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丸山議員の「武力で取り戻す」発言は問題視されても、なぜ、現実の「武力で取り戻す」戦争計画は問題視されないのか。

水陸機動団

丸山穂高議員の戦争肯定発言は憲法擁護義務違反

日本維新の会の丸山穂高衆院議員が、戦争扇動発言をして炎上した。
丸山議員は、北方四島ビザなし交流の訪問団に、衆院沖縄北方問題特別委員会の委員として参加した際、報道によれば、訪問団の団長が記者から取材を受けていたところへ、割り込んで次のように発言した(注1)。
「団長は戦争でこの島(北方四島)を取り返すのは賛成ですか、反対ですか」「戦争しないとどうしようもなくないですか」

この発言が大問題となったのは当然のことである。
「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」
この憲法の規定が理解できない者は議員である資格はない。国際紛争を解決するために戦争に訴えるのは、現憲法の理念とは正反対である。公務員・議員には憲法擁護義務がある。

本人も、一時は維新の松井代表も「言論の自由だ」と開き直ったが、ヘイトが言論の自由ではなく犯罪なのと同様、戦争扇動発言は、少なくとも公務員にとっては言論の自由の範疇ではない。ヘイトの自由はないのと同じ、戦争肯定の自由は(少なくとも公務員には)ない。

偶然にも、ほぼ同時期、「空母いぶき」で総理役を演じた佐藤浩市の発言が、ウヨの標的となったが、劇中佐藤演じる総理が、開戦の決断を迫る副総理に、「この国は戦争しないと決めた」という趣旨の発言をする。
「戦後の政治家が一丸となって守りつづけてきたことが、たったひとつだけあります。それは、この国は、日本は、絶対に戦争はしないという国民との約束です。軽々しく「いくさ」などという言葉を使わないでいただきたい」
それほど、この国にとって、武力で国際紛争を解決することは許されないことなのだ。いや、国際社会一般においても武力行使は原則禁止されている。

国連憲章第2条

3すべての加盟国は、その国際紛争を平和的手段によって国際の平和及び安全並びに正義を危うくしないように解決しなければならない。

4すべての加盟国は、その国際関係において、武力による威嚇又は武力の行使を、いかなる国の領土保全又は政治的独立に対するものも、また、国際連合の目的と両立しない他のいかなる方法によるものも慎まなければならない。

奪われたものを武力で取り返す、などという発想自体が、時代遅れなのだ。戦争を非合法とみなす考えは、(自衛戦争を例外的に認めているため、結局自衛を口実に戦争が行われるという弱点があるが)、今や国際的なスタンダードだ。戦争肯定発言は、長い時間をかけて戦争を非合法化し平和を求めてきた人類の英知に対する愚かな挑戦だ。

丸山議員だけではない。政界にはびこる戦争肯定思想、幼児的愛国ごっこ。

その直後に不思議なことが起きた。
同じく維新所属議員である森夏枝氏が、国会で
「サイバー攻撃の分野では、専守防衛の原則から除外すべきだ」
「精密誘導兵器保有を」と発言(質問)した。
安倍総理も、専守防衛原則は堅持するとしたが、「サイバー攻撃だけでも武力反撃はありうる」と武力行使を容認した。

丸山議員の発言は問題視されたが、こちらはほぼスルーされた。問題発言だと大きく取り上げたメデイアもない。丸山議員は、酔っ払って無礼だから問題だが、国会で「冷静」に議論するのは問題なしということなのだろうか。発言の仕方や場所や態度が問題なのであって、発言内容そのものは問題ないということなのだろうか。そうではないはずだ。

「武力行使」を当然のように容認する思想は、維新所属議員だけではない。安倍総理自身が、武力行使肯定発言を何度もしている。
「わが国の領土と領海は私たち自身が血を流してでも護り抜くという決意を示さなければなりません」(「ジャパニズム」2012年5月号/青林堂)
「(尖閣問題では)外交交渉の余地などありません。尖閣海域で求められているのは、交渉ではなく、誤解を恐れずにいえば物理的な力です」(『美しい国へ』文藝春秋)

自民党議員による9条否定、戦争肯定発言は、この他にいくらでもある。

稲田朋美「国を護る為に『血を流す覚悟』をしなければならない」「国のために命をかけられる者だけが選挙権をもつ資格がある」「”戦争は人間の霊魂進化にとって最高の宗教的行事”これがずっと自分の生き方の根本」

長勢甚遠(第一次安倍内閣法務大臣)「国民主権、基本的人権、平和主義…この3つをなくさなければ本当の自主憲法ではないんですよ」

そして、言葉だけではなく、安倍政権下で、イラクなどで実際に自衛隊は戦争行為を行った。復興支援のための人員・物資を輸送するという名目で米軍の人員・物資を輸送した。「兵站」も戦争行為の一部である。さらに安保法制成立後は、日本が攻撃されていなくても、集団的自衛権(自衛という名の戦争行為)を行使できるようになった。

武力行使容認だけではなく、核兵器容認発言もキリがない。安倍総理、松井維新代表、一時維新と行動を共にした石原慎太郎、小池百合子東京都知事らは、核武装論者である。

その石原慎太郎氏をめぐってこんなサイトが現れた。
石原慎太郎「僕が総理大臣なら拉致された日本人をとり戻すために北朝鮮と戦争をおっぱじめるよ!」(注2)

なんという議論の劣化だろうか。領土にしろ、拉致被害者にしろ、戦争をすれば取り戻せると思っているのだろうか。むしろ事態を悪化させるという「想像力」が働かないのだろうか。冒頭の丸山穂高議員の発言も、平和的交渉を積む重ねてきた元島民に対する侮辱である。

このサイトについたコメントが、またまたひどすぎる。「戦争する=取り戻せる」 VS 「戦争しない=取り戻す気ない」という単純化された二択の前提自体が漫画的というか戯画的すぎる。むしろ戦争せずに取り戻す道を政治家は考えるべき。それが政治家・外交の本来の仕事のはずだ。たとえば、「戦争は嫌ですけど、戦争という選択肢を検討する、という発言すら許されない社会は、もっと嫌です」というコメントがあるが「国際紛争を解決するために武力行使を行うという選択肢」は、もともとない。

一国の総理・議員から国民に至るまで、この国には、口先だけ勇ましい、真面目で地道な努力をあざ笑う「幼児的、お山の大将的、マッチョ的愛国ごっこ」が蔓延している。鯛は頭から腐る。この国の総理が、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)に対して、「対話よりも異次元の圧力を」と言ったかと思うと、今度は「無条件で会う(会いたい)」と言い、幾らかは進展しているのかと思えば、全く進展していないという情けない展開。口先だけの勇ましい言葉の裏では何もしていなかったことが明らかになった。

「武力で取り戻す」発言は問題視されても、なぜ、現実の「武力で取り戻す」戦争計画は問題視されないのか。

自衛隊の「島嶼奪還作戦」とは、要するに「奪われた島を武力で取り返す」軍事行動のこと。島嶼奪還作戦を担う自衛隊の水陸機動団の公式サイトは、その任務について「四方を海に囲まれた国土、また数多くの島嶼部を有する我が国の領土を、他国に侵略された際に海上から迅速に機動展開し奪回することを任務とします」と書いている。「奪われた島を武力で取り返す」発言が問題視されて、なぜ現実の「奪われた島を武力で取り返す」戦争準備は問題視されないのか。問題視されるどころか、産経などではむしろ当然の事として報道されている。

島嶼奪還で日米共同訓練 陸自と海兵隊、連携強化

しかも、「奪われた島を武力で取り返す」というのは、カモフラージュ的建前かもしれない。「奪われた島を武力で取り返す」能力は、他国領土に強襲上陸する能力と同じだ。自衛隊の水陸機動団は、日本版海兵隊と言われているが、本家アメリカの海兵隊の本来任務は、敵前強襲上陸だ。

