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軽減税率、その裏の狙いは憲法改正。しかも軽減税率は低所得者救済にあらず。

食品への軽減税率適用、その裏の狙いは「憲法明文改正」と言ったら唐突すぎますか。

おおさか維新の橋下氏はこんな発言をしています。

おおさか維新の会暫定代表の橋下徹大阪市長が10日、自身のツイッターで「安倍政権・官邸、恐るべしの政治」と驚きの声を上げた。
橋下氏は、将来の憲法改正への協力を取り付けるために首相が公明党に「恩を売った」と見ているようで、「これで完全に憲法改正のプロセスは詰んだ。参院選で(与党が)参院3分の2を達成すれば、いよいよ憲法改正」とも書き込んだ。
http://www.yomiuri.co.jp/politics/20151210-OYT1T50131.html

つまり、憲法改正で公明党に協力させるために、安倍は今回公明党に恩を売ったというわけだ。
マスコミの報道は「言葉のごまかし」だらけで、なんだか軽減税率が庶民に配慮しているかのような印象を受ける。(実はそうではないという詳細な説明はこの記事の後半で)

公明党は、自民と交渉して、庶民のために軽減税率適用を勝ち取ったというイメージを、
安倍自民は、庶民のために「私が決断しました」という決断力のある強いリーダーというイメージを、それぞれ宣伝する事ができる。
これで安保法制などで減らした支持率を回復できるというあからさまな選挙対策。

「自民・公明も少しは庶民の事を考えている」というイメージにだまされて、彼らに多数の議席を与えたら、次はいよいよ「明文改憲」の危険が現実のものとなる。軽減税率はそのための「えさ」にすぎない。
次の参議院選挙で、自民・公明・おおさか維新・次世代などが2/3以上の議席を取れば、いよいよ憲法改正。
おおさか維新は、自分たちが「改憲勢力」である事を堂々と認めている。

おおさか維新の会 松井氏「憲法改正に必要な3分の2勢力に入る」と明言
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151212-00000560-san-pol

橋下氏「参院選が勝負。憲法改正したい」
http://mainichi.jp/articles/20151213/k00/00m/010/107000c

自民・公明に過半数をとらせないために、野党の協力が少しずつではあるが進んでいる。
軽減税率をめぐるこうした現状を考えると、野党側も、「安保法制廃止」で協力するのは当然だが、ぜひともわかりやすい「経済政策」でも一致点が必要になってくるだろう。

食品の「軽減税率」は低所得者のためではありません

さて、それはわかったという方。
政治の話はとりあえず置いておくとして、純経済的には、
なんだかんだ言っても、食品の「軽減税率」自体は低所得者のためにいい事だと思っていませんか。

かつては低所得者ほどエンゲル係数(生計費中に占める飲食費の割合)が高いと言われましたが、今ではそうではありません。
低所得者は安いモノを食べ、時にそれすら減らす。一方金持ちは高いモノを食べる。
年収601万以下はどの層もエンゲル係数24〜26%前後。
946万以上になってやっと20%程度まで下がる。
なので「食品への低減税率」は、低所得者に対する配慮ではありません。
むしろたらふく高級食材食っている高所得者ほど得。

例えば年間支出300万円で、エンゲル係数25%だと、年間の食費は75万円。
75万円に対して、税率10%なら75,000円、8%なら60,000円。
その差、15,000円。月額1,250円。

一方年間支出、1000万円、エンゲル係数20%なら年間の食費200万円。
(こういう層は高級外食も多いのだろうが、とりあえずそれは置いておく)
同じように計算して、税率の違いによる差は40,000円。

100円の菓子パンかインスタント麺で食事を済ませた場合、差はわずか2円。
10,000円の高級食材で夕食を作った場合、差は200円。

当然の事ながら、元の金額(食費)が大きいほど、税率の違いによる差は大きい。
低所得者でエンゲル係数の低い人と高所得者でエンゲル係数の高い人のちがいは、さらに大きくなる。
低所得者でエンゲル係数の低い人(めちゃ食費の支出の低い人)は、メリットはほとんどない。

で、忘れちゃいけないのは、貧乏人も金持ちも、食費以外は10%の税金を払っているという事。
金持ちの食費の低減税率分40,000円は、貧乏人も含めて食費以外の10%の税金から払っている(肩代わりしてる)という事。

たとえ一食2円でも、月額1,250円でも負担が軽くなるならいいじゃないかと思っている人。
その2円なり1,250円はどこからきてるの ? 誰が肩代わりしてるの ?
あなたが払った、食料品以外の10%の税からきてるんだよ。

税収総額が同じという意味で言えば、「一律9%」でも同じ結果なのに、食料品以外は1%余分の10%払う事によって食料品8%という「軽減税率」が可能になる。
( 9%は、わかりやすいたとえの数字で、正確に計算すれば9.75%とかの数字になるがそこはとりあえずという事で )

[ 追記 ]

さらに緻密な計算がこちらのサイト。
消費税の負担率、年収200万円未満の層では0.9ポイント負担増、年収1500万円以上の層では0.5ポイント負担増。
「消費税10% 年4万円超す負担増 食料品8%据え置きでも 本紙試算 低所得者ほど重く しんぶん赤旗より

 年収に対する消費税の負担率を年収階層別に計算すると、年収200万円未満の最も低い層で現行(税率8%)5・9%。増税後(酒類・外食を除く食料品を8%に据え置いて他を10%に引き上げ)は6・8%に負担率が上がります。負担率は年収が増えるほど小さくなり、年収1500万円以上の層では現行2・1%、増税後2・6%。最も所得の低い層との差は増税で広がります。食料品の税率据え置きが低所得者対策にならないことは明らかです。
税負担低所得者ほど重く1
税負担低所得者ほど重く2
http://www.jcp.or.jp/akahata/aik15/2015-12-15/2015121501_02_1.html

