら)敵基地攻撃もOK」「自衛のためなら核兵器もOK」という議論すらある。しかも、この「自衛」は「集団的自衛権(=他衛)」も含む意味で使われている。Q&A によれば、「主権国家の自然権(当然持っている権利)として『自衛権』を明示的に規定したもの」であり、「『自衛権』には国連憲章が認めている個別的自衛権や集団的自衛権が含まれていることは、いうまでもありません」とされる。昨年の国会では「様々な制約を付けた集団的自衛権」ですら学者や国民から大反対されたのに、改正草案では制限なしの「集団的自衛権」を認めている。「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動(略)を行うことができる」という条文は、「価値観を共有する」と安倍自民が言うアメリカとの(国連決議抜きの)「多国籍軍」「有志連合」方式の戦争を認めるものになっている。結果として無制限の軍隊と海外派兵を認める内容となっている。

・秘密保護法を認め、さらに軍事裁判所を設置する。

・「公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動」は、国内での暴動(と政府が判断するもの)を軍隊を使って鎮圧する内容です。

・「国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない」国民に防衛の義務を負わせ、資源を巡る紛争を軍事力で解決することを合理化する条文。こういうときこそ外交努力をすべきであって武力に訴えてはならないという9条第1項「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」という規定と矛盾する内容。

こうなると9条1項の「平和主義」は完全に骨抜きとなり、他国の普通の軍隊と全く変わらないフルスペックの軍隊を持つことになります。

[ 2. 庶民の日々の生活には関係ない ? 18歳選挙権と徴兵制はセット。徴兵制が復活し、従わない者は軍法会議で死刑。]

しかも、合憲なのか違憲なのか曖昧なままの自衛隊の憲法上の位置づけをはっきりさせるだけの改憲だから、自分たちの日々の生活とは関係のない話だと思っていませんか。そんなことはありません。一番直接関係があるのは徴兵制の復活でしょう。それ以外にも、軍隊が強い力を持つ場合国民の基本的人権は制限され、軍事予算を確保するため社会福祉は削られます。フルスペックの軍隊を認めることと人権を制限することはセットになっているのです(注4)。人権を制限することのできる緊急事態条項については後半で書きます。とりあえず徴兵制のことを見てみましょう。

軍事裁判所について、石破元防衛大臣は、「命令に従わないものは死刑」と発言しています。

厳密に言えば、一般国民に対してではなく、「命令に従わない”軍人”は死刑」と言っているのですが、では、一般国民が軍人となる「徴兵制」はあり得ないのでしょうか。安倍首相は「ありえない」と言っていますが、この人が「絶対に」とか強調すればするほど怪しくなってきます。懲役は苦役になるのでそれを憲法が禁じている以上徴兵制はあり得ない、というのが安倍氏の理屈ですが、では改正草案の18条を見てみましょう。

「第十八条 何人も、その意に反すると否とにかかわらず、社会的又は経済的関係において身体を拘束されない。 」

何でわざわざ、「社会的又は経済的関係」と言う語句が入っているのでしょう。「社会的又は経済的関係」以外の理由、例えば政治的とか軍事的という理由で拘束することはあり得るという意味でしょうか。一方で現憲法にある「何人も奴隷的拘束を受けない」と言う語句が削除されています。これは何を意味するのでしょう。難しい理屈はひとまず置いておくとして、正直に本音を語っている人がいます。

自民党 西田昌司 18歳選挙権と徴兵はセット

自民党ではありませんが自民党のお仲間の本音。憲法改正派政党 日本のこころを大切にする党 西村 真悟の壮大な軍国青少年生産プラン 軍事大国のために教育改革も軍国化 (西村候補のこの動画の文字起こしはこちらのブログ) 「高校、大学、企業に入る条件に徹底的な軍事訓練を」「徴兵は最大の教育改革」「教員資格は、自衛隊で3年間の勤務経験を経た者に!いざとなれば兵士に!」このラストで徴兵制と軍事訓練は1.教育の改革と2.防災の訓練、3.いざとなれば兵士になる、国を護るために体を張る青年が育っていくと、一石三鳥だと主張しています。

自民党 船田議員(憲法改正推進本部長)発言 「理屈で言うと徴兵制の可能性はある」

一応そのあと「「もし徴兵制をやろうとした時には自民党内で大反対が起きるし、自分が自民党の憲法改正推進本部長である限りはそれは許しません」と言っているのだが、ならばなぜ単純に「許しません」と発言せず、含みを持たせるのか。そもそもその肩書きにあと何年いるつもり ?