その水陸機動団を空母いずもに載せ、領海をはるか離れた南シナ海やインド洋へ派遣するなど、もはや「専守防衛」の看板すら投げ捨てた、中国に対する威圧挑発行動に他ならない。産経がまたしても半ば自慢げに報道している。

日米印比が対中包囲網 海自からは「いずも」参加

陸自水陸機動団が「いずも」に乗艦し南シナ海へ

日仏豪米がインド洋で共同訓練 中国牽制 22日まで

対中国威圧を米軍の下請け・代理として自衛隊がかって出るという構図だ。自衛隊が、国際条約上の根拠も不確かな多国籍間の対中国包囲軍事演習に参加するなどもってのほか。現憲法下ですら、これだけの戦争準備が進んでいることにメディアはもっと注目して批判的報道をすべきではないか。現憲法下ですらこれだけ事態は進んでいるのだから、9条改悪など許すべきではない。この道はいつか来た道だ。

・画像は、wikiの水陸機動団のページよりお借りしました。

【関連記事】
「押しつけ憲法論」のでたらめ – 自民党改憲漫画パンフがひどすぎる

9条改憲賛成という人にこそ知ってほしい、もはや憲法とは言えない自民改憲案の中身。たった一人の判断ですべてをチャラにできる緊急事態条項。

教育勅語のキモは「天皇のために死ね」、では、道徳を説いた部分は今でも通用するのか。いや、道徳こそが問題。

それでも北朝鮮が怖い ? もっと怖いのは日本が戦争をする国になる事。

【普天間、辺野古問題】「辺野古移設が普天間の危険性除去の唯一の解決策」か。在沖米海兵隊削減は、日米両政府で合意済み。削減される部隊のための新基地も旧基地もいらない。


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・注1 一部のウヨが、「勝手に録音して勝手に公開するメディアが問題」などと丸山議員を擁護しているが、公式の場での公務員の発言なので録音され公開されて当然。まして取材中に割り込んできたのだからなおさら。そもそも、こういう人たちは、公式の建前上の見解と本音は別物で、本音は暴かれては困るとお考えなのか。

・注2 この石原慎太郎氏のオリジナルの発言はこれのことだろう。
普通の国なら戦争して相手を懲らしめて取り戻す


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朝鮮戦争は終わっていない。緊迫の朝鮮半島情勢。日本国民の犠牲も顧みない安倍自民が火に油を注いでいる。

朝鮮近海へ向かうアメリカ空母打撃群

一触即発の朝鮮半島。安倍の後先考えない強がり発言によって日本は戦争に巻き込まれる。安倍は戦争を欲しているのか。

つい先日、4月6日、一つのニュースをNHKが報じた。その後大きな話題になることもなかったが、きわめて重大なニュースである。

自分の発言の意味さえ理解できない安倍首相が重大発言。朝鮮半島と日本が戦場となってもいいのか。

安倍総理大臣はアメリカのトランプ大統領と電話で会談し、トランプ政権が北朝鮮に対し、武力行使も排除しない姿勢を示していることを評価する考えを伝えました。
日米電話首脳会談 首相“武力行使排除しない姿勢評価”

安倍という男、いつも思いつきで、後先考えず威勢のいい事を言って「やってる感」だけを演出するとんでもない奴である。安倍首相は電話会談後「トランプ大統領からはすべての選択肢がテーブルの上にあるとの強い、力強い発言がありました」と語った (「突っ込んだ意見交換ができた」安倍晋三首相ぶらさがり全文)。またしても「安倍式言い換え語」である。国連安保理の議決抜きの武力行使は国連憲章違反であり、軍事大国による他国主権の侵害であってこれを「力強い」と評価する感覚は完全に狂っている。しかも、それを武力の行使だけでなく「威嚇」すらも放棄したはずの国の首相が肯定的に評価するなどあってはならない。なぜこの点をマスメディアは追求しないのか。

安倍は自分の言っている事の意味を理解しているのだろうか。アメリカの北朝鮮に対する武力行使を支持する、と言ったのである。たんに米朝が戦争状態になってもいい、という事にとどまらず、日本や韓国が攻撃されてもいいというメッセージを北朝鮮とアメリカに送った事になる。仮に武力攻撃が行われたとして、第一撃で相手の反撃能力を全滅させるなど不可能である。そうなれば北朝鮮は、死にものぐるいで反撃にでるだろう(あるいは先制攻撃を行うかもしれない)。在日米軍基地は攻撃されるであろうし、自衛隊は集団的自衛権に基づいて参戦せざるを得ないだろう。

しかも、よりによって、過去最大規模の米韓合同軍事演習が行われている中での発言。安倍は戦争したいのか ? 挑発的発言以外の何ものでもない。
またしてもマスメディアは、トランプ大統領が「日本に対する安全保障上の関与を確認し、同盟国日本を100%支える」と発言した事をとらえて安心してしまうお花畑なのか。

その直後に、アメリカはシリア攻撃。事態は急展開。

その翌日、びっくりするニュースが世界を駆け巡った。アメリカはシリアに対して、ミサイル攻撃を行った。

米軍は米東部時間6日午後8時40分(日本時間7日午前9時40分)ごろ、シリアの空軍飛行場に対し、巡航ミサイル59発を発射した。
米、シリア政権に軍事攻撃=巡航ミサイル59発―トランプ氏「虐殺終わらせる」

アメリカ国防総省は、日本時間7日午前9時40分ごろ、アメリカ軍が59発の巡航ミサイル「トマホーク」を、シリア軍の関連施設に発射したと発表した。
巡航ミサイル「トマホーク」59発 アメリカ シリアを軍事攻撃

この攻撃は、アサド政権側が罪のない市民に恐るべき化学兵器攻撃を行った事に対する対抗措置だとアメリカは主張している。しかし、本当に化学兵器か使われたのか、化学兵器を使用したのは誰なのか、明白な事実の認定も無く、国連決議も無く、有志連合ですら無い。アメリカが攻撃を受けたわけでもなければ、同盟国への攻撃があったわけでもない。アメリカ単独の判断で主権国家を一方的に武力攻撃する事は許されない。

もう一点問題なのは、この武力攻撃が、中国に対するプレッシャーであり、北朝鮮に対する恫喝だという点だ。シリアは数少ない「北朝鮮を承認し、韓国を承認していない」国だ (余談だが北朝鮮と国交の歩くにはかなり多い)。

この攻撃は、北朝鮮問題も議題の一つにした米中会談のさなかに行われた。トランプ氏は夕食会の間、「重大行動」に取り組む自らの姿を習氏に誇示するように振る舞った と言われている。また、トランプ大統領は焦点の北朝鮮問題について、習近平国家主席に取り組み強化を促す一方、中国が有効な手を打てない場合は米国が単独で行動する用意があると伝えた。

米国務長官は「シリア攻撃は北朝鮮への警告」と語った。

安倍はそのシリア攻撃も真っ先に支持した。米大統領との電話会談で、シリア問題に関連して「北朝鮮の核・ミサイル問題に対しても、日米韓3カ国の連携を強化することで一致した」と報じられた。

緊迫の朝鮮半島情勢。過去最大規模の米韓合同軍事演習。米空母・駆逐艦が朝鮮半島に集結。

3月から、過去最大規模の米韓合同軍事演習が行われている。

米韓、2カ月間の大規模合同軍事演習を開始 北朝鮮の脅威を警戒

軍事演習は史上最大規模、米空母出撃で正恩氏射程 中国と『黙認』事前協議、米軍特殊部隊「斬首作戦」決断も

北朝鮮、「強硬対応」か=米韓演習に対抗し挑発も

さらに、3月にこの軍事演習に参加し、その後朝鮮近海から離れていた空母カールビンソンが再び朝鮮近海に戻りつつある。

アメリカ海軍の空母打撃群、朝鮮半島に向けて航行 北朝鮮を牽制か

米空母・駆逐艦が朝鮮半島に集結 11日は最高人民会議

ミサイル駆逐艦など合流か 米空母、朝鮮半島近海へ派遣

朝鮮半島は一触即発の緊迫した事態だと言っていい。しかもこの米韓合同軍事演習に日本は深く関わっている。(米韓演習 米本土から在日米軍基地中継 F22など大量投入)

