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TPP問題、パナマ文書問題で明らかになった安倍の「議会制ファシズム」

TPP文書黒塗り

大手マスメディアは、例によって大きく報じていないが、ネットではTPP問題、パナマ文書問題が大きな話題になっている。「TPP問題」や「パナマ文書・タックスヘイブン問題」それ自体の解説や批判はネット上にいくつもある(注1)ので、そちらを参考にしていただくとして、このエントリーでは別の視点で考えてみたい。

TPP問題では、国会に提出された資料がすべて黒塗り、甘利前大臣は雲隠れしたまま、交渉について説明する立場にある高鳥副大臣は会議をすっぽかして会食。まともに説明する気があるのだろうか。安倍晋三首相は「交渉は結果が全てだ」「出せないものを出せと言われても実りある審議にならない」と語り、甘利明前経済再生相からの引き継ぎ内容についても石原氏が回答を拒否。

もう一方のパナマ文書・タックスヘイブン問題では、各国政府が調査に乗り出し、アイスランドでは首相の辞任問題にまで発展し、ドイツ西部ケルンの検察当局はタックスヘイブン(租税回避地)での法人設立を支援していた中米パナマの法律事務所「モサック・フォンセカ」の幹部2人について脱税ほう助容疑で捜査しているているというのに、菅義偉官房長官は「文書の詳細は承知していない。日本企業への影響も含め、軽はずみなコメントは控えたい」と述べ日本政府として文書を調査する考えはないという。

この問題だけではない。特定秘密保護法といい、安保法制を巡る議論といい、「丁寧に説明する」といいながら肝心の事を隠し続ける安倍政権。まるで戦前の情報統制を思わせる前近代ぶり。真実を報道しようとするメディアには圧力をかけて黙らせる。本当にいよいよ「戦前」となりつつある。さすがに自分の事を「この国の最高責任者」と勘違いしている安倍氏である。「主権の存する国民」にも「国権の最高機関である国会」にも報告せずに好き勝手していいと思っているのか。

この国は「議会制民主主義」からなし崩し的に「議会制ファシズム」の国に変わろうとしている。一応形式的には選挙が行われ、その結果に基づいて議会が構成され、議会の多数派によって内閣が指名される。しかし、実態は「正当に選挙された国会」とは言いがたく、その国会も内閣の追認補助機関に成り下がっている。

マスメディアの沈黙によって選挙の判断材料が有権者に示されないばかりか、公然と「公約違反」が常態化している。民意を反映しない小選挙区制度や一票の格差を生んでいる議員定数配分なども問題だ。このような選挙がまともで有効な選挙と言えるだろうか。

公約違反の最たるものは、「私自身は、TPP断固反対と言ったことは一回も、ただの一回もございませんから。まるで私が言ったかの如くの発言は慎んでいただきたい」という安倍首相の発言だ。もう、ここまで大嘘をつかれるとなんと反応していいのか。2012年の総選挙では自民党は「ウソつかない。TPP断固反対。ブレない」というポスターを掲げたではないか。その他にもいろいろな場所で「TPP反対」と発言している(注2)。ちなみにTPPの署名式典に和服姿で出席した高鳥修一内閣府副大臣もかつては自身の公式ブログで「私はTPPについて国家主権の放棄であり、平成の「開国」どころか平成の「売国」だと考えている。政治家の中にもいろんな考えや判断があるけれど、TPP問題は日本を守る断固とした決意のある「保守政治家」か否かのリトマス試験紙みたいなものだ」と書いていた(というか、今も削除されずに現在進行形で「書いている」注3)。自民党の公式サイトも「TPPについての考え方「経済連携に関する特別委員会(仮称)」を設置し、更なる情報開示と徹底審議を求めます」というタイトルでTPPに反対する趣旨のコラムが削除されずに残っている(注4)。

こうした公然たる公約破棄、180度の方針転換が許されるなら選挙の意味が無くなる(注5)。

「議会制ファシズム」の最も重要な点は、安倍総理が憲法の三権分立を理解できていない点にある。日本の国は「三権分立」の体制だ。立法、行政、司法がそれぞれ独立した権限を持つ対等の関係である。というかむしろ直接国民の選挙で選ばれる「国会」だけを特別に「国権の最高機関」と位置づけ、前文で「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」と宣言し、優位性を与えている。国会は行政府の追認機関ではない。「国家の機密であるから国会には報告できない」などという理屈が許されるわけない。以前の記事で、自民党の憲法改正草案は、行政府に立法権を与えている点で他国の緊急事態条項と比べても危険と書いたが、明文改憲以前の現段階でさえ、国会軽視がはなはだしい。形式的に選挙と議会はあるものの、実態は行政府の独断専行を許すファシズム国家に限りなく近い。

こうした政府の態度に対して、国会は国政調査権を行使して問題を解決すべきだ。。。。。と言っても自民公明が多数の国会の構成では無理か。ならば選挙でこの構成をかえるしかない。

・画像は民進党オフィシャルサイトより


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・注1
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・注2
#TPP反対と言ったの私だ =安倍首相と自民党衆院議員の84.3%がTPP反対(2012年総選挙時、共同通信調べ)=安倍首相ひきいる自民党はウソつき集団
自民党はTPP反対と公約したけど、自分の口からは直接は言ってないもんねえ、と言い出すお子ちゃま総理。

・注3
https://takatori55jim.wordpress.com/2011/05/11/tppについて(平成の売国)/

・注4
https://www.jimin.jp/activity/colum/115185.html

・注5
公約違反と言えばこちらも大問題。地元紙が公約撤回に対し「辞職し有権者に信を問え」と書いたのは当然であろう。あまりにも選挙における「公約」の意味を軽く考え過ぎである。
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