石破氏「徴兵制は苦役ではないから憲法違反ではない」

また、制度としての徴兵制がなくても経済的理由で「志願」する「経済的徴兵」を危惧する声も多い(例えばこちら、「経済的徴兵制」で検索すればいくつものサイトがヒットする)。

ちゃぶ台返しか、最強のジョーカーか。内閣総理大臣たった一人の判断ですべてをチャラにできる緊急事態条項99条。根本にあるのは立憲主義の破壊。

[ 3. 9条改憲よりこわい「緊急事態条項」。内閣総理大臣一人の判断で何でもできる独裁政治。無制限の戦争を認める事は独裁政治とセット。]

9条の改正よりもっと怖いのは、98条、99条の「緊急事態条項」です(注5)。憲法の他の章で何を定めようとすべてをチャラにできる魔法の条文が「緊急事態条項」です。しかもそれはたった一人の判断でできます。一応閣議にはかるとか、国会の承認とかを条件にしていますが、国会の承認は事後承諾でもよく、議院内閣制ではよほど与野党伯仲でなければ、議会が内閣の提案を拒否することは考えられません。また閣議も、もし反対する閣僚がいれば、任命権者である総理大臣が相手を罷免し自分の言うことを聞く別の人物に替えることができます(事実、安倍総理は内閣法制局長他の人事を自分に有利なように「首のすげ替え」を行ってきました。そのことが安倍内閣の暴走を許しているひとつの要因となっています)。

このブログでは何度か「緊急事態条項」について書いてきました。詳細は過去記事をご覧いただけるとありがたいのですが、内閣に立法権を与え(内閣が法律と同じ効力を持つ政令を作ることができる=つまり独裁だね)、国民もまた国の指示通りにしろと命令でき、当然基本的人権は制限される。仮に(9条改正は国民の反対が大きいので)9条改正がなくても、緊急事態条項があれば9条は改正されたも同じ。

[ 4. 権利ばかり主張せず、お国のために命を投げ出す義務を果たせ。国防の義務から「国旗国歌尊重義務」「家族愛の義務」に至るまで。戦争反対の声は押しつぶされる。]

なぜこんなでたらめな、「正気の人が書いたとは思えない」、「明治憲法より酷い」、「ごく一部の人たちの願望がそこに表現されているだけ。内輪で盛り上がるための作品のような」憲法草案ができたのか。

それは自民党基本的な考え方が、戦前のような社会を目指しているからです。彼らの本音を過去記事で書きました。彼らが自分の口から本音をしゃべっている動画をいくつか紹介しましたが、詳細はそちらの過去記事を見てください。重複になりますが、その動画をひとつだけ再掲しておきます。

ぜひ、他の動画もぜひ見てください。 ・憲法を変える時が来た。もうこれ以上延ばす事はできない。 ・国民主権、基本的人権、平和主義、この三つをなくさなければホントの自主憲法とは言えない。 ・日本にとって一番大事なのは皇室であり、国体である。 ・国防軍を創設する。 ・国民の生活が大事という政治は間違っている。 ・国を護るには血を流さなければいけないんです。 ・国のために命を捧げる覚悟を。 ・国に命をかけるものだけに選挙権を。 ・国際紛争でアメリカの若者が血を流しているのに、日本の若者が血を流さなくていいのか?・・・・・・これが彼らの本音かと思うと、もう頭がくらくらしてきます。一部の跳ね上がりではない、自民党政調会長や大臣・幹事長経験者他、幹部クラスの発言がこれです。

要するに権利ばかり主張せず、お国のために命を投げ出す義務を果たせ、と言っているのです。「自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない」(12条)と定め、「国を自ら守る」義務(前文)などを新設し「国防の義務」「国旗国歌尊重義務」から「家族愛の義務 ? 」に至るまで、様々な義務が国民に課せられる。公益及び公の秩序に反すると政府が判断すれば、戦争反対の声は押しつぶされる。

[ 5. 中学の公民の教科書にも載っている「立憲主義」。それを破壊する改憲案は、名前は憲法でも実態は憲法ではない。]

要するに立憲主義が理解できないんですね、自民党は。立憲主義を知らない自民党憲法起草委員会事務局長の礒崎陽輔氏がこんなtweetしています。(余談ですがこの磯崎氏集団的自衛権のでたらめな例え話を10代の女子に論破されちゃった人です。)

だけど立憲主義は中学の公民の教科書にも載っています。教科書にはこう書いてあります。

「憲法は、政府の権力を制限して国民の人権を保障するという立憲主義の思想にもとづいて、政治権力の乱用を防いで、国民の自由や権利を守ります。立憲主義の考えは、政治が人の支配によってではなく、法によって行われる事を要求する法の支配の思想とほぼ同じものです。」

私がへたくそな文章を長々と書いている間に(^ ^ ; SEALDsさんが、実に要領よくまとめてくれていました(^_^)。全文はリンク先をお読みいただくとして一部引用させていただきます。

そもそも憲法というのは、国民がはじめから当然に持っている人権を国として確認し、ときの為政者や多数派の横暴にブレーキをかけ、基本的人権を侵害するような法律や処分等を 無効にするものであって、国家のために国民の権利を制限し一方的に義務を課すためのものではありません。
国民の義務は「法律」で規定し、万一それが不当な人権侵害となる場合には「憲法」によって無効化するというしくみがとられているのです。「憲法に保障された基本的人権」が「法律によって課せられた義務」に優先するというのが立憲主義の基本的な考え方です。
ところが、自民党の改憲草案を見ると、表現の自由などにわざわざ制限規定が入れられ、国民には憲法尊重義務が課され、それ以外にも、家族仲良くといった、国が国民に義務付けるようなものではない道徳規範をふくめ、国家が国民に様々な義務を課しています。「常に公益及び公の秩序に反してはならない(自民草案第 12 条)」という義務に至っては、これを根拠に国民の側に広範な義務が課せられかねません。憲法を根拠にした人権侵害が生じてしまったら、憲法が私たちの人権を守る砦ではなくなってしまいます。
つまり、自民党改憲草案は「憲法」ではないのです。
ですから、今回の争点は、改憲ではありません。 「憲法を破壊し憲法でないものにするか、立憲民主主義の国で居続けるかどうか」です。 自民党の憲法改正草案に反対すると、対案を出せなどと言われることがありますが、憲法を破壊するという提案に、対案を出す必要はありません。
とても大事なことなのでもう一度言います。 今度の選挙の争点は、改憲ではなく、立憲民主主義の国で居続けるかどうか、です。 憲法の破壊を食い止めたうえで、冷静に憲法のあり方について議論をしませんか。
改憲も悪くないんじゃないかと思っているあなたに知ってほしい7つのこと