そればかりか、14日参院本会議で、自衛隊と米軍が物資や役務を融通し合う日米物品役務相互提供協定(ACSA)の改定案が承認された (自民、公明、日本維新の会などの賛成多数、民進、共産などは反対)。

我が日本では「敵地攻撃能力」が議論される。一昔前なら口にすることさえはばかれていた。

海上自衛隊は、北上するカールビンソンとの共同訓練を予定している。

 海上自衛隊が朝鮮半島近海に向けて北上している米海軍の原子力空母「カール・ビンソン」を中心とする第1空母打撃群と近く共同訓練を実施することが12日、分かった。海自の護衛艦が参加し、巡航訓練などをする見通し。日米が連携し、弾道ミサイル発射などの挑発行為を繰り返す北朝鮮をけん制する狙い。自衛隊幹部が明らかにした。
海自、米空母と共同訓練へ 日米連携し北朝鮮けん制

もはや訓練というより実戦配備と言ってもいいだろう。海上自衛隊の任務は、敵潜水艦の攻撃から米海軍を守り、米空母や米原潜に「安全な」活動海域を提供する事にある。海上自衛隊は他国軍隊と比べて対潜水艦作戦能力が極めて高い(韓国が16機しか保有していない対潜哨戒機P3Cを日本は80機保有しておりアメリカについで保有数が多い。さらにP-1を33機保有)。

互いに相手を脅威と見なす軍事的抑止論では、事態は悪循環。むしろ緊張を高めるだけ。朝鮮戦争はまだ「休戦」状態にすぎない。

朝鮮戦争は終わったわけではなく「休戦」状態にすぎない。休戦協定は1953年7月27日午前10時、朝鮮人民軍代表兼中国人民志願軍代表と国連軍代表により署名された (朝鮮戦争休戦協定)。朝鮮戦争における「国連軍」は、ソ連が中国代表権問題から欠席中の安全保障理事会の決議に基づいているが、国際連合憲章第7章に基づく、安保理が指揮する正規の国連軍ではない。正規の国連軍が組織された事はこれまで一度も無い(国連軍))。「北侵を前提とした大規模軍事演習を在韓国連軍が実施したこと」などにより、北朝鮮側は1994年、1996年、2003年、2006年、2009年、2013年の少なくとも6回にわたり、もはや休戦協定に束縛されないと表明している (朝鮮戦争休戦協定)。

日本の横田基地には、この「国連軍」の「在日米陸軍・国連軍後方司令部」があり、キャンプ座間、横須賀海軍施設、佐世保海軍施設、横田飛行場、嘉手納飛行場、普天間飛行場、ホワイト・ビーチ地区の7カ所が国連軍施設に指定されている。

1975年11月、第30回国連総会は「国連軍司令部」を解体する2件の決議を採択した。2004年、北朝鮮は、アナン国連事務総長あてに書簡を送り、韓半島内の国連軍司令部を解体するよう要求し、北朝鮮を敵対視する米国の政策が不可避な戦争を招くことになると主張した。同スポークスマンは「在韓国連軍司令部は米軍が主導する兵力であって、国連平和維持軍ではない」とし「したがって、北朝鮮の要求は韓半島から米軍を撤退させるためのもの」と指摘した。 2016年10月には「第30回国連総会の決議通りに米国が不法な南朝鮮駐屯『国連軍司令部』を一日も早く解体し、すべての侵略武力を撤退すること」を求めた。

世界最大の核保有国が他国の核開発を批判。米韓合同軍事演習を問題視しない欺瞞。

北朝鮮の核開発は許されないし、北朝鮮の肩を持つ気は全くないが、こうした大規模な米韓合同軍事演習が非難されないのは、全く片手落ちというしかない。世界最大の核保有国アメリカが、北朝鮮の核開発を批判するのはダブルスタンダードだ。戦争は互いに「自衛」を口実に始まる。

(北朝鮮外務省)報道官は「トランプ米政権が『力による平和』を叫び、朝鮮半島に戦略攻撃手段を次々と投入しているが、われわれは眉一つ動かさない」と強調。「われわれに手出しする者には『超強硬』に立ち向かい、強力な力で自らを守る」と訴えた。
「超強硬」対応を警告=米空母の急派非難―北朝鮮

北朝鮮外務省の報道官はKCNA(朝鮮中央通信)を通じて、「自衛のために強力な武力を行使し、挑発する者に対して最も激しい反撃を行う」と述べ、現在の姿勢を貫く意向を示した。
「戦争の準備できている」 北朝鮮、米空母派遣を非難

北朝鮮がアメリカ本土に届く核ミサイルを開発している事をアメリカは脅威と見なしているに違いない。北朝鮮は強大な在韓米軍を脅威と見なしている。互いに相手を脅威と見なし、それに対抗するために軍備を増強するのは、出口の無い悪循環だ。米国家安全保障会議(NSC)が核とミサイルの開発を進める北朝鮮に対抗するため、核兵器を在韓米軍に再配備することをトランプ大統領に提案したと報じられている。軍事的圧力と恫喝によって自己の主張を通すのではなく、朝鮮半島非核化を含む平和的手段で事態を解決すべきだ。

核兵器の応酬ともなれば、北朝鮮や韓国はもちろん、日本にも重大な被害が及ぶだろう。いや、韓国の原発が狙われただけで、日本が受ける被害は重大だ (韓国の原発銀座で惨事なら 「西日本の大半避難」の推定)。

火に油を注ぐ安倍内閣。言葉だけは勇ましいが、どうやって日本国民を守るのか。

話を元に戻そう。朝鮮半島で戦争が起きるのか、それはどの程度の規模なのか、誰にもわからない。互いに相手を威圧し、相手の出方を確かめただけで終わるかもしれない。しかし、一触即発の事態である事には違いない。この時、日本は何をすべきか。

安倍首相は、6日の「武力行使も排除しない姿勢を評価する」発言に続き、10日には「いかなる事態になっても国民の生活と平和な暮らしを断固として守り抜く決意だ」と述べた。

どのようにして「国民の生活と平和な暮らしを断固として守り抜く」のか。フリージャーナリストの志葉 玲氏が防衛省に問い合わせて得た回答は「いろいろ長々と言っていたけど、端的に意訳すると、「アメリカ様が何とかしてくれることを期待。自衛隊がミサイル攻撃を防ぐことができるかはお答えできない」という事だった。要するにジャイアンの陰に隠れていれば大丈夫、という程度の話なのか。

そりゃそうだろう。もし、北朝鮮が日本の在日米軍基地や原発を攻撃したら、それを100%防ぐ手段など無い (だから新型ミサイル防衛システムTHAADを買わせようとしている。軍需産業丸儲け)。ジャイアンの陰に隠れても無駄。むしろジャイアンもろとも標的となる。北朝鮮ははっきりと「在日米軍基地が標的」と言っている。首都東京には「国連軍後方司令部」を始め多数の米軍基地が集中している。沖縄を始め日本全土に在日米軍基地は存在する。もし戦闘になればそれらが攻撃目標となる可能性は高い。在日米軍基地だけがピンポイントで攻撃され、日本人には被害が及ばないという保証は無い。というか、米軍基地が攻撃されたら周辺の住民にも被害が及ぶと考えた方が自然だろう。核攻撃ならなおさらだ。北朝鮮が「日本が米軍を支援している」と見なせば、米軍基地だけでなく日本そのものが狙われるだろう。海上自衛隊が米海軍と行動をともにするなど、むしろその危険を高めるだけだ。