こちらのサイトも。
軽減税率は低所得層の味方なのか?
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20151228-00000011-wordleaf-bus_all&p=2

軽減税率は高収入ほど得 財務省試算 食品か外食か?“グレーゾーン”多数
http://www.sankei.com/economy/news/160106/ecn1601060053-n1.html

[ 追記ここまで ]

それでも足りなくて、福祉予算が削られようとしている。

これって、高所得者優遇じゃないの ??
そして、シンプルな税率に比べて「軽減税率」は、事務処理の煩雑さや線引きをめぐる駆け引きなどデメリットもあります。
事務処理の煩雑さはコストとして商品価格に跳ね返る可能性もあります。
実質高所得者優遇の軽減税率をデメリットがあるにもかかわらずやる意味があるでしょうか。

低所得者の救済策は他にもいくらでもあります。
「給付付き税額控除」も検討してよいと思いますし、福祉政策全般を充実させる必要もあるでしょう。

軽減税率で税金が安くなる! と喜んでいるあなたへ ・・・勘違いしてるだけです

僕が軽減税率には絶対反対な理由

「軽減税率は愚策」民間税調が与党の税制協議をメッタ斬り 日刊ゲンダイより

年間平均所得を599万円とした場合、消費税の家計負担は現在の8%で22万6922円(年収負担率3.8%)だ。これが10%になると29万2713円(4.9%)に上がる。
たとえ食料品すべてに軽減税率8%を適用しても依然、家計負担は27万4669円(4.6%)だ。年間2万円程度の負担減に過ぎず、消費税10%のインパクトを考えれば、軽減税率なんて焼け石に水。
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/171338/1

ここが変だよ消費税「軽減税率」

軽減税率、線引きは ??

他にもまだまだ、「軽減税率」がおかしいという理由はいくつもあります。
・呼び方が変 (言葉のごまかし)
「税率据え置き」であって「軽減税率」ではありません。
もともと8%の税率を10%に上げるのだから、
たとえ食品だけ「税率据え置き」になったとしても、全体としては「増税」です。
食品だけ税率5%に下げるというなら「軽減」かも知れないが、
それでさえ、全体としては「増税」、またはプラスマイナスゼロでしょう。
ここのところ、間違えちゃいけない。

しかも税収(歳入)に関する事なのに「財源不足」て、日本語として変。
あえて言うなら「歳入不足」。

・本末転倒の「歳入不足」対策
「歳入不足」なら「歳出」を減らせばいいだけの話。
で、何を減らすかというと「社会保障費」!!

[ 参考までに ]取りやめが検討されている総合合算制度とは
http://www.jiji.com/jc/zc?k=201510/2015102300948

低所得者救済のための「税率据え置き」のはずなのに、これじゃあ、本末転倒もいいところ。
というか、消費税自体が「福祉のため」ではなかったのか。
なのに、もう今でさえ次々と福祉予算は削られている。
一方「歳入不足」なのに企業減税をするてどういう事 !?

そもそも、支出を抑える事で、消費税を増税しなくてもすむ道は検討されてきたのか。
軍事費、海外へのばら撒き、政党助成金、企業減税の取りやめ、などなど、なぜこれらは検討すらされないのか。
本来は、こまごまとした「率」や線引きの話ではなく、どこから税収を得てどこへ支出すべきかという根本的な議論が必要なのではないか。

まだまだある「軽減税率」はおかしい [ 資料編 ]

「消費税10%に伴う軽減税率の財源確保のため社会保障充実策一部見送り」という本末転倒
http://buzzap.jp/news/20151024-consumption-tax-social-security/

「増税で税収アップ」は大嘘!今まで増税をする度に、税収は減少していた!今の日本に必要なのは減税だ!
http://saigaijyouhou.com/blog-entry-716.html

消費税増税こそ問題なのに 「軽減税率」自公協議の茶番劇
http://www.nikkan-gendai.com/articles/view/news/171610

軽減税率は「利権の温床」を生む「誰も得しない」税制です

財源、効果に問題あり、軽減税率に異論続出
http://toyokeizai.net/articles/-/43341

増税分「率より使い道」 軽減税率決着 市民の声
http://www.tokyo-np.co.jp/article/national/list/201512/CK2015121302000111.html

・画像はNHKニュースサイトから
http://www3.nhk.or.jp/news/keigenzeiritsu/article04.html
「このほか、フランスでは新聞や医薬品も軽減税率の対象で、税率は食料品よりも低い2.1%です。また、イギリスでは子育て世代を支援するため、子ども服の税率もゼロです。」
うーん、どれも一理あってきりがないよね。
結局、誰もが納得する明確な線引きなど不可能です。裏取引や賄賂や利益誘導の温床になりかねません。事務処理コストも跳ね上がります。なので、「軽減税率」制度そのものに反対。新聞に軽減税率適用なら水やガスにも、という議論は無意味。
というか、増税そのものに反対。
食品の軽減税率なんかにだまされちゃダメですよ。高いモノ食ってる富裕層の方が得するんだから。
ましてそのために福祉予算を削るなら本末転倒。福祉予算削って金持ちに得させるの ?。軍事費やら海外へのばらまきやら、企業減税やらを見直す方が先 !!

企業減税やめれば消費増税なし。どちらも4兆円。


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