こちらのイラストもわかりやすいので、憲法くらべさんのfacebookからシェアさせていただきます。

憲法くらべ

[ 6. 憲法を巡る多様な意見をまとめるには時間が必要。戦前のような暗黒政治にNOなら、今度の選挙で意思表示しましょう。黙っていたら、新たな「戦前」の始まり。]

長々と書いてきましたが、誤解を恐れず、きわめて大胆・大雑把にまとめるとこういうことです。自衛隊が合憲なのか違憲なのか曖昧なままだったからこそ、軍隊の強大化に歯止めをかけ、専守防衛に徹することができた。だからアメリカの同盟国でありながら、朝鮮戦争にもベトナム戦争にも参加しなかった。おかげで戦闘で一人も殺さなかった。もしここで集団的自衛権や憲法改正を認めてしまったら、フルスペックの軍隊と無制限の海外派兵を認めることになる。自衛隊はアメリカと一緒になって「テロとの戦い」という戦争に突入することになる。武力でテロは防げない、むしろ逆効果であることをダッカでの悲惨な事件が証明してしまった(どう見ても普通にあの条文を読めば違憲に決まってるだろ、専守防衛でも問題あり過ぎとお考えの皆様、大雑把なまとめで申し訳ありません)。

軍隊や戦争を無制限に認めるということは、単に自衛隊員や軍人だけの問題ではありません。それは必ず、戦前の日本がそうであったように「政府の独裁」「人権の制限」「軍事費を増やして福祉予算を削る」という事とセットでやってきます。それは立憲主義の破壊です。それは新たな「戦前」の始まりです。

9条改正を含め憲法改正を巡っては国民の間にも野党間でも様々な意見があるのは事実です。だから今、野党が主張しているのは「安倍政権のもとでの憲法改悪に反対」という事です。自民党の改正案に対する対案は「現行憲法こそ対案」という事です。改正については様々な意見があるからこそ、時間をかけてじっくり議論すべきではありませんか ?

今回の選挙は、「憲法もどき」しか持たない前近代的国家に日本がなってしまうのかどうかの分かれ道です。自衛隊や自衛戦争をどこまで認めるか、憲法の条文上でどう扱うべきかという点はさて置き、日本が憲法にもとづく民主主義国家であってほしいと思う人は、ぜひ【自民党・公明党・お維新(注6)・新党改革・こころ・幸福実現・支持政党なし党】以外に投票してください。ぜひ投票に行きましょう。今回ばかりは野党に投票。棄権は現状の与党の政治を追認する事になります。

・トップの画像はこちらのサイトから。ネットでは「今の日本はこのとき危惧した通りだ」とかなり有名になった出版物の1ページです。この本は1988年に創価学会婦人部平和委員会の編纂で第三文明社から出版された『まんが・わたしたちの平和憲法』という本です。かつての公明党、創価学会は真剣に「平和」を求めていました。残念ながら今の公明党、創価学会は、大きく変わってしまいました。集団的自衛権も最初は反対のはずだったのに賛成してしまいました。平和の党は戦争の党に変わりました。

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・注1 例えば

憲法を「変える必要はない」が昨年3月の調査の48%から55%に増え、「変える必要がある」は昨年の43%から37%に減った。憲法9条についても「変えない方がよい」が昨年の調査の63%から68%に増え、「変える方がよい」は27%(昨年の調査は29%)だった。
9条「変えない」が増 安保法影響か 朝日新聞世論調査

この変えるほうがよいと答えた27%の人が「それはどうしてですか?」という問いに対して答えた(選択した)理由は、
a国際平和に、より貢献すべきだから。
b今の自衛隊の存在を明記すべきだから。
c日米同盟の強化や東アジア情勢の安定につながるから。
がほぼ3割ずつ。

一概に「変えた方がいい」と言っても、中身はかなり幅があるように思えます(自衛のための戦争も交戦権も自衛隊も認めるという点では共通でも)。変えた方がいいという意見は大きく分けると、二つの考え方があるのではないか。もちろん中間もあるだろうし、様々なバリエーションやニュアンスの違いもあるとは思いますが、大きく分けると二つ。一方で、「9条改正反対論」にも、内容の違ういくつかの案がある。これもきわめておおざっぱに分けると二つあると思う(注2)。

・「A 改正すべき 格上げ論」ひとつは、フルスペックの軍隊を認める。例えば、自民党の憲法改正草案(注3)。この草案では、「自衛権の発動を妨げるものではない」と規定しているが、「国際的に協調して行われる活動(中略)を行うことができる」とも規定しているので、「自衛権」の中に「集団的自衛権」も含めて認めている、また自衛隊の海外での活動も認めている。