「武力行使も排除しない姿勢を評価する」と言うなら日本にも標的となる事を覚悟すべきだし、それを避けるためには、非軍事的手段による解決を目指すしか無い。安倍政権の対応は、米軍による武力攻撃を二度も思いとどまらせた韓国政府とは対照的だ。

アメリカは、1990年代のクリントン政権期の「第1次核危機」と、2000年代のブッシュ政権期の「第2次核危機」の時にも、北朝鮮への軍事攻撃を検討した。しかし、北朝鮮の報復攻撃による、アメリカとその同盟国の被害リスクが大きすぎることから断念した。北朝鮮への先制攻撃や斬首作戦(指導者の暗殺)ができるなら、とうの昔にやっていたはずだが、できなかったのだ。
1993〜1994年の第1次核危機の際には、アメリカが北朝鮮の核施設を対象にサージカルアタック(局部攻撃)をしたら、100万人以上の韓国人と10万人以上のアメリカ人が死亡するとの試算が米政権内で出された。当時の韓国の金泳三大統領が、クリントン米大統領の核施設攻撃に断固反対し、中止させた。 2003年の第2次核危機の際にも、当時の盧武鉉大統領はブッシュ政権に対し、「軍事オプションは絶対に呑めない」と強く反対した。北 の反撃による韓国などへの被害リスクが大きすぎて先制攻撃できないとアメリカは判断した。イラクやリビアは攻撃できても、北朝鮮は攻撃できなかったのだ。
盧武鉉政権時に大統領府外交安保首席秘書官を務めた韓国国防研究院のソ・ジュソク責任研究委員は3月5日、都内で行われた朝鮮半島の安全保障政策に関するシンポジウムで、アメリカによる先制攻撃のリスクについて、次のように述べ、強い懸念を表明した。
「1994年のクリントン政権時よりも北朝鮮の攻撃能力が上がっているので、被害はもっと大きくなる。韓国の指導者で先制攻撃に同意する人は1人もいない」
北朝鮮を攻撃したら何が起きる——もし永田町が核攻撃を受けたら

自国(民)の被害をリアルに想定できる韓国政府と違って、安倍内閣はそれもできない「平和ボケ」なのか。こちらが強気に出れば相手はひるむに違いないという「抑止力論」の幻想に取り憑かれているのか。相手がひるむかどうかはわからない。抑止力論は相手がひるむはずだという希望的観測の上に成り立っているにすぎない。

詳細や情報源も明かせないのに、北朝鮮がサリンを弾頭に付け発射する能力を保有などと、危機感を煽る事だけは一生懸命だ。単に「化学兵器」では無く「サリン」と言う単語を使ったのは、その言葉に日本人がどう反応するかを計算した上での事だろう (一方で、日本政府は昨年、毒ガスを含む化学兵器や生物兵器の一切の使用を憲法9条が禁止するものではないとする答弁書を決定している。さらに付け加えるなら、日本政府は「核兵器禁止条約」交渉に不参加だし「核先制不使用」に反対している)。

集団的自衛権を認めた安保法制によって、日本を取り巻く環境はより平和に近づいたはずではなかったのか。2年前、アメリカの戦争に巻き込まれることは「絶対にあり得ない」と言ったばかりではないか。もし日本がアメリカの同盟国でなければ、北朝鮮には日本を攻撃する理由が無い。

「原発の全電源喪失は考えられない」「最後のお一人にいたるまできちんと年金をお支払いしていく」「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない。自民党」から始まって、「汚染水はアンダーコントロール」「福島第1原発事故による健康への影響については今までも現在も将来も全く問題はないと約束します」、そして、「総理も議員も辞める」発言まで、言葉面は勇ましいが何の重みも無い。断定的な言い方をすればするほど真実味が無い。カラ元気で強がりで、空疎で、しかもその言葉の結果には責任を負わない戯言・大言壮語につき合わされる国民はたまったものではない。しかもメディア受けを狙ったこれらのフレーズは、「強いリーダー」をイメージさせ、「やってる感」を演出しているにすぎない。

非軍事的手段、話し合いによる解決を。

もう一度いうが、アメリカに尻尾を振って道連れにならないよう、平和的手段による解決を目指すべきだ。

 トランプ氏の「日本を100%守る」という言葉を引き出し、安倍官邸は、「大成果」だと喧伝した。
 こうした報道を繰り返し聞かされた国民は、次のように考えた。

――北朝鮮はいつ日本にミサイル攻撃を仕掛けるかわからない。もし、米国が日本を見放したらと思うと背筋が寒くなる。幸い、安倍さんがうまくやってくれた。何かあったら、トランプさんが守ってくれる。安倍さんは、トランプさんの親友になったのだから――

 日本の国内には、このような奇妙な安心感が生まれたのだ。
 さらに、この思考回路は、暗黙のうちに、次のような論理を肯定する。

――安倍さんとトランプさんが仲良くすることが何より大事。そのためには、多少譲歩しても仕方がない。トランプさんが望むことを、日本自ら進んでやることによって、向こうに恩を売り、さらに両国の絆を強いものにして欲しい――

(中略)

 いずれにしても、日本人が、本当に安倍政権の対米追随路線の怖さに気づくのは、やはり、前述した北朝鮮とのミサイル戦争に巻き込まれて、日本の国土が戦場と化し、数千人の死傷者を出すときまで待たなければならないのかもしれない。
 そういう事態になって、初めて日本の国民は気づく。

――あの時、日本は米国を止めるべきだった。中ロと協力してでも、北朝鮮との戦争を止めて欲しかった――と。

 そして、私たちは、次のような疑問に突き当たるだろう。
 日米安保条約と在日米軍基地があるから日本の安全が守られるというのは間違いだったのではないか。日米安保条約と在日米軍基地があったからこそ、日本が無用な戦争に巻き込まれることになったのではないか。

――政治の役割は二つある。一つは、国民を飢えさせないこと。もう一つは、これが最も大事です。絶対に戦争しないこと――

 これは、菅原文太さんが亡くなる約4週間前に沖縄で行った最後のスピーチの有名な一節だ。
 今、日本人は、この言葉をかみしめて、日本が進むべき道について、根本から考え直すべきではないだろうか。(文/古賀茂明)
古賀茂明「北朝鮮、シリア 日本の危機が安倍総理のチャンスになる不可思議」

こちら↓は今回の朝鮮での軍事衝突の可能性に関連した記事ではないが、結論部分は大いに参考になる。

ここで北朝鮮の言い分にも耳を傾けてみよう。

「イラク、リビア事態は、米国の核先制攻撃の脅威を恒常的に受けている国が強力な戦争抑止力を持たなければ、米国の国家テロの犠牲、被害者になるという深刻な教訓を与えている」(2013年12月2日『労働新聞』)

北朝鮮の核・ミサイル開発はイラクやリビアの二の舞にならないための「強力な抑止力」というのだ。そして求めるのは米朝間の平和協定締結であることは以下の演説からわかる。

「米国の敵視政策の清算は、わが共和国に対する自主権尊重に基づいて米朝間の平和協定を締結し、各種の反共和国制裁と軍事的挑発を終えるところからまず始めるべきである」(2013年7月2日第20回東南アジア諸国連合(ASEAN)地域フォーラム(ARF)閣僚会合、北朝鮮の朴宜春(パク・ウィチュン)外相の演説)

日本がとるべき道は、北朝鮮への先制攻撃も視野にいれるトランプ政権に対し、外交的アプローチの強化を求めることではないだろうか。

トランプ政権は、北朝鮮が非核化措置をとらない限り、対話に応じないとするオバマ前政権の「戦略的忍耐」は失敗に終わった、と判断した。であるならば、安倍政権に求められるのは、以下のように米国を説得することだろう。