・「B 改正すべき 制限論」もうひとつは、自衛隊を憲法上認める代わりに、様々な拡大解釈がなされないように、何らかの制限を明記しようという案。専守防衛のみ、個別的自衛権のみを認め、活動範囲は日本の領域内のみとする。領域外での活動を認める場合でも国連決議を条件とする、などの案。もう少し消極的なニュアンスなら、今まで通りの専守防衛に徹するなら、既にあるものは認めた方がいいという意見もこの中に入るだろう。

・「C 改正すべきでない 現状追認」改正反対論のひとつ目は、専守防衛、個別的自衛権の範囲内であれば、現憲法9条が禁止している戦力にあたらないので、改正する必要がないという意見。アバウトに言えば、従来の政府見解がこれであり、おそらく国民世論の多数派であろう。

・「D 改正すべきでない 厳格適用論」改正反対論のもうひとつは、9条改正なんてとんでもない、厳格に適用すべきであって、自衛の戦力(自衛隊)も認めない。時期はともかく、自衛隊は解散すべき。

こう分類すると「A 改正すべき 格上げ論」と「B 改正すべき 制限論」は、同じ「9条改正論」と一括りにできないほど内容というか、なぜ改正するかという方向性が違う。一方で、「B 改正すべき 制限論」と「C 改正すべきでない 現状追認」は、中身がほぼ同じである。憲法9条を改正すべきかどうかではなく、自衛のための戦争と戦力(自衛隊)を認めるかどうか、という基準で分けるとわかりやすい。

「A 改正すべき 格上げ論」はもちろん認めるという意見。自衛の中には集団的自衛権も認めるし海外での活動も認める。「D 改正すべきでない 厳格適用論」は、自衛のためであっても認めない。

「B 改正すべき 制限論」と「C 改正すべきでない 現状追認」は、自衛の戦争と自衛のための戦力である自衛隊は認める。ただし「自衛(個別的自衛権と専守防衛)」に限る。それを憲法上でどう扱うかが違うだけである。現憲法は「自衛(個別的自衛権と専守防衛)」を認めていると考えている人は「C 現状追認」。現憲法では自衛隊は合憲なのか違憲なのか、自衛は認めているのか自衛も認めていないのか曖昧なのでこの際はっきり認めよう、どうせ認めるなら拡大解釈の余地がないよう制限も憲法の条文で明記しようと言う考えが「改正B案 制限論」。

・注2
もちろん、4つのパターンに分類できるほど単純ではないことは承知の上、議論を整理するために許していただきたい。
「自衛戦争」と「(戦力としての)自衛隊」に関する世論調査によると様々な意見がある。
この調査で、自衛戦争は認めるが9条改正必要なしは65.2%。戦力としての自衛隊は認めるが9条改正必要なしは67.5%。これがほぼ「C 改正すべきでない 現状追認」にあたるだろう。

◆「自衛のための戦争」「(戦力としての)自衛隊」について、これを「認める」と答えた人のうち(憲法9条との整合性を図るために)これを「改める必要がある」と答えた人は、「自衛のための戦争を認める」では24.3%。「(戦力としての)自衛隊を認める」では18.6%でした。
【「認める」という人の中で、憲法9条との整合性を図るための改憲の必要性の有無についての考え】
自衛戦争を認める  改憲の必要あり    必要なし   わからない・無記入
男性 222人     55人 24.8%    143人 64.4%    24人 10.8%
女性 140人     33人 23.6%     93人 66.4%    14人 10.0%
男女 362人     88人 24.3%     236人 65.2%   38人 10.5%
※必要あり+必要なしの合計は324人 それを母数とする「必要あり88人」の%は27.2%です。

戦力としての
自衛隊を認める  改憲の必要あり   必要なし      わからない・無記入
男性 258人   47人 18.2%    177人 68.6%    34人 13.2%
女性 182人   35人 19.2%    120人 65.9% 2   7人 14.8%
男女 440人   82人 18.6%    297人 67.5%    61人 13.9%
※必要あり+必要なしの合計は379人 それを母数とする「必要あり82人」の%は21.6%です。

そう答えた人(改憲の必要あり)に対して「では、どんなふうに改めればいいか?」と訊ねたら、返ってきた答えはこうでした。
・9条2項の「戦力は保持しない」「交戦権は認めない」を「自衛のための戦力は保持する」「自衛のための交戦権は認める」と改める。
・「自衛のための戦力として自衛隊の存在・活動を認める」と明記する。
・自衛隊を自衛軍として明記すべし。
・どこの国とも軍事同盟を結ばない。非同盟・中立を謳いつつ軍隊保持と自衛戦争を認める。
・海外派兵は認めないと明記して、専守防衛を徹底させることを明文化すべし。
・政府や法制局の解釈で事実上認めるというのは危険。交戦権を認める、自衛戦争は可、戦力としての自衛隊を認めると憲法に明記すべきだ。(男女問わずこの意見多し)

逆に、「自衛のための戦争」「(戦力としての)自衛隊」は認めるが、憲法9条を「改める必要はない」と答えた人に対して、「それでは現行憲法との整合性が図れないとは考えませんか?」と訊ねたところ、以下のような答えが返ってきました。
・現実的には認めているのだから、わさわざ9条を改める必要はない。(男女問わずこの意見多し)
・政府がある程度の解釈で対処するのは仕方がない。
・北朝鮮や中国が今のような状況だから「認める」と答えているのであり、本当は認めたくない。なので、改憲などしないほうがいいと思っている。
・現行憲法は侵略戦争は禁じているが自衛戦争までは禁じていない。なので改憲の必要はなし。
・戦力保持も交戦も認めてないけど、実際には戦力としての自衛隊は存在するし安保法制によって戦争もできるんだから、改憲の必要はなし。解釈でいけばいい。
・戦力として自衛隊を保持するというのは、9条2項に反しているかもしれない。だけど、改憲の必要はない。なぜなら国会が承認した防衛予算によって自衛隊は存在し活動しており違法な存在ではないのだから。
※この人たちはいずれも9条の条文を改める必要はないと言っています。つまり一般的な世論調査では「護憲派」「9条支持」に分類されています。

「自衛戦争も戦力としての自衛隊も認めない」と答えた人の中にすら、ごくまれに「改憲の必要あり」と回答している人がいる。解釈の余地のないように改憲すべきだという意見だ。
単純に改憲派=武装派(あるいは軍事主義)、護憲派=非武装派(あるいは平和主義)ではないようです。
また、現実には戦力である自衛隊を「憲法が禁じた武力にあたらない」という解釈を政府がとってきたため、『自衛のための戦力は、戦力ではなく「防衛力」』『自衛隊が戦うことになったとしても、それは「防衛」であって「戦争」ではない』という意見もあり、問題を複雑化させている。さらに安保条約が絡んでくるともっと複雑だ(自衛のための戦争は認めないが「日本は戦争しないで、米軍に戦ってもらえばいい」という意見もある)。

詳細はリンク先記事を見ていただきたいが、本当に多様な解釈・意見があって、この中のどれかの意見が国民の多数派になるということは簡単ではない。自衛のための戦争も、自衛のための戦力としての自衛隊も認めるという意見が多数派だがその内容は様々だ。また、自衛戦争や自衛隊を認める人の中でも改憲すべきという意見は多数派ではない(自衛戦争を認めるが、9条改正必要なしは65.2%。戦力としての自衛隊は認めるが、9条改正必要なしは67.5%)。自衛権(自衛のための戦争)は認めるが、自衛のための軍隊(常備軍)は認めないという理屈も理論上はあり得る。

自衛戦争と自衛のための軍隊を認める意見の中には、集団的自衛権まで認めるか、専守防衛・個別的自衛権だけに限定するか、それぞれどれくらいの割合でいるのかも調査してほしかった。

いずれにせよ、日本の防衛をどうするのかということと、それを憲法にどう書き込むかは様々な意見があり、簡単にどれかの案で国民的合意が得られるという状況ではない。自民党は、今度の選挙で勝てば最短で2016年中に改正発議をすると見られているが、相当長期にわたり時間をかけて議論すべき問題だ。野党の中にも様々な意見がある。だから今回の選挙での野党の合意は「安倍政権の憲法改正に反対する」。

・注3

第二章 安全保障
第九条
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動としての戦争を放棄し、武力による威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、用いない。
2 前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。
第九条の二
我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。
2 国防軍は、前項の規定による任務を遂行する際は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。
3 国防軍は、第一項に規定する任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。
4 前二項に定めるもののほか、国防軍の組織、統制及び機密の保持に関する事項は、法律で定める。
5 国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実施に伴う罪又は国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、法律の定めるところにより、国防軍に審判所を置く。この場合においては、被告人が裁判所へ上訴する権利は、保障されなければならない。
第九条の三
国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない。
日 本 国 憲 法 改 正 草 案

・注4
「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」という憲法前文も、「第九十七条  この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」という規定も、改正草案では丸ごと削除しています。

「第十章 最高法規」の一番最初の97条で永久の権利を規定し、98条で違憲の法律は無効、99条で憲法擁護義務を定めているこの構成を見ても、(明文ではないにしろ)基本的人権を制限する法律は無効であり、この人権項目を含む憲法を公務員は擁護しなければならない、そしてわざわざ「将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」と書き込んでいるところから考えると、その権利を侵すような改正を禁止しているように読める。9条で「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」とわざわざ「永久」という字句を使っているのも同様の理由であろう。

・注5

緊急事態の宣言
第九十八条
内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。
2緊急事態の宣言は、法律の定めるところにより、事前又は事後に国会の承認を得なければならない。
3内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があったとき、国会が緊急事態の宣言を解除すべき旨を議決したとき、又は事態の推移により当該宣言を継続する必要がないと認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、当該宣言を速やかに解除しなければならない。
また、百日を超えて緊急事態の宣言を継続しようとするときは、百日を超えるごとに、事前に国会の承認を得なければならない。
4第二項及び前項後段の国会の承認については、第六十条第二項の規定を準用する。
この場合において、同項中「三十日以内」とあるのは、「五日以内」と読み替えるものとする。

第九十九条
緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。
2前項の政令の制定及び処分については、法律の定めるところにより、事後に国会の承認を得なければならない。
3緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。
この場合においても、第十四条、第十八条、第十九条、第二十一条その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない。
4緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる。

・注6
おおさか維新はウルトラ右翼の改憲勢力です。例えば、こちらとか、こちら


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安倍内閣が熊本地震を政治利用。その対応の頓珍漢、アベコベぶり。オスプレイ活用は政治的デモンストレーションにすぎない。