「北朝鮮との対話に乗り出し、交渉の過程で核放棄とミサイル開発の中止を求め、見返りに平和協定を結んで北朝鮮に『米国は攻撃しない』という保障を与えるべきだ」と。

米国、北朝鮮どちらの国が軍事オプションを選択したとしても、全面戦争に発展しかねない。そうなれば北朝鮮の弾道ミサイルが飛来し、日本が壊滅してしまうおそれがあることはみてきた通りであるからだ。
対北朝鮮「ミサイル防衛」も「敵基地攻撃」も驚くほど非現実的である


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9条改憲賛成という人にこそ知ってほしい、もはや憲法とは言えない自民改憲案の中身。たった一人の判断ですべてをチャラにできる緊急事態条項。【2016参議院選】

創価学会パンフ

前回記事で、「安倍自民が狙う『身の毛もよだつ怖い怖いこの国の未来像』について書く」と予告しましたので、その話を書きます。忙しい人は太字のところだけでも読んでね。

『9条改憲賛成という人にこそ知ってほしい、明治憲法より酷い正気の人が書いたとは思えない自民改憲案の中身。内閣総理大臣たった一人の判断ですべてをチャラにできる緊急事態条項』

憲法9条は改正すべきだ、という意見の中身について考える。フルスペックの「普通の軍隊」を認めてもいい ?

あなたは、憲法9条改正に賛成ですか、反対ですか。もし賛成ならなぜですか。あなたが9条を変えてもいいと思っているその理由と、自民党が憲法を改正して目指そうとしていることとは、実は180度違うかもしれません。今度の選挙の投票日までのあと数日、少し考えてもらいたい、憲法9条改正に賛成という人に伝えてもらいたいことがあります。

[ 1. 今の自衛隊を認めるだけ ? いえ、フルスペックの軍隊と無制限の海外派兵を認める改憲案です。]

世論調査で「憲法9条は変えない方がいいか、変えた方がいいか」という二択の質問がよくあります。その結果、変えた方がいいという意見が3割程度はあるようです(注1)。その理由として「今の自衛隊の存在を明記すべきだから」という意見が賛成の人の1/3程度あるようです。つまり現実に自衛隊は存在する、それは認めるしかない。憲法上自衛隊は合憲なのか違憲なのか曖昧なまま来たが、もうはっきりさせた方がいいのではないか。憲法に「自衛のための軍隊を持つ」と書いた方がいい。そう考える方がイメージしているのは「現状の自衛隊(個別的自衛権と専守防衛の自衛隊)」ではないでしょうか。しかし、自民党が憲法改正で狙っているのはそうではありません。

自民党の憲法改正草案はこちら日本国憲法改正草案Q&Aはこちら。改正案の9条の条文は注3。

・戦力の不保持、交戦権の否認は完全に削除されている。第2項「前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない」はまるまる削除。

・新たな第2項は「前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない」。「自衛」という言葉がついていても何の歯止めにもなりません。現行憲法下でも「自衛のためなら、攻撃されていなくても(攻撃されるとこちらが判断したら)敵基地攻撃もOK」「自衛のためなら核兵器もOK」という議論すらある。しかも、この「自衛」は「集団的自衛権(=他衛)」も含む意味で使われている。Q&A によれば、「主権国家の自然権(当然持っている権利)として『自衛権』を明示的に規定したもの」であり、「『自衛権』には国連憲章が認めている個別的自衛権や集団的自衛権が含まれていることは、いうまでもありません」とされる。昨年の国会では「様々な制約を付けた集団的自衛権」ですら学者や国民から大反対されたのに、改正草案では制限なしの「集団的自衛権」を認めている。「国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動(略)を行うことができる」という条文は、「価値観を共有する」と安倍自民が言うアメリカとの(国連決議抜きの)「多国籍軍」「有志連合」方式の戦争を認めるものになっている。結果として無制限の軍隊と海外派兵を認める内容となっている。

・秘密保護法を認め、さらに軍事裁判所を設置する。

・「公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動」は、国内での暴動(と政府が判断するもの)を軍隊を使って鎮圧する内容です。

・「国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない」国民に防衛の義務を負わせ、資源を巡る紛争を軍事力で解決することを合理化する条文。こういうときこそ外交努力をすべきであって武力に訴えてはならないという9条第1項「武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」という規定と矛盾する内容。

こうなると9条1項の「平和主義」は完全に骨抜きとなり、他国の普通の軍隊と全く変わらないフルスペックの軍隊を持つことになります。

[ 2. 庶民の日々の生活には関係ない ? 18歳選挙権と徴兵制はセット。徴兵制が復活し、従わない者は軍法会議で死刑。]

しかも、合憲なのか違憲なのか曖昧なままの自衛隊の憲法上の位置づけをはっきりさせるだけの改憲だから、自分たちの日々の生活とは関係のない話だと思っていませんか。そんなことはありません。一番直接関係があるのは徴兵制の復活でしょう。それ以外にも、軍隊が強い力を持つ場合国民の基本的人権は制限され、軍事予算を確保するため社会福祉は削られます。フルスペックの軍隊を認めることと人権を制限することはセットになっているのです(注4)。人権を制限することのできる緊急事態条項については後半で書きます。とりあえず徴兵制のことを見てみましょう。

軍事裁判所について、石破元防衛大臣は、「命令に従わないものは死刑」と発言しています。

厳密に言えば、一般国民に対してではなく、「命令に従わない”軍人”は死刑」と言っているのですが、では、一般国民が軍人となる「徴兵制」はあり得ないのでしょうか。安倍首相は「ありえない」と言っていますが、この人が「絶対に」とか強調すればするほど怪しくなってきます。懲役は苦役になるのでそれを憲法が禁じている以上徴兵制はあり得ない、というのが安倍氏の理屈ですが、では改正草案の18条を見てみましょう。

「第十八条 何人も、その意に反すると否とにかかわらず、社会的又は経済的関係において身体を拘束されない。 」

何でわざわざ、「社会的又は経済的関係」と言う語句が入っているのでしょう。「社会的又は経済的関係」以外の理由、例えば政治的とか軍事的という理由で拘束することはあり得るという意味でしょうか。一方で現憲法にある「何人も奴隷的拘束を受けない」と言う語句が削除されています。これは何を意味するのでしょう。難しい理屈はひとまず置いておくとして、正直に本音を語っている人がいます。

自民党 西田昌司 18歳選挙権と徴兵はセット

自民党ではありませんが自民党のお仲間の本音。憲法改正派政党 日本のこころを大切にする党 西村 真悟の壮大な軍国青少年生産プラン 軍事大国のために教育改革も軍国化 (西村候補のこの動画の文字起こしはこちらのブログ) 「高校、大学、企業に入る条件に徹底的な軍事訓練を」「徴兵は最大の教育改革」「教員資格は、自衛隊で3年間の勤務経験を経た者に!いざとなれば兵士に!」このラストで徴兵制と軍事訓練は1.教育の改革と2.防災の訓練、3.いざとなれば兵士になる、国を護るために体を張る青年が育っていくと、一石三鳥だと主張しています。

自民党 船田議員(憲法改正推進本部長)発言 「理屈で言うと徴兵制の可能性はある」

一応そのあと「「もし徴兵制をやろうとした時には自民党内で大反対が起きるし、自分が自民党の憲法改正推進本部長である限りはそれは許しません」と言っているのだが、ならばなぜ単純に「許しません」と発言せず、含みを持たせるのか。そもそもその肩書きにあと何年いるつもり ?