熊本地震に投入されたオスプレイ

前回記事で、震災をダシに菅官房長官が改憲発言、丸川環境大臣は「川内原発は運転停止の必要なし」としている事などについて書いたが、安倍政権の「震災の政治利用」と頓珍漢ぶり、アベコベぶりがますますひどい。

安倍内閣が、熊本地震に際してした事。成果を自慢げに演出したいようだが、、、。
・だから緊急事態条項が必要と発言
・川内原発止めず
・実情無視の「屋内避難」指示
・熊本県の要請よりもコンビニ弁当を優先。結果、大量売れ残りか ?
・「激甚災害の指定」いまだ行われず。安倍氏、自分が責任取るのがいや ?
・熊本大地震は「大震災級」ではないので、消費税10%は予定通り
・震災対策よりTPP批准優先、どさくさにまぎれて悪法次々。
・そしてオスプレイの政治的デモンストレーション

被災地のスーパーやコンビニの弁当が品薄になる事を心配して、おにぎりの補充を迅速に行うよう安倍内閣は指示した。補充は内閣が行ったのではない。業界が努力しただけだ。いつものように経団連に賃上げをお願いし、携帯各社に値下げをお願いし、今度は食品小売り・流通業界に品薄解消をお願いしただけ。それをさも政府の手柄であるかのように書くマスメディア。しかも、熊本県の要請38万食よりそちらを優先した。「きちんと買いに行ける状況を作りたい」という政府の説明だが「販売」では現金を持たずに避難した人には意味がないし、そもそも仮に無償だとしても「営業している小売店」に行く事ができない人たちこそ、災害弱者ではないのか。事実、大量に店頭に並べたところで買いに来れない人も多数いるので完全に供給過多。イオンモール熊本(クレア)は供給過多のようで、エライことになっている。賞味期限の短い弁当やおにぎりは値下げしても売れ残り、最終的には破棄されるしかないのか。完全に「何を優先すべきか」「それで被災者個々人まで届く事になるのか」を読み違えたミスというしかない。全員に行き渡るかどうかより成果を誇示しやすい、「70万食を今日中に」などというマスコミ受けする方策を優先した結果だ。

14日、1回目の地震が起きた時点で、熊本県が「激甚災害の早期指定」を求めた。ところが4月20日現在いまだに指定されていない。やっと、早ければ来週(4/25〜)にも指定する方向で調整に入った。やっと「閣議決定した」ではない。「調整に入った」だけである。しかも「早ければ」という事なので遅ければいつになるのか。それどころか「熊本大地震は「大震災級」ではないので、消費税10%は予定通り」と言いだす始末。口先だけで「被災地の復旧・復興を迅速に進めていく」とむなしい発言。ちなみに、東日本大震災の時には、菅民主党内閣は、翌日に「激甚災害の指定」を行い、浜岡原発を停止させた(注1)。

国会では、地震対策を論議すべきなのに、TPP批准に向けた審議に夢中。安倍政権の「震災の政治利用」と頓珍漢ぶり、アベコベぶりはますますひどくなるばかりだが、その象徴とも言えるのが「オスプレイ」だろう。

震災を利用したオスプレイのデモンストレーション、イメージ宣伝

18日、オスプレイが、熊本地震の被災地へ物資輸送を始めた。しかし、なぜオスプレイでなければならないのか。オスプレイでなくてもいい(ない方がいい)理由はいくらでもあるのに。

オスプレイの事故率は際立って高い。二次災害の危険もある。

オスプレイは整地・舗装された場所でなければ離着陸できません(できなくはないが下降気流と熱風で砂埃が舞い上がる、建物や樹木をなぎ倒す、火事を起こした事も)。過去の事例から「オスプレイは災害救助には不向き」とされている(注2)。海上自衛隊の護衛艦(輸送艦と称しているが事実上のヘリ空母、揚陸強襲艦)「おおすみ」は、オスプレイを載せるために甲板を耐熱仕様にする改修を行った。それほどオスプレイの排気は高熱だ(注3)。この「下降気流と熱風」のせいで着陸できる場所が限られる。今回も「広い運動公園」に着陸した。しかも、わざわざ、着陸地点に水を撒くという手間をかけた(注7 毎日新聞の記事)。そこまでしてオスプレイでなければならないのか。小型〜中型ヘリならこうした配慮は不要なばかりか、直接「被災者のいるところに近い場所」に届ける事ができる。「広い運動公園」に運んだのでは、そこから先、荷物を積み替えてさらに陸路で運ぶという二度手間だ。

事実、「受け入れ先の一つの県庁ロビーは企業からの支援物資も含む段ボールが積み上がり、満杯状態だ」(注4)。そこから先へ配られていない。必要なのは小型ヘリや陸路輸送とそのためのスタッフだろう。

自衛隊のヘリも16日の時点ですでに救援・輸送活動に参加している。まだまだ余力があり、数が足りないわけではない(注5)。わざわざ演習中のオスプレイをフィリピンから呼び戻して(丸一日かかる)、18日になって自衛隊の駐屯地(情報が交錯しているが、熊本空港 ? 在日米軍司令部(USFJ) のTwitterは「熊本県にある高遊原駐屯地で積み込んだ救援物資(水、食料、毛布、洗面用品等)を南阿蘇村の白水運動公園に届けました」と言っている )から南阿蘇村まで、たった20kmを空輸させる事に何の意味があるのだろう。オスプレイはヘリに比べ航続距離が長くスピードも速いとされているが、たった20Kmか25Kmでどれほどの違いが実際上でるというのだろうか。車で30分か40分の距離をわざわざオスプレイで運ぶ、着陸地点には散水が必要、着陸地点から3カ所の避難所までは結局トラックに積み替えて運ぶ、、、それなら最初からトラック数台(2機で20トンの荷物、4トントラック5台分)で目的地まで直行した方が手間もかからず時間的にもむしろ早いかもしれない。

これは、被災者を救うため実務的な必要に迫られ、オスプレイを使う事が最もよい選択(オスプレイでなければできない)というわけではなく、「オスプレイも日米安保もはやっぱり役に立つ、オスプレイが必要」と沖縄県民、佐賀県民、日本国民に思わせるためのデモンストレーションにすぎない。わざわざ海上自衛隊の護衛艦で給油させている(注6)点など「政治的ショー」というべきだ。こうした点での批判はマスメデイアにも表れた(注7)。これらの中には米国防総省国防分析研究所の元主任分析官や自衛隊幹部からの批判も含まれている。防衛省関係者は「オスプレイ投入は災害で使えることを示して安全性の懸念を取り除こうとする取り組み。災害の政治利用という批判はあるだろう」と指摘する(注7「毎日新聞」の記事)。

中谷氏は、18日の参院決算委でオスプレイは垂直離着陸が可能であることから「山間部など狭隘(きょうあい)な場所でも物資を運ぶことができる。災害時に役立つ能力がある」と有用性を強調したらしいが、それならオスプレイでなくてもヘリであればどれでも同じ、という事になる。むしろ、「狭隘な場所でも物資を運ぶ」という点で言えば小型〜中型ヘリの方が有利ではないのか。

さらに、オスプレイ活用についての政府説明も二転三転、ごまかしだらけ。17日朝の段階では、米軍の支援について「申し出はあるが、いま直ちに必要ではない」と述べていたが、2時間後には「米国から輸送支援ができると連絡が入った。大変ありがたい」と方針を変更。だがその後、米軍の申し出ではなく日本側の要請であった事が明らかになった。

マスメディアは政府の対応をどう伝えたか

オスプレイを災害救助に使う事を批判的に報道したメディアも少しはある。しかし、単に「米軍のオスプレイが被災地に物資を輸送した」という事実関係だけを伝えたメディアも少なくない。事実関係でまちがいはないし、何の評価も加えていないので、「公平公正」「政治的に偏っていない」報道のように一見思える。しかし、そうだろうか。そのような報道に触れた読者・視聴者はどう思うだろうか。自衛隊などがすでに輸送活動を行っている事を知らなければ、オスプレイだけが活躍しているように映る。また政府が被災者救援より政治的宣伝効果を優先した事などもわからないであろう。まったくの評価抜きの事実関係だけの報道だから「公平公正」「政治的に偏っていない」報道というわけではないのだ。そもそもたくさんある事象の中から何を選択して報道するか、その時点ですでに「判断」が行われる。あれは知らせるがこれは知らせないという判断が。その判断次第で、「公平公正」「政治的に偏っていない」報道ではなくなる可能性もでてくる。

「今日中に店頭に大量の食料を届ける」という報道でも同じ事だ。政府がそう発表した。それは事実だろう。しかし、それだけを聞かされたら、政府は頑張っているという印象を持つ事になるだろう。しかし、熊本県の要請よりそちらを優先した事、政府が頑張っている振りをしても未だに「激甚災害の指定」を行っていないことが報道されるかどうかで、受ける印象はかなり違う。

オスプレイが大活躍したかのように書く産経の記事など問題外だが、政府発表の事実関係(政府がそう言った)をただ垂れ流すだけの報道が公平というわけではない。マスメディアも「何となくイメージ宣伝」の片棒担がず肝心の事を報道して欲しい。形だけ「私が決断しました、最高責任者ですから」というエエカッコシイの宣伝に協力してどうする。こうしたマスメディアの姿勢が安倍内閣の支持率を不当に押し上げている。「国境なき記者団」による報道の自由度、日本は72位に後退したばかりだ。延期されていた「表現の自由」に関する調査で、国連特別報告者が「日本の報道の独立性は重大な脅威に直面している」として、メディアの独立性保護や国民の知る権利促進のための対策を講じるよう政府に求めた(注8)。マスメディアは、権力者におもねる事なくきちんと被災者・国民の側に立った報道をして欲しいと思う。マスメデイアがやらないなら、影響力は小さくても市民が発信するしかない。

・画像は共同撮影。スポニチのサイトより。


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・注1
安倍官邸が最初の地震の後、熊本県の支援要請を拒否! 菅官房長官は震災を「改憲」に政治利用する発言
熊本大地震「激甚災害指定」に消極的な安倍官邸が3年前、山口県の豪雨ではすぐに指定を明言していた! なぜ?
熊本県の支援要請を拒否し、激甚災害指定しない安倍晋三
安倍晋三、菅義偉が「激甚災害指定」しない理由
政府 早ければ来週にも激甚災害指定へ
熊本地震は大震災ではない?安倍首相が消費税10%に「リーマン・ショック級、大震災級の事態にならない限り予定通り引き上げていく」と再度答弁
菅長官「大震災級に該当せず」 消費増税巡り
いまだに熊本大地震を激甚災害指定もできない安倍政権が、TPP特別委員会だけは無理やり再開した。
熊本大地震でも鹿児島の川内原発を止めない安倍内閣と、東日本大震災で静岡の浜岡原発を止めた菅内閣。