石破氏「徴兵制は苦役ではないから憲法違反ではない」

また、制度としての徴兵制がなくても経済的理由で「志願」する「経済的徴兵」を危惧する声も多い(例えばこちら、「経済的徴兵制」で検索すればいくつものサイトがヒットする)。

ちゃぶ台返しか、最強のジョーカーか。内閣総理大臣たった一人の判断ですべてをチャラにできる緊急事態条項99条。根本にあるのは立憲主義の破壊。

[ 3. 9条改憲よりこわい「緊急事態条項」。内閣総理大臣一人の判断で何でもできる独裁政治。無制限の戦争を認める事は独裁政治とセット。]

9条の改正よりもっと怖いのは、98条、99条の「緊急事態条項」です(注5)。憲法の他の章で何を定めようとすべてをチャラにできる魔法の条文が「緊急事態条項」です。しかもそれはたった一人の判断でできます。一応閣議にはかるとか、国会の承認とかを条件にしていますが、国会の承認は事後承諾でもよく、議院内閣制ではよほど与野党伯仲でなければ、議会が内閣の提案を拒否することは考えられません。また閣議も、もし反対する閣僚がいれば、任命権者である総理大臣が相手を罷免し自分の言うことを聞く別の人物に替えることができます(事実、安倍総理は内閣法制局長他の人事を自分に有利なように「首のすげ替え」を行ってきました。そのことが安倍内閣の暴走を許しているひとつの要因となっています)。

このブログでは何度か「緊急事態条項」について書いてきました。詳細は過去記事をご覧いただけるとありがたいのですが、内閣に立法権を与え(内閣が法律と同じ効力を持つ政令を作ることができる=つまり独裁だね)、国民もまた国の指示通りにしろと命令でき、当然基本的人権は制限される。仮に(9条改正は国民の反対が大きいので)9条改正がなくても、緊急事態条項があれば9条は改正されたも同じ。

[ 4. 権利ばかり主張せず、お国のために命を投げ出す義務を果たせ。国防の義務から「国旗国歌尊重義務」「家族愛の義務」に至るまで。戦争反対の声は押しつぶされる。]

なぜこんなでたらめな、「正気の人が書いたとは思えない」、「明治憲法より酷い」、「ごく一部の人たちの願望がそこに表現されているだけ。内輪で盛り上がるための作品のような」憲法草案ができたのか。

それは自民党基本的な考え方が、戦前のような社会を目指しているからです。彼らの本音を過去記事で書きました。彼らが自分の口から本音をしゃべっている動画をいくつか紹介しましたが、詳細はそちらの過去記事を見てください。重複になりますが、その動画をひとつだけ再掲しておきます。

ぜひ、他の動画もぜひ見てください。 ・憲法を変える時が来た。もうこれ以上延ばす事はできない。 ・国民主権、基本的人権、平和主義、この三つをなくさなければホントの自主憲法とは言えない。 ・日本にとって一番大事なのは皇室であり、国体である。 ・国防軍を創設する。 ・国民の生活が大事という政治は間違っている。 ・国を護るには血を流さなければいけないんです。 ・国のために命を捧げる覚悟を。 ・国に命をかけるものだけに選挙権を。 ・国際紛争でアメリカの若者が血を流しているのに、日本の若者が血を流さなくていいのか?・・・・・・これが彼らの本音かと思うと、もう頭がくらくらしてきます。一部の跳ね上がりではない、自民党政調会長や大臣・幹事長経験者他、幹部クラスの発言がこれです。

要するに権利ばかり主張せず、お国のために命を投げ出す義務を果たせ、と言っているのです。「自由及び権利には責任及び義務が伴うことを自覚し、常に公益及び公の秩序に反してはならない」(12条)と定め、「国を自ら守る」義務(前文)などを新設し「国防の義務」「国旗国歌尊重義務」から「家族愛の義務 ? 」に至るまで、様々な義務が国民に課せられる。公益及び公の秩序に反すると政府が判断すれば、戦争反対の声は押しつぶされる。

[ 5. 中学の公民の教科書にも載っている「立憲主義」。それを破壊する改憲案は、名前は憲法でも実態は憲法ではない。]

要するに立憲主義が理解できないんですね、自民党は。立憲主義を知らない自民党憲法起草委員会事務局長の礒崎陽輔氏がこんなtweetしています。(余談ですがこの磯崎氏集団的自衛権のでたらめな例え話を10代の女子に論破されちゃった人です。)

だけど立憲主義は中学の公民の教科書にも載っています。教科書にはこう書いてあります。

「憲法は、政府の権力を制限して国民の人権を保障するという立憲主義の思想にもとづいて、政治権力の乱用を防いで、国民の自由や権利を守ります。立憲主義の考えは、政治が人の支配によってではなく、法によって行われる事を要求する法の支配の思想とほぼ同じものです。」

私がへたくそな文章を長々と書いている間に(^ ^ ; SEALDsさんが、実に要領よくまとめてくれていました(^_^)。全文はリンク先をお読みいただくとして一部引用させていただきます。

そもそも憲法というのは、国民がはじめから当然に持っている人権を国として確認し、ときの為政者や多数派の横暴にブレーキをかけ、基本的人権を侵害するような法律や処分等を 無効にするものであって、国家のために国民の権利を制限し一方的に義務を課すためのものではありません。
国民の義務は「法律」で規定し、万一それが不当な人権侵害となる場合には「憲法」によって無効化するというしくみがとられているのです。「憲法に保障された基本的人権」が「法律によって課せられた義務」に優先するというのが立憲主義の基本的な考え方です。
ところが、自民党の改憲草案を見ると、表現の自由などにわざわざ制限規定が入れられ、国民には憲法尊重義務が課され、それ以外にも、家族仲良くといった、国が国民に義務付けるようなものではない道徳規範をふくめ、国家が国民に様々な義務を課しています。「常に公益及び公の秩序に反してはならない(自民草案第 12 条)」という義務に至っては、これを根拠に国民の側に広範な義務が課せられかねません。憲法を根拠にした人権侵害が生じてしまったら、憲法が私たちの人権を守る砦ではなくなってしまいます。
つまり、自民党改憲草案は「憲法」ではないのです。
ですから、今回の争点は、改憲ではありません。 「憲法を破壊し憲法でないものにするか、立憲民主主義の国で居続けるかどうか」です。 自民党の憲法改正草案に反対すると、対案を出せなどと言われることがありますが、憲法を破壊するという提案に、対案を出す必要はありません。
とても大事なことなのでもう一度言います。 今度の選挙の争点は、改憲ではなく、立憲民主主義の国で居続けるかどうか、です。 憲法の破壊を食い止めたうえで、冷静に憲法のあり方について議論をしませんか。
改憲も悪くないんじゃないかと思っているあなたに知ってほしい7つのこと

こちらのイラストもわかりやすいので、憲法くらべさんのfacebookからシェアさせていただきます。

憲法くらべ

[ 6. 憲法を巡る多様な意見をまとめるには時間が必要。戦前のような暗黒政治にNOなら、今度の選挙で意思表示しましょう。黙っていたら、新たな「戦前」の始まり。]

長々と書いてきましたが、誤解を恐れず、きわめて大胆・大雑把にまとめるとこういうことです。自衛隊が合憲なのか違憲なのか曖昧なままだったからこそ、軍隊の強大化に歯止めをかけ、専守防衛に徹することができた。だからアメリカの同盟国でありながら、朝鮮戦争にもベトナム戦争にも参加しなかった。おかげで戦闘で一人も殺さなかった。もしここで集団的自衛権や憲法改正を認めてしまったら、フルスペックの軍隊と無制限の海外派兵を認めることになる。自衛隊はアメリカと一緒になって「テロとの戦い」という戦争に突入することになる。武力でテロは防げない、むしろ逆効果であることをダッカでの悲惨な事件が証明してしまった(どう見ても普通にあの条文を読めば違憲に決まってるだろ、専守防衛でも問題あり過ぎとお考えの皆様、大雑把なまとめで申し訳ありません)。

軍隊や戦争を無制限に認めるということは、単に自衛隊員や軍人だけの問題ではありません。それは必ず、戦前の日本がそうであったように「政府の独裁」「人権の制限」「軍事費を増やして福祉予算を削る」という事とセットでやってきます。それは立憲主義の破壊です。それは新たな「戦前」の始まりです。

9条改正を含め憲法改正を巡っては国民の間にも野党間でも様々な意見があるのは事実です。だから今、野党が主張しているのは「安倍政権のもとでの憲法改悪に反対」という事です。自民党の改正案に対する対案は「現行憲法こそ対案」という事です。改正については様々な意見があるからこそ、時間をかけてじっくり議論すべきではありませんか ?