・注2

オスプレイの 安全性に関するQ&A
オスプレイは、風速比較でCH46(ヘリ)の4倍の強さの下降気流を発生することが確認できる。オスプレイの着陸地は「舗装されたところ」、「土の露出が少ないところ」を想定し、ゆえに「不安なリスクはない」というのが防衛省の結論です。災害地の多くは、舗装されていない、土が露出している場所です。そうした場所への着陸は、大きな不安があるとうけとるべきでしょう。

オスプレイ、ネパール支援中に屋根吹き飛ばし「使えない」と報じられる
オスプレイ、ネパールの災害救助に参加。だが、活動は思わしくないらしい
【これは酷い】ネパール大地震に派遣されたオスプレイ、瓦礫を吹き飛ばして危険なことから後方に撤退!救援物資を配布したのは1機のみ・・・
オスプレイ飛来地で火災・民家破壊 穀田氏 「災害」も活用やめよ

・注3
「おおすみ」級を大幅改修
輸送艦「しもきた」で使われたオスプレイ用のコロ付き耐熱板
「オスプレイ」 潮岬の芝生を焼く
和歌山県は訓練前に認識 オスプレイ排熱で芝焦がす

・注4
おにぎりに1時間並んだ 救援物資、避難所に届かず

・注5
熊本地震でオスプレイ投入の一方、輸送能力がより高い自衛隊のヘリが棚ざらしに! 安倍-中谷が米軍と裏取引
オスプレイが運んだのは段ボール200個強だけ! 何度でも言う、オスプレイ投入は安倍政権の震災政治利用だ
自衛隊はヘリを491機保有(輸送用270機)。 何故日本政府は救援に米軍の助けを求めなければならないかー(孫崎享氏)
自衛隊はヘリを491機保有(輸送用270機)。何故日本政府は救援に米軍の助けを…(孫崎享、天木直人)

・注6
熊本地震 海自「ひゅうが」にオスプレイ着艦 生活物資輸送 連携アピール

・注7
朝日新聞 米軍オスプレイ、初の災害対応 実績づくりに疑問の声も
毎日新聞 <熊本地震>オスプレイ物資搬送 「政治利用」の声も
佐賀新聞 災害支援に米オスプレイ 佐賀配備影響の見方も
沖縄タイムス 被災地でオスプレイPR? 米専門家「理解に苦しむ」「自衛隊ヘリが適当」
琉球新報 <社説>オスプレイ派遣 災害の政治利用はやめよ
Web東奥 災害にオスプレイ/「露骨すぎ」身内も批判/同盟PR、安全性宣伝か
スポニチ オスプレイで物資輸送 安全性アピール狙いか?反対の声も
ただし、沖縄タイムス記事中に『オスプレイがCH47に勝るのは速度だ。例えば、負傷者を一刻も早く病院に搬送しなければならない緊急事態が生じたからオスプレイを投入したというのであればまだ理解できる』と書かれている点には疑問が残る。オスプレイでは、おそらく病院の屋上やグランドには着陸できないであろう。餅は餅屋。ドクターヘリの方がいいと思われる。
個人のブログ。
米軍“未亡人製造機”オスプレイの宣伝のため、熊本大地震を「政治利用」。人の命のことだけ考えて!
オスプレイの災害支援はやめてください

・注8
報道の自由度、日本は72位 国際NGO「問題がある」
日本で強まる報道規制と表現の自由の危機-デビッド・ケイ教授が訪日記者会見で語る
「表現の自由」国連報告者、高市総務相との面会かなわず

・補足1
こちらも
【首相は説明を】安倍首相は地震が続く中、「全員屋内避難」指示を出し、翌16日未明の本震で多くの家屋が倒壊した。
震災より応援演説 安倍首相「北海道5区補選」にまだ未練
菅直人政権の方がずっとマシだ!安倍政権の熊本地震対応に批判が集まる
あなたはご存知ですか?今、日本で起こっていること。安倍内閣は、日本の憲政史上、最悪の売国政権です。

・補足2
今回のオスプレイのデモンストレーションは「災害時にも役に立つ」という事を売り込むのも目的のひとつだろうが、災害時にはわざわざ軍用機を転用するより、災害ヘリの方がいいに決まっている。価格も桁違い。
オスプレイ17機で約3700億円。という事は一機218億(ミサイル警報装置、赤外線装置、自衛装置、レーダー、暗視装置、予備部品、搭乗員養成費用などを含む)、機体のみでも100億以上。一方、陸自の次期主力ヘリUH-Xは10億円、大型輸送ヘリCH-47J/JA「チヌーク」は30~40億円。横浜市の災害ヘリ2 号機は平成 9 年に約 11 億 7,600 万円で購入(http://www.city.yokohama.lg.jp/shikai/pdf/siryo/j2-20131209-sy-46.pdf)、機種にもよるだろうがオスプレイ1機の値段で、一般的なヘリが 7〜20機買える。


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