今回の選挙は、「憲法もどき」しか持たない前近代的国家に日本がなってしまうのかどうかの分かれ道です。自衛隊や自衛戦争をどこまで認めるか、憲法の条文上でどう扱うべきかという点はさて置き、日本が憲法にもとづく民主主義国家であってほしいと思う人は、ぜひ【自民党・公明党・お維新(注6)・新党改革・こころ・幸福実現・支持政党なし党】以外に投票してください。ぜひ投票に行きましょう。今回ばかりは野党に投票。棄権は現状の与党の政治を追認する事になります。

・トップの画像はこちらのサイトから。ネットでは「今の日本はこのとき危惧した通りだ」とかなり有名になった出版物の1ページです。この本は1988年に創価学会婦人部平和委員会の編纂で第三文明社から出版された『まんが・わたしたちの平和憲法』という本です。かつての公明党、創価学会は真剣に「平和」を求めていました。残念ながら今の公明党、創価学会は、大きく変わってしまいました。集団的自衛権も最初は反対のはずだったのに賛成してしまいました。平和の党は戦争の党に変わりました。

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・注1 例えば

憲法を「変える必要はない」が昨年3月の調査の48%から55%に増え、「変える必要がある」は昨年の43%から37%に減った。憲法9条についても「変えない方がよい」が昨年の調査の63%から68%に増え、「変える方がよい」は27%(昨年の調査は29%)だった。
9条「変えない」が増 安保法影響か 朝日新聞世論調査

この変えるほうがよいと答えた27%の人が「それはどうしてですか?」という問いに対して答えた(選択した)理由は、
a国際平和に、より貢献すべきだから。
b今の自衛隊の存在を明記すべきだから。
c日米同盟の強化や東アジア情勢の安定につながるから。
がほぼ3割ずつ。

一概に「変えた方がいい」と言っても、中身はかなり幅があるように思えます(自衛のための戦争も交戦権も自衛隊も認めるという点では共通でも)。変えた方がいいという意見は大きく分けると、二つの考え方があるのではないか。もちろん中間もあるだろうし、様々なバリエーションやニュアンスの違いもあるとは思いますが、大きく分けると二つ。一方で、「9条改正反対論」にも、内容の違ういくつかの案がある。これもきわめておおざっぱに分けると二つあると思う(注2)。

・「A 改正すべき 格上げ論」ひとつは、フルスペックの軍隊を認める。例えば、自民党の憲法改正草案(注3)。この草案では、「自衛権の発動を妨げるものではない」と規定しているが、「国際的に協調して行われる活動(中略)を行うことができる」とも規定しているので、「自衛権」の中に「集団的自衛権」も含めて認めている、また自衛隊の海外での活動も認めている。

・「B 改正すべき 制限論」もうひとつは、自衛隊を憲法上認める代わりに、様々な拡大解釈がなされないように、何らかの制限を明記しようという案。専守防衛のみ、個別的自衛権のみを認め、活動範囲は日本の領域内のみとする。領域外での活動を認める場合でも国連決議を条件とする、などの案。もう少し消極的なニュアンスなら、今まで通りの専守防衛に徹するなら、既にあるものは認めた方がいいという意見もこの中に入るだろう。

・「C 改正すべきでない 現状追認」改正反対論のひとつ目は、専守防衛、個別的自衛権の範囲内であれば、現憲法9条が禁止している戦力にあたらないので、改正する必要がないという意見。アバウトに言えば、従来の政府見解がこれであり、おそらく国民世論の多数派であろう。

・「D 改正すべきでない 厳格適用論」改正反対論のもうひとつは、9条改正なんてとんでもない、厳格に適用すべきであって、自衛の戦力(自衛隊)も認めない。時期はともかく、自衛隊は解散すべき。

こう分類すると「A 改正すべき 格上げ論」と「B 改正すべき 制限論」は、同じ「9条改正論」と一括りにできないほど内容というか、なぜ改正するかという方向性が違う。一方で、「B 改正すべき 制限論」と「C 改正すべきでない 現状追認」は、中身がほぼ同じである。憲法9条を改正すべきかどうかではなく、自衛のための戦争と戦力(自衛隊)を認めるかどうか、という基準で分けるとわかりやすい。

「A 改正すべき 格上げ論」はもちろん認めるという意見。自衛の中には集団的自衛権も認めるし海外での活動も認める。「D 改正すべきでない 厳格適用論」は、自衛のためであっても認めない。

「B 改正すべき 制限論」と「C 改正すべきでない 現状追認」は、自衛の戦争と自衛のための戦力である自衛隊は認める。ただし「自衛(個別的自衛権と専守防衛)」に限る。それを憲法上でどう扱うかが違うだけである。現憲法は「自衛(個別的自衛権と専守防衛)」を認めていると考えている人は「C 現状追認」。現憲法では自衛隊は合憲なのか違憲なのか、自衛は認めているのか自衛も認めていないのか曖昧なのでこの際はっきり認めよう、どうせ認めるなら拡大解釈の余地がないよう制限も憲法の条文で明記しようと言う考えが「改正B案 制限論」。

・注2
もちろん、4つのパターンに分類できるほど単純ではないことは承知の上、議論を整理するために許していただきたい。
「自衛戦争」と「(戦力としての)自衛隊」に関する世論調査によると様々な意見がある。
この調査で、自衛戦争は認めるが9条改正必要なしは65.2%。戦力としての自衛隊は認めるが9条改正必要なしは67.5%。これがほぼ「C 改正すべきでない 現状追認」にあたるだろう。

◆「自衛のための戦争」「(戦力としての)自衛隊」について、これを「認める」と答えた人のうち(憲法9条との整合性を図るために)これを「改める必要がある」と答えた人は、「自衛のための戦争を認める」では24.3%。「(戦力としての)自衛隊を認める」では18.6%でした。
【「認める」という人の中で、憲法9条との整合性を図るための改憲の必要性の有無についての考え】
自衛戦争を認める  改憲の必要あり    必要なし   わからない・無記入
男性 222人     55人 24.8%    143人 64.4%    24人 10.8%
女性 140人     33人 23.6%     93人 66.4%    14人 10.0%
男女 362人     88人 24.3%     236人 65.2%   38人 10.5%
※必要あり+必要なしの合計は324人 それを母数とする「必要あり88人」の%は27.2%です。

戦力としての
自衛隊を認める  改憲の必要あり   必要なし      わからない・無記入
男性 258人   47人 18.2%    177人 68.6%    34人 13.2%
女性 182人   35人 19.2%    120人 65.9% 2   7人 14.8%
男女 440人   82人 18.6%    297人 67.5%    61人 13.9%
※必要あり+必要なしの合計は379人 それを母数とする「必要あり82人」の%は21.6%です。

そう答えた人(改憲の必要あり)に対して「では、どんなふうに改めればいいか?」と訊ねたら、返ってきた答えはこうでした。
・9条2項の「戦力は保持しない」「交戦権は認めない」を「自衛のための戦力は保持する」「自衛のための交戦権は認める」と改める。
・「自衛のための戦力として自衛隊の存在・活動を認める」と明記する。
・自衛隊を自衛軍として明記すべし。
・どこの国とも軍事同盟を結ばない。非同盟・中立を謳いつつ軍隊保持と自衛戦争を認める。
・海外派兵は認めないと明記して、専守防衛を徹底させることを明文化すべし。
・政府や法制局の解釈で事実上認めるというのは危険。交戦権を認める、自衛戦争は可、戦力としての自衛隊を認めると憲法に明記すべきだ。(男女問わずこの意見多し)

逆に、「自衛のための戦争」「(戦力としての)自衛隊」は認めるが、憲法9条を「改める必要はない」と答えた人に対して、「それでは現行憲法との整合性が図れないとは考えませんか?」と訊ねたところ、以下のような答えが返ってきました。
・現実的には認めているのだから、わさわざ9条を改める必要はない。(男女問わずこの意見多し)
・政府がある程度の解釈で対処するのは仕方がない。
・北朝鮮や中国が今のような状況だから「認める」と答えているのであり、本当は認めたくない。なので、改憲などしないほうがいいと思っている。
・現行憲法は侵略戦争は禁じているが自衛戦争までは禁じていない。なので改憲の必要はなし。
・戦力保持も交戦も認めてないけど、実際には戦力としての自衛隊は存在するし安保法制によって戦争もできるんだから、改憲の必要はなし。解釈でいけばいい。
・戦力として自衛隊を保持するというのは、9条2項に反しているかもしれない。だけど、改憲の必要はない。なぜなら国会が承認した防衛予算によって自衛隊は存在し活動しており違法な存在ではないのだから。
※この人たちはいずれも9条の条文を改める必要はないと言っています。つまり一般的な世論調査では「護憲派」「9条支持」に分類されています。

「自衛戦争も戦力としての自衛隊も認めない」と答えた人の中にすら、ごくまれに「改憲の必要あり」と回答している人がいる。解釈の余地のないように改憲すべきだという意見だ。
単純に改憲派=武装派(あるいは軍事主義)、護憲派=非武装派(あるいは平和主義)ではないようです。
また、現実には戦力である自衛隊を「憲法が禁じた武力にあたらない」という解釈を政府がとってきたため、『自衛のための戦力は、戦力ではなく「防衛力」』『自衛隊が戦うことになったとしても、それは「防衛」であって「戦争」ではない』という意見もあり、問題を複雑化させている。さらに安保条約が絡んでくるともっと複雑だ(自衛のための戦争は認めないが「日本は戦争しないで、米軍に戦ってもらえばいい」という意見もある)。

詳細はリンク先記事を見ていただきたいが、本当に多様な解釈・意見があって、この中のどれかの意見が国民の多数派になるということは簡単ではない。自衛のための戦争も、自衛のための戦力としての自衛隊も認めるという意見が多数派だがその内容は様々だ。また、自衛戦争や自衛隊を認める人の中でも改憲すべきという意見は多数派ではない(自衛戦争を認めるが、9条改正必要なしは65.2%。戦力としての自衛隊は認めるが、9条改正必要なしは67.5%)。自衛権(自衛のための戦争)は認めるが、自衛のための軍隊(常備軍)は認めないという理屈も理論上はあり得る。

自衛戦争と自衛のための軍隊を認める意見の中には、集団的自衛権まで認めるか、専守防衛・個別的自衛権だけに限定するか、それぞれどれくらいの割合でいるのかも調査してほしかった。

いずれにせよ、日本の防衛をどうするのかということと、それを憲法にどう書き込むかは様々な意見があり、簡単にどれかの案で国民的合意が得られるという状況ではない。自民党は、今度の選挙で勝てば最短で2016年中に改正発議をすると見られているが、相当長期にわたり時間をかけて議論すべき問題だ。野党の中にも様々な意見がある。だから今回の選挙での野党の合意は「安倍政権の憲法改正に反対する」。

・注3

第二章 安全保障
第九条
日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動としての戦争を放棄し、武力による威嚇及び武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、用いない。
2 前項の規定は、自衛権の発動を妨げるものではない。
第九条の二
我が国の平和と独立並びに国及び国民の安全を確保するため、内閣総理大臣を最高指揮官とする国防軍を保持する。
2 国防軍は、前項の規定による任務を遂行する際は、法律の定めるところにより、国会の承認その他の統制に服する。
3 国防軍は、第一項に規定する任務を遂行するための活動のほか、法律の定めるところにより、国際社会の平和と安全を確保するために国際的に協調して行われる活動及び公の秩序を維持し、又は国民の生命若しくは自由を守るための活動を行うことができる。
4 前二項に定めるもののほか、国防軍の組織、統制及び機密の保持に関する事項は、法律で定める。
5 国防軍に属する軍人その他の公務員がその職務の実施に伴う罪又は国防軍の機密に関する罪を犯した場合の裁判を行うため、法律の定めるところにより、国防軍に審判所を置く。この場合においては、被告人が裁判所へ上訴する権利は、保障されなければならない。
第九条の三
国は、主権と独立を守るため、国民と協力して、領土、領海及び領空を保全し、その資源を確保しなければならない。
日 本 国 憲 法 改 正 草 案

・注4
「政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する」「われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する」という憲法前文も、「第九十七条  この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」という規定も、改正草案では丸ごと削除しています。

「第十章 最高法規」の一番最初の97条で永久の権利を規定し、98条で違憲の法律は無効、99条で憲法擁護義務を定めているこの構成を見ても、(明文ではないにしろ)基本的人権を制限する法律は無効であり、この人権項目を含む憲法を公務員は擁護しなければならない、そしてわざわざ「将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである」と書き込んでいるところから考えると、その権利を侵すような改正を禁止しているように読める。9条で「国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する」とわざわざ「永久」という字句を使っているのも同様の理由であろう。

・注5

緊急事態の宣言
第九十八条
内閣総理大臣は、我が国に対する外部からの武力攻撃、内乱等による社会秩序の混乱、地震等による大規模な自然災害その他の法律で定める緊急事態において、特に必要があると認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、緊急事態の宣言を発することができる。
2緊急事態の宣言は、法律の定めるところにより、事前又は事後に国会の承認を得なければならない。
3内閣総理大臣は、前項の場合において不承認の議決があったとき、国会が緊急事態の宣言を解除すべき旨を議決したとき、又は事態の推移により当該宣言を継続する必要がないと認めるときは、法律の定めるところにより、閣議にかけて、当該宣言を速やかに解除しなければならない。
また、百日を超えて緊急事態の宣言を継続しようとするときは、百日を超えるごとに、事前に国会の承認を得なければならない。
4第二項及び前項後段の国会の承認については、第六十条第二項の規定を準用する。
この場合において、同項中「三十日以内」とあるのは、「五日以内」と読み替えるものとする。

第九十九条
緊急事態の宣言が発せられたときは、法律の定めるところにより、内閣は法律と同一の効力を有する政令を制定することができるほか、内閣総理大臣は財政上必要な支出その他の処分を行い、地方自治体の長に対して必要な指示をすることができる。
2前項の政令の制定及び処分については、法律の定めるところにより、事後に国会の承認を得なければならない。
3緊急事態の宣言が発せられた場合には、何人も、法律の定めるところにより、当該宣言に係る事態において国民の生命、身体及び財産を守るために行われる措置に関して発せられる国その他公の機関の指示に従わなければならない。
この場合においても、第十四条、第十八条、第十九条、第二十一条その他の基本的人権に関する規定は、最大限に尊重されなければならない。
4緊急事態の宣言が発せられた場合においては、法律の定めるところにより、その宣言が効力を有する期間、衆議院は解散されないものとし、両議院の議員の任期及びその選挙期日の特例を設けることができる。

・注6
おおさか維新はウルトラ右翼の改憲勢力です。例えば、こちらとか、こちら


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